キャビンアテンダント、タクシー運転手、ヘアメイク……雑談の達人たちに聞いた、会話の鉄板ネタと工夫のポイントとは?

仕事上、初対面や顔見知り程度の人と雑談する機会の多い人もいます。一見、何の苦もなく話して、さりげなく距離を縮めることが上手に見える雑談力の高い彼らですが、それぞれの工夫があるのでは⁉ 今回は筆者が「雑談の達人」だと感じた、さまざまな職業の人たち(キャビンアテンダント、タクシー運転手、編集者、ライター、ヘアメイクアップアーティスト、ネイリスト、飲食店経営者、セミナー講師)に、鉄板ネタ&上手な雑談のコツを聞いてみました!

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今回、リサーチしたのは計15人(職業の重複あり)。全員、個人的な友人なので、今までに初対面やそれに近い相手と話している様子を間近で見たことがあり、筆者自身が舌を巻いた話術の方々に直接ヒアリングしました。そこで出てきた雑談ネタ&工夫するコツをお伝えします!

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Q:雑談を始めるとき、話の取っ掛かりに便利なネタは?

やっぱり天気の話。そこから「お家を出るときも降っていましたか?」「ここに来るまで、どのくらい時間がかかりましたか?」というように、居住地を尋ねる質問につなげていきます(編集者)
●髪型や服装、アクセサリーなど、身につけているものを褒める。ただ、お世辞は言わないようにして、本当に「素敵だな」と思ったことだけ、伝えています(ヘアメイクアップアーティスト)
●その時の旬の話題。今だったらコロナウイルスの話や、ワイドショーネタを振って、相手の反応を見る(ネイリスト)
●相手の名刺についてコメントすることが多いです。「おしゃれな名刺ですね」「オフィス、○○にあるんですね」など、まずは最低限得た情報から始めます(ライター)
●差し支えないようであれば、相手の仕事について質問します。仕事の内容、その仕事に就いている年数、繁忙期など、仕事の話題であれば質問を思い付きやすいです(セミナー講師)
●「最近、雨が続きますよね」など天気の話の後に「先週末、よいお天気でしたよね」などとつなげてから、最近の余暇の過ごし方を聞きます(編集者)
まず「今、お話しても良いですか?」「今、話し掛けても大丈夫ですか?」というフレーズを使います。誰でも自分の大切な時間は侵されたくないもの。いきなり話し掛けるよりも「話し掛けていいですか?」と聞くだけで、相手も一呼吸置けて、話を聞いてくださいます(キャビンアテンダント)

まずは天気、時事問題、仕事の話など、当たり障りのない話題からスタート! でも、問題はその後ですよね。相手が答えてくれた後の会話が続かず、沈黙が怖い人は多いはず。そこで、達人たちが教えてくれたネタはこちら!

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Q:今までに盛り上がった経験のある雑談ネタは?

PCやスマホカバーにシールを貼っている人って多いですよね。以前、私も好きなアーティストのシールが貼ってあって、それがきっかけで盛り上がったことがあります(ライター)
●アウトドアが趣味で、天気の話をキッカケに「先週末、天気がよかったから山登りに行ったんですよ」と話すと、意外とアウトドア好きな人が見つかります(編集者)
●猫を飼っているので「昨日ここ、引っかかれちゃったんですよね」などと伝えると、相手が猫好きの場合は「何歳なんですか?」「写真見せてください」など、話が弾みます(編集者)
●私は九州出身なのですが、九州出身の方のイントネーションはすぐわかるので「もしかして九州ですか?」と話し掛けると、だいたい当たっています(タクシー運転手)
マイナーなスポーツの部活出身なので、スポーツの話題を振るようにしています。相手がそのスポーツが好きだったり、同じようにマイナースポーツ経験があったりすると盛り上がりますね(セミナー講師)
「職業病」がテーマの話題は鉄板です。自分の仕事の「あるある」を披露したり、相手の仕事の「あるある」を教えてもらったり……(ライター)
占いの話が好きな方は意外と多いので「最近、○○に載っている占いが面白いですよ」と話したり、逆にお気に入りの占いを教えてもらったりします(ネイリスト)
●仕事柄、美容の話は多いです。相手に「お肌キレイですね、何を使われているんですか?」と尋ねたり、時期に合わせて「この時期、紫外線が気になりますよね~。最近これを使っていて……」と話し掛けたりしています(ヘアメイクアップアーティスト)
●仕事柄、お酒の入る場が多いので、相手の人生観や恋愛観をお聞きして、盛り上がることが多いです。そこで共通点が見つかると仲良くなりやすいですね(飲食店経営者)
●ネタではないのですが、相手のお話を楽しく聞いて、わからないことがあったときは復唱しているだけで、とてもお話が弾みます。ただ、最後に必ず「相手のお話のどこに一番興味を持ったか」を具体的に伝えるように心がけています(キャビンアテンダント)

