多くの会社が年度末を迎える3月。思わぬ人事異動や配置転換に戸惑いを感じている人もいらっしゃるかと思います。「ようやく今の仕事にも慣れたところだったのに」という不満や「新しい環境に移ること」への不安から、会社への不満も募ります。
しかし、これからはVUCA時代(Volatility/変動性、Uncertainty/不確実性、Complexity/複雑性、Ambiguity/曖昧性)と言われるように働く環境にスピーディな変化が訪れます。変化を怖がるのではなく、変化を味方につけて自身の力に変えていくことが求められるでしょう。そこで、人事異動や配置転換がもたらす効果について、視点を変えてみたり、新しいチャレンジの準備を整えたりすることで、落ち着いた気持ちで戦略を立ててみましょう。
思わぬ人事異動、配置転換を味方にする3つの戦略
私は2006年創業以来1,000名を超える経営者の方と対話をしてきました。経営者視点で人事異動や配置転換をみると、将来一人ひとりの社員に活躍してもらうために、「多様な経験を積むこと」そして「社内外のつながりを通じてビジネスインパクトを最大化すること」への期待があります。社員にとって「うちの経営者は何を考えているんだ」と思える体制変更は、経営者にとっては会社全体のために合理的な判断なのです。
せっかくですから人事異動・配置転換の機会を最大限、あなた自身の成長に活かしていただきたいと思います。その際のポイントは次の3つです。
①自分のことを棚卸しして、自己理解を深める
②自分のコミュニケーションスタイルや強みを把握する
③それでも愚痴っぽくなるときは「憤りリスト」でポジティブな思考に
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①自分のことを棚卸しして、自己理解を深める
あなたは今、自分に何ができて、何が好きで、何が得意なのか、他者に端的に伝えることができますか? さらに、これからチャレンジしてみたいことは? 即座に答えて、と言われると難しいかもしれません。この機会に、あなたの経験を棚卸ししてみましょう。
まず、書きやすいのは「何が好きか」。どんな仕事をしているときに楽しさを感じているか、機嫌よく進められているかを思い出して書き出します。次に、「何ができるか」。入社してから取り組んできた仕事を洗い出します。できるだけ具体的に表現できるといいですね。そして「得意なこと」。書きにくい場合は同僚へのヒアリングもおすすめです。自分では得意だと思っていなくても、他者から見るととても助かっている役割があるものです。
そして、書き出したことを次の場所で活かすために、どんな準備が必要かも併せて考えてみましょう。先にチャレンジしたい仕事をイメージすると思考が進みやすい人はそこから始めてみるのもいいかもしれません。情報不足やイメージが湧かないときに不安を感じることが多いもの。あなた自身に関する情報をまず整理しておきましょう。
②自分のコミュニケーションスタイルを把握する
新しい職場の人間関係に不安を覚える人もいます。不安を和らげるためにも、自分のコミュニケーションスタイルについても理解を深めることが有効です。たとえば、私が認定ユーザーの資格を持っているMBTI検査では、「ものの見方」「判断の仕方」「興味関心の方向」そして「日常生活での表れ」の4指標で、性格を16タイプに分類します。あなたの心がどのように動き、他者との関係性でどのように表れるのかが把握できるので、自分の心の動きや思考のスタイルや他者との違いを理解しやすく、周囲の人との人間関係作りにも役立てることができます。
自分らしさをより深く理解したうえで、個性を活かしたコミュニケーションをとるための準備をしておくのも良いでしょう。できれば周りの人と一緒にこれらのプロセスを楽しめるとチームビルディングにもなっていいですね。
③それでも愚痴っぽくなるときは「憤りリスト」でポジティブな思考に
それでも気持ちが上がらないときは「憤りリスト」を作ることをおすすめします。
まず、見開きで使えるノートとペンを用意して、左側に憤ったことをとにかく箇条書きしていきます。このノートは誰にも見せないものですので、自分にだけわかる言葉で書いてOK。書き終えたら、黒い気持ちとともにいったんノートを閉じておきましょう。
次に、自分の気持ちが前向きなときを選んでノートを再び開きます。見開きの右側に、左側の箇条書きをポジティブな言い回しに変換します。例えば「左側:〇〇という仕事が非効率すぎる!→右側:〇〇を△△のように効率化できたら1時間は早く帰れそう!」といったイメージです。
書き終えたら、右側に書かれているポジティブな内容に意識を集中して、翌日からの行動を組み立て直してみると、具体的なアクションがクリアになるため、一歩を踏み出しやすくなります。
会社の変化を味方につけて、楽しむためのマインドセットを
経営者から下される決定は、一社員にとっては理解できないことが多いかもしれません。しかし、経営者にしてみれば、会社全体の方向に対し、合理的な決断をしているものです。会社員として働く上では、その変化を前向きに捉え、新しい挑戦を楽しむためのマインドセットや環境づくりをしていくことが大切。やみくもに不安になる前に、自分が頑張ってきたことを捉え直してみてくださいね。
文=大塚万紀子
編集=矢澤拓
【プロフィール】
大塚万紀子
楽天を経て06年(株)ワーク・ライフバランスを小室淑恵とともに創業。高いコミュニケーション力やコーチングスキルを生かし売上利益に貢献する働き方改革コンサルティングの先駆者。心理学や組織論等をもとに多様性をイノベーションにつなげることが得意。経営者から”深層心理まで理解し寄り添いながらも背中を押してくれる良き伴走者”と厚い信頼を得る。農林水産省「食品産業戦略会議」委員(働き方改革分野担当)なども担当。二児の母。
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