1ミリも尊敬できない人が上司だったら? 上手に付き合うための心得・3箇条

手のかかる業務は部下に丸投げするのに手柄は自分のものにしてしまう。予算達成にはうるさいのに自分は経費をよく使っている。自分自身は仕事が遅いわりに、部下の仕事に対しては口うるさくあれこれ言う……。

1ミリも尊敬できない人が上司だったら? 上手に付き合うための心得・3箇条

手のかかる業務は部下に丸投げするのに手柄は自分のものにしてしまう。予算達成にはうるさいのに自分は経費をよく使っている。自分自身は仕事が遅いわりに、部下の仕事に対しては口うるさくあれこれ言う……。

あなたの身の回りには、こんな「1ミリも尊敬できない上司」がいませんか?

できれば距離を置きたいところですが、残念ながらそれでも上司は上司です。難しいけどなんとかしたい、なんとかしたいけど部下の自分はどうすればいいの……?

今回はそんな困った上司との距離感を適度に保つためのテクニックを、精神科医の樺沢紫苑さんに教えていただきました。

尊敬されない上司は、「父性」がない人?


そもそも、尊敬されない上司とは、どのような上司のことを指すのでしょうか。樺沢さんいわく、それを見極めるポイントは意外にも「父性」があるかどうか、とのこと。

「尊敬するとはどういうことかを簡単に説明しますと、『その人を見習い、そうなりたい』という敬意の気持ちを持てること。心理学的には、相手から“父性”を感じたときに、『そうなりたい』という敬意が発生します。父性の条件は以下の4つです」(樺沢紫苑さん、以下同じ)

(1)規範を示している

(2)周りの社員やお客さんから尊敬、信頼されている

(3)「すごい」「そうなりたい」と思われている

(4)ビジョン、理念を行動などで示している


つまり、「尊敬されない」上司とは、この父性の定義の逆ということになると言います。次項では「尊敬されない」上司の具体的な3つのパターンとその例について紹介いただきました。

尊敬されない上司、3パターン


逆に尊敬“されない”上司とは、どんな人を言うのでしょうか?

(1)言っていることとやっていることが矛盾している


「規範を示している、つまり自分でルールを示し、それを実行しているというような有言実行を体現している人が尊敬される上司です。

そのため、言っていることとやっていることが違うと、周りからすれば信頼できるとはいえません。例えば、部下には『時間厳守』と強く言うのに、自分は取るに足らない理由で平気で遅刻するような上司がいたら納得できませんよね」

(2)言っていることがコロコロ変わる


「ビジョンや理念を示している。つまり、目標や行動、結果などできちんとビジョンを示せるのが尊敬される上司ですが、その逆は、言っていることがコロコロ変わるということ。

例えば『〇〇の資料はいらない』と言っていたのに、締め切り前日になって、『やっぱり〇〇の資料が必要だから準備して』と言ってくるなどです。これでは部下からすれば大きな負担がのしかかりますし、『最初から言ってくれればいいのに』と、尊敬も信用もしにくいのではないしょうか」

(3)イケてない、情けない


「『尊敬される』を俗っぽい言葉で表現すると、『すごい』『かっこいい』ということ。

『プレゼンに関しては、課長の右に出るものはいない』とか、何か一つでも突出した能力を持っていたり、一芸に秀でていると尊敬の対象となります。あるいは、部下に全て責任をおしつけるのではなく、必要なときに部下をかばってくれる。そんな上司は部下以外の人が見ても『かっこいい』上司であり、尊敬したくなるはずです。

そんな『すごい』『かっこいい』上司の逆は、『イケてない』『情けない』ということ。

普段は目立たない存在であっても、イザというときに頼りになるのがかっこいい尊敬される上司、反対にイザというときに頼りにならないのが情けなく、尊敬できない上司です」

尊敬できない上司とうまく付き合うコツ3箇条!


しかし、部下の立場から上司は選べないもの。運悪く尊敬できない上司にあたってしまった場合、その上司とどのように付き合っていけば良いのでしょうか。樺沢さんによれば、尊敬できない上司とうまく付き合うコツは以下の3つなのだとか。

(1)上司の悪口は言わない


「尊敬できない上司がいたとすれば、同僚の間でつい上司の悪口を言って盛り上がってしまうこともあるかと思いますが、そんなあなたの『尊敬できない』感情は、上司に筒抜けとなっているかもしれないのです。

人間の感情は『非言語的』にも伝わります。つまり、心の中に思っただけで相手に伝わっていることがあると考えたほうがいいでしょう。

あなたが上司に対して『尊敬できない』という気持ちや、内心ばかにした気持ちを持っているとしましょう。それが上司に伝わることで、あなたが昇進候補から外されたり、きつい仕事をふられたりしてしまうこともあるかもしれないのです。

口にしなくても伝わることがあるからこそ、本人がいない場面においても上司の悪口は絶対に言わないことです」

(2)上司の良いところを探す


「たとえ尊敬できない上司であっても一つくらいは長所があるはずですので、そこを探してください。『仕事はできないけど、人当たりはいい』など、何でもいいので上司の良い部分を探すといいでしょう。

それもまた上司に『非言語的』に伝わりますし、上司はあなたに対してポジティブな感情を持つようになり、結果としてあなたを引き上げてくれたり、昇進の対象に選んでくれることがあるかもしれません。

社内に敵を増やしても、何一つ得はありません。どんな人にも長所はありますので、根気よくそれを探していくことで周りの人と敵対することなく、コミュニケーションも円滑にできるはずですよ」

(3)上司を陰で褒める


「上司の長所を発見したら、それを『言葉に出して言う』ことも大切。もし、周りが上司の悪口で盛り上がっていたとしても、あなただけは『でも、課長は〇〇についてはすごいと思うよ』というように擁護派となるべき。言葉に出して言っていると、心からそう思えてくるものだったりするんです。

『尊敬できない上司』が『尊敬できる上司』に180度変わらないとしても、『意外とイイ上司』に変わることができれば、その上司との人間関係もかなり好転するはずです」

あなた次第で上司は「少しだけ」変わる


「尊敬できない上司」を「意外とイイ上司」に変えることができるのは、部下であるあなた次第です。今回ご紹介した3箇条を意識して、今日から上司と接してみませんか? 見かたを少し変えるだけで、上司との関係性や業務効率、あなたのキャリアアップがスムーズになるかもしれませんよ。


※この記事は2017/08/31にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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