いよいよ副業が解禁! どこからどこまでOK? ビジネスパーソンの副業

昨今、副業に対する関心が高まっており、20代のビジネスパーソンの中にも副業を始めてみたいと考えている人は少なくないかもしれません。

いよいよ副業が解禁! どこからどこまでOK? ビジネスパーソンの副業

昨今、副業に対する関心が高まっており、20代のビジネスパーソンの中にも副業を始めてみたいと考えている人は少なくないかもしれません。

最近ではネットショップの運営やフリーマーケットアプリなど、ビジネスパーソンが副収入を得る方法はさまざまあります。一体どこからが副業と考えればいいのでしょうか。 この記事では副業禁止が緩和されるようになってきた背景とともに、副業の範囲や注意点について社労士の榊さんからご説明いただきました。

「副業解禁」に向かっている背景


時代の流れとともに多様な働き方が認められるようになってきました。その一つとして、副業・兼業の解禁が本格的に進められています。

近年の副業に対する国や企業の考え方を時系列で追っていくと、大きく以下のようにまとめられます。

時点 状況 背景
リーマンショック前
(2008年以前)
副業を容認する企業は少なく、「副業禁止」が原則であった 社内の仕事に集中することが当然という考え方が主流であったため
リーマンショック後
(2009年以降)
生活を守るための副業であれば、容認するという企業が増えた 大不況により賃金や賞与のカット、休業等が行われ、企業が社員の生活を守ることが難しくなったため
「働き方改革」以降
(2016年以降)
生活のためだけでなく、本人の成長や自己実現など、幅広い事情での副業を認める企業が増えてきた 「働き方改革」の一環として、副業を積極的に認めるべきだという方針が打ち出され、社会もこれに応じ始めたため
「副業解禁」以降
(2018年以降)
副業を認める方向に舵を切る企業がさらに増えていくと予想される 厚生労働省がモデル就業規則を「副業容認」の形に改定し、国策として副業解禁を推し進めていくことが一層明確になったため

 

副業になるラインとは


副業をどの程度制限するのかは会社ごとに考え方が異なりますが、一般的な会社の就業規則において副業禁止規定に抵触するのは、「他社で勤務をする」「自らが事業主として事業を行う」というような「労務提供型」の副業です。株式投資やFX、不動産投資のような「不労所得型」は、副業には該当しないと考えられています。

また、「労務提供型」であっても、全てが禁止というわけではありません。

「近所の少年野球チームのコーチをボランティアで引き受けた」というような営利を目的としない副業や、「パソコンが得意なので、知人から頼まれてパソコンを修理したら修理代をもらった」というような副業は、就業規則で禁止されるべき副業には含まれないと一般的には考えられています。

つまり、(1)労務提供型に該当し(2)営利目的で(3)反復継続性がある、の3つの条件をすべて満たすと、一般的に禁止される副業だと理解したほうが良いでしょう。

そして、昨今国会などで取り上げられている「副業解禁」は、平たく言えば、(1)(2)(3)の条件を満たす副業であっても、各社の就業規則で禁止や許可制にするのではなく、届出制または原則自由の形に緩和していこうという一連の議論を指しています。

これは副業に入る? 副業の該当と非該当ライン

 

「(1) 労務提供型に該当し(2)営利目的で(3)反復継続性がある」


上記全てを満たすものが副業該当ライン。ここからは具体例を4つ挙げながら副業の該当ラインと非該当ラインを判別していきましょう。

該当ラインに抵触した場合、副業が自由な会社以外は「禁止」「許可制」「届出制」など、就業規則で定められたルールに沿った対応を取らなくてはなりません。

1.ネットを使った物品の売買


ネットショップの経営は副業に該当します。

フリマアプリやオークションサイトで商品を販売する場合は、それが自宅の不用品を処分するための1回限りのものであれば反復継続性がないので副業に該当しません。しかし、仕入れてきた物品を連続して転売する場合は、反復継続性が認められるため副業に該当すると考えるべきでしょう。

