「自分はダメだ…」劣等感を抱いてしまうときのストレスマネジメント

一口に「仕事のストレス」といっても、その要因は多種多様。そしてそれぞれに対処法は異なります。この連載では、「あなたにとってベストなストレスマネジメント方法」を保健学博士の蝦名玲子さんに教えていただきます。

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仕事上のストレスは人によってさまざまな要因があり、ひとくくりにすることはできません。例えば、ある人は他人との比較による劣等感、ある人は上司・部下・同僚間の人間関係の不和、ある人は理想と現実がかけ離れていることによる意欲の低下、ある人は社会の役に立てていないと感じることによる自己肯定感の低下などなど。

ストレス要因や、あなたの心の状態や置かれている状況によって、「自分にとってベストなストレスマネジメント方法」は変わるものです。

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今回の記事では、「自分は(周りの人に比べて)ダメだ……」という「劣等感」がストレスの要因となってしまっている場合の対処法について解説していきます。

 

劣等感に対するストレスマネジメント

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他人と比べて、「あぁ、自分はダメだな」と劣等感にさいなまれてしまったことはありませんか? こうしたときにオススメのストレスマネジメント方法は、3つあります。

1. その問題に向き合って、解決しようとする
2. 捉え方を変えて、感情を落ち着かせる
3. その問題から目を背けて、感情を落ち着かせる

そのやり方を説明していきましょう。

 

1.その問題に向き合って、解決しようとする

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これは、その比べてしまう相手の行動を観察して学習するという方法です。表面だけでなく、徹底的に観察をしていると、見えてくるものがあるはず。今回は、「先輩に対する劣等感」を例にして解説していきます。

■先輩は、計画性をもって効率的に仕事をするために、毎朝今日の仕事を分刻みで手帳に書き込んでいる
■毎朝、分刻みの計画を立て、実行し、一日の終わりに立てた計画と実際にできたことを比較することを習慣づけているようだ
■日頃から、人とコミュニケーションを密にとり、誰に対しても優しく接しているから助けてもらうことが多いようだ

例えば先輩を観察した結果、こうしたことが見えてきたとします。そうしたら今度は、あなた自身の行動と先輩の行動とを比較してみてください。「私は、先輩がうまく仕事を回すためにしている行動ができているか?」と自分自身に問い掛けてみるのです。
もしここで、先輩がうまく仕事を回すためにしていることを、あなたができていないのであれば、それが、あなたが今、うまく仕事が回せない理由といえるでしょう。その行動さえ改善すれば、きっと状況も改善するはずです。

 

2.捉え方を変えて、感情を落ち着かせる

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とはいえ、解決していこうという気力すらないときもありますよね。そんなときには、捉え方を変えてしまいましょう。

この方法のポイントは、「確かに、自分は先輩のように仕事を回せていないから、落ち込んでしまって当然だ」と落ち込んでいる自分をまず受け入れた上で、「本当にそうかな? 別の見方はできないかな?」と、自分自身に問い掛け、その根拠に反する事実、「反証」を考えてみることにあります。

すると、「先輩の方が仕事の経験が長いから、自分より仕事ができて当然だ。逆に、自分が先輩と同じくらいできたら、すごくないか?」と思えたりします。このように思えると、劣等感など、あまり感じたくない感情は落ち着いてくれるでしょう。

 

3.問題から目を背けて、感情を落ち着かせる

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ただ、先輩のことを考えることすらしたくないほどに劣等感にさいなまれ、苦しいときもあります。そんなときには、もうその問題からいったん目を背けてしまいましょう。実は、考えないようにして感情を落ち着かせるのも、立派なストレスマネジメントなのです。

例えば、仕事が終わったらもう仕事のことはまったく考えないようにして、リフレッシュできるようなことをするなど、オン・オフを切り替えることが、心の疲労回復につながるのです。

 

自分だけのストレスマネジメントを見つけよう

以上3つの方法をご紹介しましたが、これらの中から1つだけを選ぶ必要はありません。あなたの心の状態や、働く環境に合わせて、3→2→1というふうに、やりやすいことからすべてを行ってもOKです。ストレスは人や環境によってさまざまです。同様の悩みのある方は、1つずつぜひトライしてみてください。


文=蝦名玲子
編集=矢澤拓

【プロフィール】
蝦名玲子
保健学博士。米国ミシガン州立大学卒業後、ミシガン州立大学大学院にて修士号(コミュニケーション学)、東京大学大学院にて博士号(保健学)を取得。約20年前から、国外では旧ユーゴ紛争生存者の、国内では小児がん患者やその家族、被災者、一般住民等のストレス対処力についての研究や支援活動を実施。こうした経験を基に、官公庁や企業のメンタルヘルス対策のコンサルティングや研修、保健医療専門職の教育、大学の講義等に従事。株式会社グローバルヘルスコミュニケーションズ代表取締役を務めるとともに、東京大学や順天堂大学等の複数の大学の客員/非常勤職、日本健康教育学会代議員等の学会役員、消費者庁等の官公庁の委員や自治体の政策づくりのアドバイザーを兼任・歴任。日本公衆衛生学会認定専門家。著書は、『困難を乗り越える力』(PHP新書)、『折れない心をつくる3つの方法』(大和出版)、『生き抜く力の育て方』(大修館書店)等、多数。

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