- そもそもせっかちとは
- せっかちな人の特徴
- せっかちな人の長所とは
- せっかちな人の短所とは
- せっかちな人が仕事でやりがちなミスとそれを防ぐ対策法
- せっかちを仕事で強みとして活かす方法はある?
- せっかちな特徴を持つ人の自己PR例文
- せっかちな人と上手に付き合うポイント
- 自己理解をすることで、せっかちは強みとして活かせる
「せっかちな性格を直したい」「せっかちな人には、どう対処したらいいのかな?」などと悩んだことはありませんか? そのように、短所と思われがちなせっかちという特徴ですが、実は魅力的なアピールポイントにもなるのです。
今回は産業カウンセラーや心理相談員の資格も保有する、キャリコンリンク合同会社代表の瀧本博史さんにお話を伺い、せっかちを仕事に活かすコツやアピール方法などを解説します。
そもそもせっかちとは
せっかちとは結果や行動を急ぐあまり、忍耐や過程を軽視する性質を指します。キャリアコンサルタントの観点から考えると、迅速に意思決定をしたり、行動力を発揮したりするという面ではせっかちはポジティブに働きます。
一方で、慎重な計画や深い洞察が必要な場面では課題になるかもしれません。どちらの面も適切なバランスで保つことで、せっかちな特性を強みに変えられます。
せっかちな人の特徴
せっかちな人に多く見られる特徴には主に次のような点があるようです。
完璧主義なところがある
せっかちな人には完璧主義者な人も多いです。仕事の目標や自分自身のスキルなどについて高い目標や基準を課してしまうがあまり、効率を重視してつい急いでしまうため、せっかちに見えてしまうのです。
会話を急いで進めようとする
せっかちな人には、相手が話す途中においても全体像を想像して「もう全て分かった」と判断し、自分の考えをいち早く伝えようとしてしまう傾向もあります。また、会話の進行が遅かったり、自分の思う通りに進まなかったりするとイライラしてしまうこともあるでしょう。
待ち時間が苦手
じっとしている時間を「無駄」と感じ、時間の浪費に対してストレスを感じやすいところもあります。そのため、ほかの人が遅刻したときには、「自分の時間が奪われた」と考えることも。自分の理想通りに予定がこなせないと焦りを覚えてしまいがちです。
せっかちな人の長所とは
せっかちと聞くとネガティブな印象を持ってしまいがちですが、実はビジネスシーンにおいてはプラスにはたらくこともあります。せっかちな人のプラスの側面について詳しく見ていきましょう。
決断が早い
せっかちな人は思考に迷いや躊躇が少ないため、迅速な判断ができます。そのため、ビジネスでも状況を見極めて、即時に行動することが得意です。常に正しい判断とは限りませんが、悩んだり迷ったりする時間が比較的少ないので、機会損失を防ぎ、良い結果につながることも多いでしょう。
柔軟な問題解決能力がある
ミスやトラブルが発生したとき、ほかの人が時間をかけて乗り越えるような問題でも即座に解決策を考えて実行に移すことができます。また、「今すぐこの問題を解決したい」という意識が強いため、チームが抱えていた根本的な問題を、独創的な発想や新しいアプローチによって解決することもあります。
チームに活気をもたらす
「物事を早く進めたい」という気持ちは仕事への積極性としても現れます。その姿勢が周囲にも良い影響を与えチーム全体の士気向上につながります。活気あるテンポの良いコミュニケーションを通じて、プロジェクトを順調に進める力になるでしょう。
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せっかちな人の短所とは
せっかちな性格がもたらす短所について、詳しく解説します。
複数タスクを同時進行でこなそうとして逆にミスが増える
せっかちな人は自身が考えている目標に向かって、タスクを同時進行でこなそうとしますが、それがうまくいかず逆にミスが多くなってしまうことがあります。プロジェクトを急いで成功させたいと考えるがあまり、結果的に計画の見落としなどが増えてやり直しが必要になるケースもあるでしょう。
他人にプレッシャーを与えやすい
