「誠実」とは?誠実な人の特徴や見分けるポイント、身につける方法を解説

誠実さは人間関係を築くうえで、とても重要な資質です。本記事では「誠実」の意味から、誠実な人の特徴や見分けるポイント、誠実さを身につけるための方法について詳しく解説します。

誠実な印象を与える若手社員のイメージ

誠実な態度は、プライベートな人間関係はもちろん、ビジネスシーンにおいても、信頼関係を築くための基盤となる重要な資質です。反対に不誠実な人と関わる場合は、約束が守られなかったり、情報の隠ぺいや不正が発覚したりと、結果的に大きなリスクを負うことになりかねません。

今回は「誠実」の意味、誠実な人の特徴、誠実な人を見分けるポイント、誠実さを身につけるための方法について、キャリアコンサルタントの平井厚子さんにお話を伺いました。

誠実とは?

同僚に対して誠実な態度を見せる様子

「誠実」という言葉には、どのような意味があるのでしょうか。ここでは「誠実」の意味や、誠実と似た言葉である「正直」との違いについて、詳しく解説します。

誠実の意味

誠実とは、広辞苑によると「他人や仕事に対して、まじめで真心がこもっていること」と定義されています。特にビジネスにおける誠実さとは、自分の価値観に忠実でありながら、他者の気持ちやチーム全体の利益を考えて適切に行動できることを指します。

正直との違い

誠実と似ている言葉に「正直」があります。広辞苑によると「正直」の意味は「心が正しくすなおなこと」あるいは「率直なこと」とされています。誠実と正直は、「他人に対して嘘やごまかしをしない」という点では共通していますが、正直の場合は言動の率直さが重視されている一方、誠実の場合は、言動に他者への思いやりや誠意が込められていることが重視されているようです。

例えば、正直な人は「この案は全然良くないと思う」などと自分の思っていることをそのまま伝える場合があります。しかし、誠実な人は同じ状況であっても、単に事実を言うだけでなく相手が受け止めやすいように配慮し、相手のためになるように具体的な改善点や理由を伝えるでしょう。

誠実な人の特徴

顧客に誠実に対応するイメージ

誠実な人には、どのような特徴があるのでしょうか。ビジネスにおける例を交え、具体的に解説します。

約束や締め切りを守る

誠実な人は、自分の発言や、交わした約束に責任を持ちます。そのため、スケジュールやタスクはしっかりと管理し、締め切りを守る姿勢を見せるでしょう。

例えば、顧客に「金曜までに納品します」と約束した場合、誠実な人はその締め切りを厳守します。もし、やむを得ない事情で納期に遅れが発生したのであれば、その旨を隠さずに伝えて謝罪し、代替案を出して、できる限りの対応をします。

相手の立場に立って考える

他者の気持ちや立場を理解しようとするのも、誠実な人の特徴です例えば、チームのメンバーがミスをしても、頭ごなしに否定することはありません。トラブルの原因や対処方法について率直な意見を伝えつつも、相手の気持ちを傷つけないように配慮し、仕事を円滑に進めるうえで最善の選択ができるよう努めます。

失敗を正直に認める

誠実な人は、もし失敗をしても素直に認めて謝罪し、問題を解決するためにすぐ行動します。例えば自分の不手際でトラブルが発生した際には、速やかに上司やチームに報告し、解決策を提案するでしょう。

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不誠実な人の特徴

時間にルーズで不誠実な印象を与える人のイメージ

反対に不誠実な人には、どのような特徴があるのでしょうか。具体的に解説します。

約束や締め切りにルーズ

不誠実な人は、口先だけで約束をし、実際には結果を伴わないことがよくあります。スケジュールを守らず、時間にルーズなことも多いでしょう。例えば、よく遅刻をしたり、会議で「来週までにレポートを仕上げます」と言いながら、期限を過ぎても提出せず、そのまま放置したりといった行動が挙げられます。

損得勘定で動く

不誠実な人は、自分の利益を最優先に考え、他人よりも得をしたいという気持ちが強いです。例えば、チームのプロジェクトで他のメンバーが中心となって出した成果を、うまく自分の手柄として上司に報告し、評価につなげようとすることがあるかもしれません。また、チームのメンバーが困っていても、自分に利益がない場合は見て見ぬふりをすることもあるでしょう。

他責思考になりがち

不誠実な人は、自分のミスや責任を認めず、他人や環境のせいにする「他責思考」に陥りやすいです。例えば、顧客対応でミスが発生した際に「○○さんの指示が分かりにくかった」などと、チームメンバーに責任転嫁しようとすることがあるかもしれません。

表と裏の態度が違う

不誠実な人は、表面上は良い人を装いながら、裏で陰口を言ったり、礼儀を欠いた行動を取ったりすることがあります。例えば、上司の前では「チームのために頑張ります」と言って仕事を引き受けておきながら、実際の業務は面倒くさがって後輩に丸投げするような行動をとるケースが考えられます。

