あなたは「今」転職すべき? 判断基準とタイミングを見極める

働く人にとって、転職は大きな決断の1つです。今このタイミングで良いのかを決めるのは転職をする人自身であり、そこにはさまざまな葛藤や悩みがあるのだと思います。今回は、転職の時期をどう見極めるのか、人事コンサルタントの小笠原隆夫さんに教えていただきます。

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3月は年度が切り替わる時期ということで、多くの企業では人事異動や組織改編などの体制変更が行われます。そしてこの時期は転職者が増える時期でもあります。転職は長い職業人生の中での大きなイベントです。ここでは、「転職の判断」をする上で考えるべきことを見ていきたいと思います。

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「つらくても我慢すべき」と考えなくてもいい

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もし転職に関する相談をしたとき、誰かから「もう少し頑張ってみては」と言われることがあると思います。「辞めても同じことが起こる」「我慢すれば良くなることもある」「耐えることにも意味がある」など、言われることはさまざまでしょう。これらはどれも間違った意見ではありません。

ここでもし転職を考えている理由が人間関係や仕事上の「つらさ」という部分だとすれば、その感じ方は人それぞれであり、そのつらさを他人はなかなか理解できないものです。「嫌だから辞める」と言ってしまうと、いかにも我慢が足りないように思われがちですが、自身が限界を超えた「つらさ」を感じていて、それに耐えられないのであれば、そんな「つらい」仕事を我慢して続けていても、そこから得るものは決して多くはありません。安易な転職はお勧めしませんが、こういう場合はあえて無理して続ける必要はなく、転職を当然の選択肢として考えて良いでしょう。

 

何か仕事上の心残りがあるならば、時期を改めることも大切

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最近は自分のキャリアプランを、転職時期も含めて明確に意識する人が増えてきました。それは大事なことですが、もし計画していた転職時期になっても何かやり残した感覚があったり、タイミングが合わなかったりすることはあると思います。

そもそもキャリアというのは、花形と言われた職種や業種が時間とともに低迷していったり、嫌だと思っていた仕事をやってみたら意外に向いていたりするなど、計画できない不確実なことがたくさんあります。

こういった時にはあまりキャリアプランにこだわらず、まずやり残した目の前の仕事をこなした上で、時期を改めて転職を考える方が、より適切な仕事に出合う確率は高まるでしょう。

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本当にやりたい仕事なのかを今一度考える

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転職理由として、「ほかにやりたい仕事ができた」という人をよく見かけます。十分に正当な理由ですが、その人たちが転職した後の様子を見ていると、結果的にそれがやりたい仕事ではなかったというケースが数多くあります。

もしも自分のやりたいと思う仕事があるとして、その気持ちから転職を考えているのであれば、それが本当にやりたいことなのかは、もう一度よく考えてみることが必要です。自分なりに情報収集をすることや、その仕事を知る人に具体的な話を聞いてみても良いでしょう。やりたい仕事だったはずなのに、「隣の芝生は青く見える」というだけだったことがよくあります。一時の思い込みにとらわれずに判断することが必要でしょう。

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ヘッドハンティングやスカウトには冷静に対処する

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ここ最近は、各社で人材不足の状況があり、特に通常の採用活動で出会うことが難しい中核人材に対して、ヘッドハンティングやスカウトといった形でアプローチする企業は増えています。そんな形で声を掛けられた経験がある人もいるでしょう。

これまでの経験や実績を評価されてスカウトされるのは、どんな人でも悪い気がするものではなく、その誘いを前向きに考えようとするのは人間の心理として当然のことです。ただ、こういうときほど冷静に、しっかりと話を聞くことが重要です。

ヘッドハンティングやスカウトの場合、前向きな良い話はたくさん聞くことができますが、懸念事項やデメリットという話は聞きにくい傾向があります。誘われたことに舞い上がらずに、仕事内容や期待役割、条件といったことをしっかり確認した上で判断するようにしましょう。

 

転職によって満たされるものと失うものを考える

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転職では、「面白そうな仕事」「大きくて安定した会社」「給料が上がる」など、それによって良くなることがある一方、「知り合いがいなくなる」「ノルマが厳しい」「人脈がなくなる」など、失うものが必ずあります。

転職を考える上でお勧めしたいのは、転職によって良くなることと、反対に失うものを具体的に列挙して、良くなることの方が多いことを確認した上で決断するという方法です。できれば大きなことから小さなことまでそれぞれ10個以上を挙げ、よく見比べてみましょう。これらを両方突き合わせて、良くなることの数がせめて3~5個くらいは多くなければ、転職の意味は限りなく薄れます。

転職によって満たされることがある反面、そこで生じるデメリットがあります。良くなることが少ない転職は、やはり見送ることが適切でしょう。

 

文=小笠原隆夫
編集=矢澤拓

【プロフィール】
小笠原隆夫
人事コンサルタント。IT企業で開発SE職を務めた後、同社で新卒中途の採用活動、人事制度構築と運用、ほか人事マネージャー職などに従事。二度のM&Aでは責任者として制度や組織統合を担当。2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表に。以降、人事コンサルタントとして、組織特性を見据えた人事戦略や人事制度策定、採用支援、CHRO(最高人事責任者)支援など、人事・組織の課題解決に向けたコンサルティングをさまざまな企業に実施。2012年3月より「BIP株式会社」にパートナーとして参画し、2013年3月より同社取締役、2017年2月より同社代表取締役社長。

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