せっかちな人が急いで作業を進めていると、それを見ている周囲の人にプレッシャーを与えてしまうこともあります。チームのペースを乱してしまうと、周囲とのコミュニケーションがうまくいかなくなることもあるでしょう。無意識のうちに「周囲の人はなぜこんなに遅いのか」と批判的に見る態度が出てしまうことが原因です。
短絡的な判断をしてしまう
ビジネスシーンにおいて決断が早いところが良い方向にはたらくこともありますが、せっかちな人は、ときに情報収集や分析を十分に行わずに決定することがあります。迅速に行動したいという思いが先行し、長期的な影響を考えず目先の結果に注目して、状況を悪化させてしまうこともあるでしょう。
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せっかちな人が仕事でやりがちなミスとそれを防ぐ対策法
それでは、ビジネスシーンにおいてせっかちな人が陥りやすいミスにはどのようなものがあるでしょうか。ここでは、せっかちな人の短所も踏まえて、考えられるミスの具体的なパターンとそれを事前に防ぐための対策方法について解説していきます。
計画を省略して突き進む
計画や準備を省いて行動した結果、重要な要素を見落としてしまうことがあります。例えば、プロジェクト初期段階でリサーチを怠ったため、後から追加の作業が必要になるケースなどが考えられるでしょう。
【ミスを防ぐための対策】
行動に移す前に「最低限確認すべきポイント」をリスト化してみてください。特に重要なタスクに関しては、周囲の人にダブルチェックしてもらうためのリストを作成し、必要なタスクが抜け落ちないような仕組みをつくると更に効果的です。また、とにかく無計画で行動してしまいがちな人は、作業時間の前に「5分だけ計画を立てる時間を取る」といったルールを自分に課すこともおすすめです。
早合点による誤解や間違い
せっかちな人のよくあるミスとして、会話を最後まで聞かずに勝手に結論を出すところがあります。例えば、上司や同僚の指示を途中で自己流に解釈し、最後まで話を聞かず作業を進めてしまいます。結果的に求められていた内容とズレてしまうこともあるでしょう。
【ミスを防ぐための対策】
ビジネスシーンにおいては常に「最後まで聞く・読む」を意識することが重要です。会話しながらメモを取ることで「途中で理解した気になる」癖を抑えられます。また、指示を受けたあとに「これで合っていますか?」と確認する習慣をつけることで、早合点によるミスを防げます。
複数タスクの同時進行での混乱
先述のとおり、せっかちな人は複数タスクを同時進行しようとする傾向があります。その結果優先順位を見失ってしまい、どれも中途半端に終わるということもあります。本来は時間をかけてこなすべき重要なタスクに取りかかることができず、プロジェクト自体が進まないということにもなりかねません。
【ミスを防ぐための対策】
与えられているタスクと、それにかかる時間を可視化させることが、せっかちな人には有効です。例えば「タイムブロッキング」の手法を使い、作業時間と休憩時間を区切って、1日の作業時間をそれぞれ時間割の形で割り振ることもおすすめです。
具体的には、「10~11時は企画書作成」「14~15時はミーティング準備」といったように、特定のタスクに集中する時間を確保して、効率的に作業を進めていきましょう。もしくは、「1日の中で取りかかるタスクは最大2つまでにする」など明確なルールを決めておくと、同時進行で混乱することもなく、落ち着いて取りかかれます。
他人を巻き込んだ焦りの共有
せっかちな人は自分が焦っているとき、その感情を周囲にも伝播させてしまう傾向があります。周りの人が冷静にタスクを進めようとしているときでも不要なプレッシャーを与えてしまい、チーム全体のパフォーマンス低下につながることもあります。
【ミスを防ぐための対策】
まずは、自分が「焦りを感じている」という事実に気づくことが重要です。焦りを自覚できたら深呼吸をして、心を落ち着けましょう。
また、チーム内でのコミュニケーションでは、自分の焦りやイライラを抑え「要点が簡潔に伝わっているか」を常に意識しながらメールやチャットの文章を作成してみてください。こうした習慣を意識付けることで結果的に仕事も早く進み、チーム内のコミュニケーションが取りやすくなります。
せっかちを仕事で強みとして活かす方法はある?
