推進力とは?仕事で意識したいポイントや高める方法を解説!

多くの企業で重視され、ビジネスパーソンに求められているスキルの一つに「推進力」があります。推進力とは、いったいどのようなスキルを指すのでしょうか。求められる理由や鍛える方法を解説します。

推進力とは?仕事で意識したいポイントや高める方法を解説!

ビジネスにおいて、「推進力」は必要なスキルであるとされ、昨今多くの企業で重視されています。今回は、推進力の概要やビジネスシーンで求められている理由をはじめ、推進力の高い人の特徴や鍛える方法などについて、キャリアコンサルタントの村井真子さんに伺った話をもとに解説します。

推進力とは?その概要を解説

推進力とは?その概要を解説

実は、ビジネスにおける「推進力」には明確な定義がありません。ですが、ビジネスシーンの多くでは、各プロジェクトやフェーズにおいて事業を推し進める力という意味で用いられています。

事業を進めるには、段階ごとの進捗管理や関わる部門・メンバーとのやり取りなど、多角的な視点を持つことが必要になります。つまり、このような視点を持ち、事業の課題に対して主体的に取り組み、成果を上げられる力こそが、ビジネスにおける推進力とされているのです。

推進力と実行力の違い

推進力に近い言葉として、「実行力」があります。推進力と同様に、実行力にも明確な定義はありません。ですが、ビジネスシーンでは、各プロジェクトやフェーズにおいて、個々のタスクや課題に取り組む力のことを実行力と言われています。推進力は各タスクの調整・修正などの全体調整の意味が含まれて使われるのに対し、実行力は調整された各タスク・課題を実行する際に使われるという違いがあります。

ビジネスにおける推進力の重要性

ビジネスにおける推進力の重要性

ビジネスにおいて、なぜ推進力が求められているのでしょうか。推進力の重要性について考えていきましょう。

大きな成果を上げられる

ビジネスでは、周囲を巻き込みながら業務を遂行し、事業を推し進めていく人がいれば、より大きな成果を上げることができます。このような行動を自律的に行える人は組織において非常に貴重で、キーパーソンとなることができるでしょう。ただし、一人のハイパフォーマーが活躍しても限界があるため、日ごろから周囲と円滑な人間関係を構築・維持し、信頼を確保することもポイントになります。

プロジェクト全体を設計・分解できる

事業を進めるには、会社のビジョンや目標に対してどのように貢献していくかを理解できることや、プロジェクトを設計・分解し、チームのメンバーに割り振る力が必要です。推進力がある人材は、これらを把握し効率的に進められることからチームの要となる存在になり得るため、多くの企業で求められているのです。

主体的に仕事に取り組むことができる

仕事の質を向上させるには、意味付けや、改善・工夫が重要です。推進力がある人は、会社のために「今自分ができること」を考えられるので、自分なりに目の前の仕事を意味付けし、仕事を主体的に捉え直すことが得意なのです。問題意識を持って取り組むため、結果的に仕事の効率化や精度の向上が期待できると言えます。

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推進力が高い人の特徴は?

推進力が高い人の特徴は?

推進力が高い人には、どのような特徴があるのでしょうか。推進力の高い人にみられる行動や考え方について着目してみましょう。

どんな立場の人にもフラットに接することができる

推進力の高い人は、コミュニケーションスキルも高く、どんな立場の人にも敬意を持ってフラットに接することができます。

例えば、意見や立場が違う人の発言であっても最後まで聞き、理解しようという姿勢を取り、自分なりに受け止めることができるのです。相手を尊重しつつも双方の合意が取れるような案を考えるなど、周囲とうまくコミュニケーションが取れるのが特徴に挙げられます。

自律的に考える力がある

推進力のある人は、課題に対して当事者意識を持ち、自律的に考える力も備えています。

例えば、普段から業務課題に対して「どう解決すればいいか」を自律的に考えられるので、業務を進めていく中で生じた問題に対して、柔軟にさまざまな解決策を提案することができます。そのため、状況ごとの最適解を自分で見つけられるのです。さらに、論理的かつ多角的な考え方で判断することも得意な傾向にあるので、解決策までのロードマップを考えることができるでしょう。

ビジネスフェーズごとに解像度を高められる

推進力がある人は、仕事を指示された際、抽象的な内容であっても要点を押さえ、具体的な行動に落とし込むことができます。

例えば、ある仕事を振られた場合、許可を取る部署や人物、仕事の工数、完成までの所要時間を細かく見積もり、その精度が高いアウトプットができます。また、結果として、一つひとつの業務の着手が早くなるため、業績を上げることができ、社内の信頼を得ることにもつながっている人が多いと言えるでしょう。

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普段の仕事で推進力を鍛える方法は?