一通り、当たり障りない話題が終わったら、親しくなるためにもう一歩突っ込んだ話題を探る方が多いようです。一方で、最後にあるように「相手の話を聞く」ことに終始する方も。この「相手の話を聞く」というのは、実は雑談の達人たちが大切にしているポイントだということが、わかってきます。

雑談は自然に盛り上がるものではない!「相手主導」で雑談するテクニック

今までに出てきたネタは、自然と出てきたようでありながら、実は瞬間的に考えられたものであることが次の質問からわかります。

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Q:雑談をするとき、気をつけているポイントは?

●自分のことばかり話さず、相手を知ることを第一と考えて質問します。でも、自分のことも少しは開示する。質問されてばかりでも気持ち悪いと思うから(編集者)
●雑談することで、相手から新しい情報や世界について教えてもらえることがとても多いので、相手ありきで会話します(ネイリスト)
●初対面で、いきなり相手に「好かれよう」なんて、おこがましいこと。でも、自分が相手に興味があると伝えることは、少しだけ楽。相手に好意が伝わるように、言葉を発する前にまず笑顔、を心がけています。これが意外と難しい!(キャビンアテンダント)
相手の名前をきちんと呼ぶだけで、距離感が縮まると思います。ただ、役職で呼ばれることに慣れている方の場合は失礼にならないように「○○さんとお呼びしてよろしいですか?」と伺ってから、お呼びします(キャビンアテンダント)
話が長くなりすぎないように気をつけています。ベストは2~3往復、多くても5往復くらいで切り上げますね(ライター)
●プライベートに立ち入りすぎない、その加減を大切にしています。相手に興味があることはわかるようにしながらも、事前に相手のSNSを調べたことはなるべく言わない。リサーチされていたことを気持ち悪く感じてしまう人もいると思うので(編集者)

ほぼ全員が答えたのが「雑談=相手主導」であること! 雑談というと、お互いに会話の応酬が続くイメージがありますが、必ずしもそうではないのですね。「雑談したい」と思った時点で「私はあなたに興味がある」のだから、興味を持った人がまるでインタビューのように質問を重ね、相手の興味関心を探っていく。その際に、上記ポイントを取り入れると、雑談がしやすくなるはずです。

Q:雑談が続かず、沈黙になったとき、あなたならどうしますか?

●緊張しているせいで沈黙になったときは、自分から「今日はすごく緊張してしまっています」と伝えると、意外に場が和みます(ライター)
●無理をせずに黙っていることが多いですが、少し冗談の通じそうな相手なら「話題終わっちゃいましたね」と笑い合うこともあります。笑いで会話が終わると、よいイメージが残ります(ヘアメイクアップアーティスト)
●雑談を切り上げるときには、必ず「今日はお話できて良かったです」と伝えてから、その場を去るようにしています(編集者)
●話が続かないときは早めに切り上げて、仕事をしているふりをしますね。無理に続けてもドツボにはまるので……(飲食店経営者)
●あまり質問を畳み掛けず、ゆったりとしたペースで会話を続けていけば、そのままゆるやかに沈黙につなげていくこともできるので、負担がないです(編集者)

沈黙を恐れて無理に続けようとしても、相手も「間を埋めるためだけの会話だな」と察して、会話をやめてしまいます。雑談下手を克服するには、前提となるマインドをリセットすることが大切! 雑談はあくまで「相手のことを知るキッカケ」と考え、心に浮かんだ疑問を少しずつ重ねていけば、いつしか共通点が見つかって仲良くなれることもあるでしょう。まずはここに掲載したネタをヒントに、話し掛けてみませんか?

取材・文=富永明子(サーズデイ)
編集=TAPE

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