会社に行きたくない…職場の人間関係に悩んだときのストレスマネジメント

一口に「仕事のストレス」といっても、その要因は多種多様。そしてそれぞれに対処法は異なります。今回は、「職場の仕事関係」がストレスの原因になっている場合の対処法を、保健学博士の蝦名玲子さんに教えていただきます。

あの上司/同僚が苦手で会社に行きたくない……そんな時どうすれば良いのか?

苦手な上司や同僚がいて、「職場に行きたくないなぁ」ということはありませんか? 例えば、分からないことを上司に聞いても、「後にして」と言われ、その後、声を掛けてもらえることもなく、「嫌われているのかな」と落ち込んでしまったというような場合――。

前回ご紹介した、以下の3つのストレスマネジメント方法で、この問題を解決しましょう。

1. その問題に向き合って、解決しようとする
2. 捉え方を変えて、感情を落ち着かせる
3. その問題から目を背けて、感情を落ち着かせる

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1.その問題に向き合って、解決しようとする → 思いを上手に伝える

これは、その上司に自分の思いをしっかり伝える方法です。伝え方を間違えると、人間関係が悪化することになりかねませんので、「上手に伝える」ことが重要です。では、どのように伝えれば良いのでしょうか?

ポイントは、「私は」を主語にして自分の事情を伝え、上司の気持ちになって「相手ができそうな、具体的な行動」を相談するイメージで、提案することです。

例えば、「(私は)このケースに対して、ミスを防ぐためにも、至急、質問に答えていただきたいと願っています」と上司に事情を伝え、「ご多忙のところ恐れ入りますが、本日中に15分ほど、お時間をいただけたら(私は)ありがたいのですが……」と提案するといった具合です。相手ができそうな行動で、なおかつ、相手にしてもらいたい具体的な行動を明確に、でも命令口調にならないように、相談するイメージで「私は」を主語にして冷静に伝えることがポイントです。

 

2.捉え方を変えて、感情を落ち着かせる → 思い込みを正す

とはいえ、「上司に嫌われているに違いない」と思ってしまっているときには、苦手意識が高まり、うまく言えないこともあると思います。そんなときには、まずその思い込みを正しましょう。

このときのポイントは、「確かに、あんな言い方をされたら、嫌われていると感じてしまって当然だ」と落ち込んでいる自分をまず受け入れる。その上で、「本当にそうかな? 別の見方はできないかな?」と、自分自身に問いかけ、その根拠に反する事実、「反証」を考えてみることにあります。

そうすると、「上司は今、すごく忙しそうだ」「顧客以外に対しては愛想がない人だ」などということに思い当たるかもしれません。このように思えたら、「上司自身、心の余裕がなく、もともと愛想のない性格なのかもしれない。だから嫌われているとは限らない」と、落ち込む気持ちは和らぐはず。

私たちは、「相手に嫌われている」と思うと、知らず知らずのうちにネガティブな態度をとるようになってしまいます。すると、相手のネガティブな反応を引き出し、より苦しみを生み出す状況をつくってしまうので気を付けましょう。

 

3.その問題から目を背けて、感情を落ち着かせる → 物理的に離れる

ただ上司のことを考えるだけで、気持ちが重くなることもありますよね? 例えば、その上司が自分の質問には答えてくれないのに、ミスをするとねちねちと嫌味を言ってくるので、心が弱ってしまう―。

そのような場合には、その上司と可能な限り物理的な距離を置きましょう。物理的に距離が遠いと、会話や電話、メールやSNSなど、全体のコミュニケーション量が減ることが明らかになっています。そうして感情を落ち着かせ、心を守るのです。

いかがだったでしょうか? この3つの方法を、あなたの心の状態に合わせて、やりやすいことからまずは始めてみましょう。そうすることで、今の苦しい状況は少しずつ改善していきます。職場の上司や同僚との人間関係に悩みのある方は、ぜひトライしてみてください。

 

文=蝦名玲子
編集=矢澤拓

【プロフィール】
蝦名玲子
保健学博士。米国ミシガン州立大学卒業後、ミシガン州立大学大学院にて修士号(コミュニケーション学)、東京大学大学院にて博士号(保健学)を取得。約20年前から、国外では旧ユーゴ紛争生存者の、国内では小児がん患者やその家族、被災者、一般住民等のストレス対処力についての研究や支援活動を実施。こうした経験を基に、官公庁や企業のメンタルヘルス対策のコンサルティングや研修、保健医療専門職の教育、大学の講義等に従事。株式会社グローバルヘルスコミュニケーションズ代表取締役を務めるとともに、東京大学や順天堂大学等の複数の大学の客員/非常勤職、日本健康教育学会代議員等の学会役員、消費者庁等の官公庁の委員や自治体の政策づくりのアドバイザーを兼任・歴任。日本公衆衛生学会認定専門家。著書は、『困難を乗り越える力』(PHP新書)、『折れない心をつくる3つの方法』(大和出版)、『生き抜く力の育て方』(大修館書店)等、多数。

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