普段の仕事で推進力を鍛える方法は?

推進力を鍛えるためには、普段の仕事でどのようなことを意識すればよいのでしょうか。ここでは具体的な方法について解説します。

常に「自分ならどうする」という目線で仕事に取り組む

仕事に取り組む際には、常に「自分だったらどうするか」という意識を持つようにしましょう。ビジネスの業務は、一つ、もしくは一人で完結しているほうが少ないと言えます。自分とは関係のない業務と思っていても、俯瞰してみると実は関係していたというケースも少なくありません。

そのため、日ごろから「自分ごと」として業務に取り組むことによって、主体的に考える力を養っていけば、推進力を高めることができるのです。

自分の意見・考えだけが正しいと思わない

自分の意見や考えを主張することは大切ですが、頭ごなしに「自分の意見だけが正しい」という態度を取っていると、上司や同僚、チームメンバーなどから反発を招いてしまいます。さらに、主張に固執しすぎると、思い描いていたプラン通りに進まないことでプロジェクト自体が頓挫してしまうリスクも高まります。

ビジネスは一人だけで進めることができません。推進力は周囲の意見を取り込み、巻き込むことでさらなる力を発揮するのです。そのため、自分の主張だけが正しいと考えず、周りの意見を傾聴して、受け入れたりブラッシュアップしたりと、柔軟な考えを持つように意識しましょう。

自己理解、他者受容に努める

仕事は、さまざまな人と関わり合って進められるものです。そのため、自己理解すること、他者受容に努めることで、お互いの関係性が醸成され、強い協力関係が構築されるとともに、推進力を高められます。

自分の考えを相手に伝える際、伝えるタイミングや使用するツール、声のかけ方など、さまざまなことを考慮する必要があります。これらを総合的に判断し実行できるようになると、周囲との調整が容易になるでしょう。これらが得意になれば、業務を進める際に協力を得やすくなることが期待できます。

常に代替案を考えておく

業務を進める際のリスクに対してあらかじめ対処・対応しておくことは、推進力に必要なことであると言えます。そのため、プロジェクトの運営や業務を進める際には、常にいくつかの案を持つように意識するようにしましょう。

複数の案を持っておくことで、一つの案がうまくいかなくても、さまざまな代替案を提示できるので、プロジェクト遅延のリスクを防ぎ、円滑な運営が可能になるのです。

推進力は今後のキャリアアップのためにも重要なスキル

推進力は今後のキャリアアップのためにも重要なスキル

推進力を身につけることで仕事が進めやすくなるだけでなく、自身のキャリアアップにもつながります。その理由について解説します。

「調整する力」が身につく

推進力を発揮して仕事を進めていると「調整する力」も身につきます。調整力は、どのような職種・業種でも欠かせないスキルです。対人関係における調整はもちろん、進行管理、リスクヘッジなどといった場面で発揮される調整力は、AIには代替できない力とも言えます。また、調整する力を伸ばすことは、自身の成長とともに、転職市場での価値向上にもつながることが期待できるため、ポータブルスキルとして、転職の際にも活かすことができるでしょう。

「リーダーシップ」が身につく

推進力を活かして率先して仕事に取り組むことで、リーダーシップも身につけられます。リーダーシップは、調整する力と同様に、AIには代替されない、どんな職種・業種でも求められる力と言えるので、キャリアアップしていくうえで必要なスキルといえるでしょう。

責任ある仕事を任命される機会が多くなる

推進力のある人は、当事者意識を持ち自ら課題解決に取り組む姿勢があります。そのため、現状よりもさらに責任のある仕事を任命される機会が多くなるでしょう。取り組む仕事の幅が広がることによって経験を積めるので、キャリア形成の幅も広がります。推進力を身につけることで、今後のキャリアアップにつながるチャンスをより多く掴むことができると言えるでしょう。

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推進力は少しずつ身につくもの

推進力は自分一人の力や、一朝一夕で身につくものではなく、根気強い努力が必要です。ただし、推進力が身につくことのメリットは多い上、確実にキャリアアップにつながります。日ごろから仕事に対して主体的な姿勢や視点を広く持つことを心がけ、少しずつでも推進力を養うことを意識して取り組むようにしましょう。

監修:村井社会保険労務士事務所 代表 村井真子
社会保険労務士/キャリアコンサルタント/経営学修士(MBA)。総合士業事務所で経験を積み、愛知県豊橋市にて2014年に独立開業。LGBTQ+アライ。行政協力業務を経験し、あいち産業振興機構外部専門家を務めた。地方中小企業における企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築・組織設計が強み。著作に『職場問題グレーゾーンのトリセツ』、監訳に『バウンダリーレス・キャリア上巻』『組織と従業員の間で変化する心理的契約』『経営心理学』など。

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