効果的な休み方とは? 疲れをため過ぎないコツを精神科医が紹介

「いくら休んでも疲れが取れない」そんなビジネスパーソンも多いと思います。「効果的な休み方」とはどんなものなのでしょうか? 仕事で最大限パフォーマンスを発揮したい人におすすめの休み方を精神科医の西多昌規さんに伺いました。

休み方は仕事のパフォーマンスを左右する

仕事の合間に休憩を挟むこと、休日にしっかり休むことはビジネスパーソンにとって重要です。なぜなら疲労の蓄積はミスが生じる可能性を高める要因の一つだからです。

「一般的に仕事を好きでやっている人よりも『やらなければならない』という理由でやっている人が多いと思います。好きな作業であれば集中力も持続しますが、多くの場合、長時間にわたって仕事を続けると作業が雑になりがちです」(西多さん・以下同)

休み方とワークエンゲージメントの関係

厚生労働省の『令和元年版労働経済の分析』(2019年)には、「仕事と余暇時間の境目のマネジメントが『出来ている』と自己評価」した人たちにおいて「ワーク・エンゲイジメントが高い」人の割合が大きかった、との結果が示されています。「ワーク・エンゲイジメント」は仕事に関連するポジティブで充実した心理状態のことを指す用語。活力、熱意、没頭の三つがそろった状態として定義されるようです。

つまり仕事と休みのメリハリができる人ほど、ポジティブな心理状態ではたらいているということです。ポジティブに仕事をするためにも、効果的な休み方を理解する必要があります。

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私たちはなぜ疲れる?

ではそもそもなぜ人間は疲れるのでしょうか。疲れの原因を紹介します。

疲れには種類がある

疲労には肉体的な疲労から精神的な疲労まで、さまざまな種類があります。ここでは「急性疲労」「慢性疲労」について西多さんに解説いただきます。

急性疲労

「短期間の休息で回復する疲労のことです。スポーツなどの運動を行ったり、長時間の活動をしたりすると肉体的な疲労を感じます。多くの場合、急性疲労は夜に熟睡したり、土日にゆっくり休んだりすれば回復します」

慢性疲労

「疲労が蓄積し、回復までに時間がかかる疲労のことです。仕事の疲れや日頃のストレスなどが原因になることが多くあります。日々の睡眠や土日休みで回復しない継続的な疲労を指し、雪だるま式に疲労がたまっていきます。

『突然の目まい』『鬱(うつ)症状』『体が思う通りに動かせない』などの症状が出て、医師のサポートが必要になる場合もあります。重症化すると通院・長期間の休暇が必要になります」

休日にうまく休めない原因

慢性疲労が重症化することを防ぐためには休日の過ごし方が重要です。しかし休日にしっかり休んだはずなのに、週明けに疲れが残るという人も多いでしょう。なぜ人はうまく休めないのでしょうか?

休日に生活リズムが乱れる

休日にうまく休めない原因の一つとして「土日に生活リズムが乱れてしまうこと」が挙げられます。具体的には、土曜に午後や夕方まで寝てしまうなどです。すると夜にうまく眠れず、日曜にまた昼過ぎまで寝てしまうことになります。

「こうした平日と休日の起床時間の大幅なズレは『社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)』と言われ、医学の世界で問題になっています。週末だけ海外に行っているような時差が生じてしまうのですが、それが毎週末という頻度で起きると健康被害につながります」

自分に向いていない休日の過ごし方をする

自分の嗜好性とマッチしない過ごし方をすると休日に疲れをためてしまうようです。

「例えばインドア志向の人が同僚からバーベキューに誘われて普段より疲れを感じるなどがあります。反対にアウトドア志向の人が終日部屋でじっと過ごすのも疲れの原因になります。自分の嗜好性を把握し、それにマッチした休み方を選択するとよいでしょう。

ただしあまり両極端にならないことも重要です。インドア派もたまに散歩に出かけた方が健康に良いですし、アウトドア派の人も家でゆっくり過ごす日を作ってください」

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疲れを残さない休み方

翌週に疲れを残さないためには、休日をどう過ごせば良いでしょうか。

適度な運動を行う

疲れをためない休日の過ごし方の一つが運動。週1日程度でもいいそうです。

「運動は鬱(うつ)の予防につながるという研究もあります。具体的には散歩やゴルフなど。肉体的な疲労の大きい、激しい運動である必要はありません。無理のない範囲で行うと良いでしょう」