せっかちな性格を上手く仕事で活かすことができると、活躍の場がさらに広がります。ここではおすすめの方法を解説します。
タスクを細分化し、スモールゴールを設定する
せっかちな人は、目標達成に向けて効率的に行動できます。しかし、一度に大きなタスクに取りかかろうとするとうまくいかないこともあるので、具体的な中間目標の設定から取りかかるのも良いでしょう。「まずは、3日以内に初期案をまとめましょう」「その後、1週間で全員の意見を集約しましょう」などとタスクを小さく分解すると進捗を可視化でき、モチベーションを保ちやすくなります。
「待ち時間」を自己成長に使う
じっと待つのが耐えられない性格を、「待ち時間は有効に使いたい」というポジティブな思考に転換してみましょう。
例えば、通勤中や打ち合わせ開始までの待ち時間に、ビジネス書を読む、ラジオなどの音声メディアを聴く、業界ニュースをチェックする、というような有効活用が可能です。待つことへのイライラが軽減されるうえ、知識やスキルの向上という副次的な効果も得られます。
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せっかちな特徴を持つ人の自己PR例文
就職や転職の面接などでも、せっかちは伝え方によって、長所としてアピールができます。せっかちな特性をポジティブな表現に言い換えて、具体的なエピソードを添えることが、信頼感を高めるポイントです。こちらの例文をぜひ参考にしてみてください。
業務効率化が得意
「私は、業務において効率とスピードを意識しています。無駄なプロセスをできる限りなくすために、業務の非効率なフローを見つけ出し、効率化する方法を常に検討しています。例えば、前職では書類作成のプロセスを見直し、チーム全体の作業時間を20パーセント短縮した経験があります」
意思決定が早い
「私は物事を素早く判断する力を活かして、プレッシャーのかかるタイミングでも、柔軟に対応してきました。例えば、新規取引先からの急な依頼に対しても短時間で顧客のニーズや状況を判断して、提案書にまとめた経験があります。結果的に契約を獲得し、リピートにもつなげられました」
チーム全体のモチベーション向上
「私の迅速な行動は、周囲のモチベーションアップにもつながっています。例えば、プロジェクトの初期段階でトラブルが起こってしまい、なかなかプロジェクトが進まなかったときにも、率先して目標達成のシミュレーションを提示し、全員が動き出すきっかけを作った経験があります」
短期間で成果を出す意識
「私は、何事にもスピード感を持って取り組み、短期間で結果を出すことに注力しています。例えば、短納期のプロジェクトでも詳細な優先順位付けを行い効率的に推進することで、クライアントの期待を上回る成果を納めたことがあります」
せっかちな人と上手に付き合うポイント
最後に、チーム内にせっかちな人との付き合い方のコツを紹介します。
進捗確認をこまめに行う環境を整える
せっかちな人はゴールまでの日数や、それまでの進捗状況などが分からないと不満を感じやすいです。そのため、日常的にタスクの進捗状況を確認できる仕組みをチーム内で整えると、安心感を与えられます。
例えば、プロジェクト管理ツールで進捗を可視化し、状況をリアルタイムで共有するのも良いでしょう。「いつ状況を教えてくれるんだろう?」という不安を解消し、チーム全体の効率も上がります。
タスクの優先順位を明確に示す
せっかちな人は、複数タスクを同時に進行しようとして混乱してしまう傾向があるので、タスクの優先順位を具体的かつ明確に伝えましょう。
例えば、「このタスクは明日までで、それ以外は来週までで大丈夫です」と期限を明示すると、焦りを軽減できます。さらに、タスクの背景や目的を共有すると、納得感を持って動いてもらえるでしょう。
早めのフィードバックを心がける
せっかちな人は、自分の取り組みに対する反応を早く知りたいと思う傾向があります。作業途中でも「この方向性で大丈夫だよ」「ここを少し修正しましょう」など、こまめにフィードバックを提供すると、安心感を与えつつ、ポジティブな気持ちで作業に取り組んでもらえます。
自己理解をすることで、せっかちは強みとして活かせる
せっかちという性格は、ポジティブに変換すれば大きな武器にもなります。まずはその特性を自分自身でよく理解することが大事です。良い面と悪い面を把握し、行動力や決断力を活かしながら、チーム全体に活気や行動力を提供できる人材を目指してみてください。
監修:キャリコンリンク合同会社代表 瀧本博史
転職コンサルタント・心理カウンセラー。国家資格 2 級キャリアコンサルティング技能士、産業カウンセラー、心理相談員など多数の資格を保有。キャリアの専門家として職業訓練校での就職指導、大学講師、ハローワークや公共機関などの相談員を務めているほか、心理カウンセラーとして心の問題のケアにも従事。NHK 総合の就活ドラマを監修。著書は『オンライン就活は面接が 9 割』(青春出版社)、『2026 年度版 本気で内定!面接対策』(新星出版社)など。
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