入社時には「やりたいこと」が明確で、いつか仕事にできるはず、という期待があったのに、気付けば与えられた仕事をこなしているだけの毎日で、仕事に興味を持てなくなっている人もいるのではないでしょうか。これでは仕事でスキルアップをしたり、自分らしいキャリアを切り拓いたりすることも難しいでしょう。では、そんな時はどのように行動すると良いのでしょうか。
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社内のやりたい仕事にたどり着くために
まずは自分の仕事に「しっかり」取り組む
まず、与えられた仕事をしっかりと進めていきましょう。ここで注意したいのは「しっかり」という言葉です。曖昧で抽象的な言葉ですので、根性論での「しっかり」とイメージするかもしれませんが、この理解だと仕事はうまく進みません。「しっかり」を具体化し、仕事を依頼した相手とのずれを調整していきましょう。期日はいつなのか。資料であれば何枚程度にまとめることを求められているのか。内容の骨子はずれていないか。「しっかり」には、期日や分量、内容や構成といったポイントがずれていないことが含まれるのです。
期日が提示されたら、ついでに事前チェックの日時も設定しておきましょう。仕事は生き物のように動き、変化するものです。数週間も経つと当初の構想から大きく変えなければならないことも出てきます。そのことに気付かずに仕事を進めても、最終的に仕事の発注者の期待から大きく乖離したものができあがってしまうことも。そうならないように、あらかじめ業務進捗や状況を擦り合わせる日時を設定しておくことが大切なのです。
仕事の依頼者とイメージを擦り合わせる
また、内容の骨子や枚数なども言葉だけで済まさないことが大切です。というのも、口頭でのやりとりはイメージがずれてしまいがちだから。以前の記事で、議論の空中戦・地上戦というキーワードをご紹介しましたが、どんな仕事も地上戦に持ち込むことが大切です。パワーポイントのスライドを作成する仕事なのであれば、手書きで構わないのでイメージ図を描き、仕事の依頼者の頭の中にある図と大きな違いがないことを確認しておきましょう。
「しっかり」仕事を進めるためのポイントを押さえながら仕事をしていくと、思いの外スムーズに進み、自分のやりたい仕事ができるようになるチャンスが生まれます。
自分の仕事から「越境」していく具体策
関連性が見えるところから少しずつ
自分の仕事が進んだら、次は少しずつ越境することにチャレンジしてみましょう。
ここでいう「越境」とは、まったく違う分野の仕事に手を出すのではなく、隣の部署の仕事を参考にする、社内の関連業務を担う人を巻き込んでみるなど、関連性が見えるものから取り組むことを指しています。業務として明確に求められていない情報ではあるけれども、今後の展開を考えるといずれ必要になりそうな資料を作って添付しておく、上司から仕事を依頼されたときにもう1つ引き受ける業務を増やしてみる、上司や同僚が担当している仕事に自分も関わりたいと手を挙げる、別部署の同僚に助言をしたり仕事を手伝ったりするなどが良いでしょう。
大切なのは「情報の収集・共有」
越境する際に大切なのは、情報の収集・共有です。誰でも閲覧できる情報なのに、保存先が分からなくて探しているうちに、他の仕事が入って見に行くことすら忘れてしまう……となるのはもったいないですよね。日頃から自分の持っている情報を整理整頓すること、チーム内の情報を整理整頓するための仕組みを作ることが大切です。
簡単にできることとして、フォルダ名の整理をしてみるといいでしょう。「01_Aプロジェクト_構想段階の資料」「02_Bプロジェクト_社内説明資料」など、頭に番号を振っておくと並べ替えがしやすくなります。また、「yymmdd_C社向けプレゼン資料」など日付を記入しておくのも分かりやすくていいですね。
なぜ越境したいのか、理由を明確に
また、上司や同僚から仕事の依頼を追加で引き受けるときのコミュニケーションにもポイントがあります。ただ単に「やらせてください」だけだと、「本当に大丈夫かな?」と相手が心配になってしまうこともあります。「今、〇〇という課題を乗り越えるために××というスキルを磨きたいと考えているので、ぜひそのプロジェクトで経験を積ませていただけませんか」など、なぜ手を挙げたのか、何を得たいのか、を明確に伝えてみましょう。相手も「そういう理由ならば、この仕事ではなくて、あちらの仕事を手伝ってみないか?」と提案をしやすくなります。
やりたい仕事ができるように、地道な越境を繰り返そう
いかがでしたか? 今回の方法は、今すぐに自分のやりたかった仕事ができるわけではないかもしれません。しかし、今いる場所からさらに羽ばたいていくためには、地道に自身のできる仕事を増やしていくことが不可欠です。やりたいことができない現在の環境を嘆くのではなく、少しずつ自分のできることの幅を広げて、自身のやりたい仕事への距離を近づけていきましょう。
文=大塚万紀子
編集=矢澤拓
【プロフィール】
大塚万紀子
楽天を経て06年(株)ワーク・ライフバランスを小室淑恵とともに創業。高いコミュニケーション力やコーチングスキルを生かし売上利益に貢献する働き方改革コンサルティングの先駆者。心理学や組織論等をもとに多様性をイノベーションにつなげることが得意。経営者から”深層心理まで理解し寄り添いながらも背中を押してくれる良き伴走者”と厚い信頼を得る。農林水産省「食品産業戦略会議」委員(働き方改革分野担当)なども担当。二児の母。
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