一人の時間を作る

もちろん家族や友人との外出も楽しい休日の過ごし方だと思います。一方で一人の時間を作ることも重要です。

「一人でぼーっとする時間は、精神的な疲れを和らげる効果があるとされています。夕方までぼーっとしていて『今日は何もしてないな』と感じることもあるかもしれません。しかしそうした時間の過ごし方も精神を休ませるためには重要なのです」

第三の場所を作る

平日に多くの時間を過ごす場所は「職場」と「家」になります。この二つ以外にストレスを解消できる「第三の場所」を作ることも効果的です。

「カフェや居酒屋など、友人とおしゃべりをするだけで日頃のストレス軽減になります。自分の趣味に関連した場所でも構いません」

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リモートワークで疲れがたまる原因は?

コロナ禍以降、自宅で仕事をする人も増えています。リモートワークにオフィスワークとは異なる疲れを感じる人もいるでしょう。リモートワーク特有の疲れとは何なのでしょうか?

終日座りっぱなし

リモートワークは基本的にパソコンと向き合う仕事の仕方になります。そのため一日中座りっぱなしになる人も多いでしょう。そうすると血行に良くありません。

「リモートワークの環境を改善するために『長時間座っても疲れない椅子』を購入する人も多いと思います。しかし座る椅子を快適にすると余計に長く座り続けられるため、座る時間を増やす危険性もあります。そのため健康科学の分野では、こまめに立ちたくなる椅子を購入することを推奨する意見もあります」

仕事とプライベートのメリハリがない

リモートワークと職場勤務の決定的な違いは、仕事が終わる時間がはっきりしているかどうか。オフィスでの仕事では、仕事の時間とプライベートの時間が明確に分けられます。

「リモートワークでは仕事とプライベートの境界線が曖昧です。いつまでも仕事ができてしまうため、オフィスよりもダラダラと長時間はたらいてしまう人も多いようです。それがリモートワークの疲れにつながる可能性はあります」

仕事の合間の休憩は? 効果的な休み方

仕事の合間に、ひと息入れたくなることも多いでしょう。パフォーマンスを高める効果的な休憩の取り方を紹介します。

適度に立ち上がる

長く座り続けることは健康に良くないとされています。適度に立ち上がって移動することを心掛けてみてください。

「特にリモートワークでは座ったままインターネットを開いて『休憩』としてしまう人もいると思います。しかし座ったままの休憩はあまりおすすめできません。

かつてはタバコ休憩のために移動する人が多くいました。喫煙者が減った今ではコーヒーやお茶の時間を作ると良いと思います。『コーヒーやお茶を入れる』『近所のコンビニまで買いに行く』という程度でも気分をリフレッシュできます」

こまめに区切りを付ける

仕事に区切りをつけてこまめに休憩を取ることも重要です。

「『25分仕事をして5分休む』を繰り返す『ポモドーロ・テクニック』と呼ばれる方法があります。人は作業に集中し始めて15〜20分でピークに達するとされるため、25分を一つの区切りとして考案されました。

ただしそこまで細かく時間を区切ると逆に疲れてしまう人もいると思います。1時間ごとや、『午前・午後前半・午後後半』など、自分に合った単位で区切りを付けて休憩を取ることをおすすめします」

まとめ

仕事のパフォーマンスと深く関わりがある休み方。さらに近年は人生の幸福度を上げる「ウェルビーイング」の観点からも「休み方」の重要性が高まっているそうです。効果的な休み方、幸福度を上げるための休み方をさらに詳しく知りたい人は、西多さんの『休む技術 かしこくコスパを上げる大人のオン・オフ術』を読んで理解を深めてみてはいかがでしょうか。


『休む技術 かしこくコスパを上げる大人のオン・オフ術』(文庫版)
著 西多 昌規
発行 大和書房

【プロフィール】
西多 昌規(にしだ まさき)
早稲田大学スポーツ科学学術院・教授、精神科医。東京医科歯科大学卒業。自治医科大学講師、ハーバード大学、スタンフォード大学の客員研究員などを経て、現職。精神科専門医、睡眠医療専門医。専門は睡眠、身体運動とメンタルヘルス。著書に「休む技術」「リモート疲れとストレスを癒やす『休む技術』」(大和書房)など多数。

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