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ビジネスにおける誠実な人の見分け方

仕事でポジティブな考え方ができる人たちのイメージ

仕事相手や取引先が不誠実だった場合、自分の仕事に悪影響が及ぶ可能性もあります。ここでは、ビジネスにおける誠実な人を見分けるためのポイントについてご紹介します。

自分の非を認めて謝罪できているか

誠実であるためには、自分の価値観や信念が、行動に反映されていることが重要です。例えば、自分の判断によって仕事で問題が発生したとき、不誠実な人は「そんなことは言っていない」と責任を回避したり、「実はそうじゃないかと思っていた」と取り繕ったりしますが、誠実な人の場合は「自分はこう考えていたけれど、その判断は間違っていた」と認め、必要であれば謝罪することができます。

愚痴ばかり言わず、ポジティブな考え方をしているか

誠実な人は、困難な状況でも他人を非難したり愚痴をこぼしたりするのではなく、建設的な行動にエネルギーを注ぎます。例えば、チーム内の誰かがミスをしたとき、誠実な人であれば「どうすれば解決できるか一緒に考えよう」と言い、前向きに解決策を提案する方向へとチームを誘導するでしょう。

他者から信頼されているか

他者から信頼されている人は、誠実である可能性が高いです。例えば、誠実な人は上司や取引先が相手であってもしっかりと自分の意見を伝えたり、仕事で明らかな間違いを見つけた場合は指摘したりすることができます。行動に一貫性があるため、周囲から頼られることも多いでしょう。

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誠実さを身につけるために日常的に心がけたいことは?

その場しのぎの対応をせずに真摯に向き合う様子

誠実さを養うためには、日常的にどのようなことに心がけると良いのでしょうか。詳しくご紹介します。

実現可能な約束をする

誠実であるためには、できる範囲を正確に見極め、実現できない約束はしないことが重要です。もし状況が変わり、約束が難しくなった場合は、早めにその旨を伝え、調整を行いましょう。身近な例では、上司から追加で仕事を頼まれた時、他にすべきことがあるのであれば安易に引き受けず、「この部分であれば担当できます」など、建設的な提案ができると良いでしょう。

その場しのぎの対応をしない

誠実さを身につけるためには、その場しのぎの対応をしないように気をつけましょう。仕事で自分に不利益になる情報を隠したり、事実をごまかしたりすることは、一時的には有利に働くかもしれませんが、嘘や不正は何らかの形で明るみに出る可能性が高いです。外からは見えない部分こそ気を抜かず、倫理的な選択を心がけてください。

基本的なルールやマナーを守る

基本的なことですが、時間やルールを守ることは非常に大切です。例えば、定例会議の際は、会議の準備を事前に整え、開始5分前には会議室に到着しておくなど、職場のルールやマナーを尊重するように心がけましょう。これらは、一緒に働く相手への敬意の表れであり、チーム全体の信頼関係を築くための基礎となります。

分け隔てなく接する

誠実であるためには、相手の立場によって態度や意見を変えることなく、誰に対しても公平に接するようにしましょう。上司や職位が上の人には過剰に同調したり、後輩や職位が下の人にはきつくあたったりすると、職場の雰囲気が悪くなり、チームワークを発揮することが難しくなってしまいます。

感謝と敬意を言葉で示す

誠実であるためには、周囲に対して敬意を持ち、出し惜しみせずきちんと言葉で示すようにしましょう。例えば、仕事をサポートしてもらったら「ありがとうございます」「助かりました」と感謝の気持ちを伝え、もしミスをして迷惑をかけてしまったのなら、「申し訳ありません」と謝罪の言葉を伝えましょう。ちょっとした一言でチームの雰囲気が和やかなものになり、職場全体にポジティブな雰囲気を作り出すことができます。

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誠実さは信頼関係を築く土台

誠実な対応をして信頼を得ていく人のイメージ

誠実さはビジネスにおいて信頼関係を築くための基本ですが、一朝一夕で身に付くものではありません。誠実さは、時間を守る、約束を守る、分け隔てなく接するなどの小さな行動を日々積み重ねていくことによって養われます。誠実さを養いたいと思っている人は、普段の行動を振り返り、他者に対してどのように振る舞っているか、自分の価値観と行動が一致しているかを意識してみてください。

監修:Officeまいとれいや代表 平井厚子
国家資格キャリアコンサルタントをはじめ、1級キャリアコンサルティング技能士や産業カウンセラーなどの資格を持つ。数々の企業で人材育成やキャリア開発を行い、2012年よりキャリアコンサルタントとして就職支援や就職後の定着支援を実施。2020年には「可能性を広げて納得できる働き方を!」を理念に60歳で起業。現在ではフリーで、就職・キャリア相談や研修講師などを行っている。

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