2.業務請負系の仕事


知人から頼まれてパソコンの修理をすること、WEBメディアに記事を1~2回寄稿すること、といった程度であれば副業には含まれません。

しかし、クラウドソーシングのマッチングサイトに登録して反復継続的にライター等の仕事を受注した場合は副業に該当します。

3.アフェリエイト系の仕事


趣味でブログを書いていてたまたま広告収入が入った場合は、営利目的とまでは言えないため、副業には含まれないと考えて良いでしょう。

はじめから広告収入を得ることを主たる目的としてホームページを作成したり、ブログを書いたりしている場合は、副業に含まれると考えるべきかもしれません。

4.不労所得型の副業についての補足


前述した通り、不動産投資や株式投資などは一般的に副業に含まれないと考えられています。

ただし、単なる不動産投資にとどまらず、投資先アパートの清掃や苦情処理といった管理実務を管理会社に委託せず自ら行う場合は、もはや「不労所得型」とは言えません。実態は「労務提供型」の副業となり、副業禁止規定の制約を受ける可能性があることに注意をしてください。

副業は確定申告が必要?


副業をしている場合は、原則として確定申告をする必要があると考えてください。

例外的に確定申告が不要となるのは、副業による所得が事業所得や雑所得であり、かつ、所得が20万円以下の場合に限られます。

・具体的な確定申告の進め方

副業が給与所得の場合:本業の会社と副業の会社から受け取った源泉徴収票を2枚用意して確定申告を行います。副業の会社からも源泉徴収票を忘れずに受け取りましょう。

副業が事業所得や雑所得の場合:本業の会社の源泉徴収票と副業の種類に応じて必要となる各種書類を揃えた上で確定申告を行います。分からないことがあれば、税務署の窓口や税理士の方に相談をしましょう。

この場合、注意すべきことが一点あります。申請する「所得」は単なる収入を指すのではなく、「収入」から「経費」を控除したものです。経費の控除を忘れると所得税や住民税が高くつく上、後日修正申告する手間が余計にかかってしまいますので、忘れないように気を付けてください。

副業によって会社とトラブルになる場合・その時の対処法


会社とのトラブルを起こさないためにも、次のような3つのパターンに注意しましょう。

1.会社に隠れて副業をしていたことが発覚した


副業を解禁する方向に動いているとはいえ、届出や許可を条件に認めている会社が大半です。そのため、副業の内容自体が問題はなくても、届出や許可を怠ったことで懲戒処分を受けてしまう恐れがあります。

就業規則等をよく読み、会社で定められた届出や許可の手続きをきちんと踏んだ上で、副業をスタートするようにしてください。

2.会社で認められた範囲外の副業を行った場合


1のパターンと関連しますが、会社に隠れて競合する業務となるような副業や反社会的な副業を行っていたことが発覚すると、トラブルの原因になります。

会社の業績や風評に悪影響を及ぼす副業は、どんなに副業に寛容な会社であっても当然認められません。発覚した場合は、懲戒解雇を含む重い処分が下されることになるかもしれないのです。副業によって利益相反で会社に損害を与えないようにしましょう。

3.副業を行うことで本業のパフォーマンスが落ちる場合


本業の業務時間中はもちろん、連日深夜まで副業をしていたため本業のパフォーマンスが落ちるようなことがあってはなりません。

この場合、本業の人事考課に影響が出るだけでなく、業務専念義務違反で懲戒処分を受けることも。副業が許可制の会社であれば、許可を取り消される恐れもあります。また、副業に寛容で届出制をとっている会社であっても、状況が改善されるまで副業一時停止の業務命令が出されるでしょう。

まとめ


副業は単に収入を増やすだけではなく、自分が会社以外で活躍できる場所を見つけるきっかけになるかもしれません。

とはいえ、本業あってこその副業ですので、会社で定められた規則やルールをきちんと守って副業を行うようにしましょう。

識者プロフィール


榊裕葵(さかき・ゆうき)ポライト社会保険労務士法人 マネージング・パートナー
上場企業経営企画室出身の社会保険労務士として、労働トラブルの発生を予防できる労務管理体制の構築や、従業員のモチベーションアップの支援に力を入れている。また、「シェアーズカフェ・オンライン」に執筆者として参加し、労働問題や年金問題に関し、積極的に情報発信を行っている。

※この記事は2018/04/20にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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