“経験貯金”が40代で武器になる! 次長課長・河本準一がもしも20代だったらはじめること

先輩・後輩両方との接点が多いお笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんは、社会で言えば中間管理職のような存在。その信頼感から吉本興業のアイドルグループ「吉本坂46」ではキャプテンを務めています。後編では吉本の上下関係に始まり、キャリアの積み方にも話が広がりました。

※インタビュー前編はこちら↓
“芸人”中間管理職!次長課長・河本が語る「先輩に気に入られる力」と名MC芸人たちの処世術

 

先輩・後輩の上下関係は同じ世界でしか通用しない

ーー以前テレビ番組で霜降り明星の粗品さんが「吉本芸人は、先輩も後輩も『NSC何期生?』『芸歴何年目?』と聞き過ぎる節がある」というようなことをおっしゃっていました。先輩・後輩の上下関係を煩わしいと感じる方もいるようです。

河本:僕は学生時代にラグビー部に所属していて先輩・後輩の上下関係が当たり前だったので、全然気になりませんね。ただし、昔と違って学校を卒業したらすぐ就職するのではなく、ちょっとフラフラしたり、もう一度学校に行き直したり、キャリアが複雑になっているのは事実だと思います。

確かに、吉本には「NSC何期」みたいなくくりがありますが、あれも最初は吉本NSCのパンフレットに先輩を紹介するページがあって、そこに掲載されていたのが始まりだと思うんですよね。ただ、途中で年齢制限がなくなったことでややこしくなってしまったというか。

ーー確かに年齢の序列が変わると上下関係も難しくなりますよね。

河本:僕より年齢が3つ上の48歳で、芸歴が25年下の後輩がいるんですけど、3周くらい回って敬語で接しています。だから、年齢だけで考えれば分かりやすいと思います。芸歴で考えちゃうとすごくややこしいから。

でも、それも関係性によって違うと思うんですよ。おぎやはぎは僕の後輩なんですけど、年は3つ上なんです。それでもお互いにタメ口だし、そんなことで関係性が壊れるわけでもありません。

結局、友達感覚の方が親しみやすいのは当たり前です。ただしそれは関係性があってのこと。

ーー社会でも同じことが言えそうですよね。年齢は違うけど同期ということはよくある気がします。

河本:そうですね。高校卒業して社会に出た人が、大学出て社会に出た人より偉いわけではないと思います。

会社に勤めていれば、年下の上司、年上の部下がいて当然でしょうし、転職をすればやっぱり最初は年下の人に教えてもらったり、同年代のサポートに入ったりすることがあるでしょう。異なるキャリアを積んでいれば、同期でも年下でも敬語を使うことはそれほど違和感はないはずです。

「NSCの何期生か」「芸歴何年目か」というのがやたらとフォーカスされますけど、お笑いの世界以外では通じないことですからね(笑)。

 

セカンドチャンスがなくなった「一発レッド」の時代

ーーちなみに、河本さんからは今の若い世代はどのように映るのでしょうか?

河本:僕らは一つのことを「じっくりコトコト」やっていた世代なんですよ。でも、最近はYouTubeチャンネルを運営していても、たった1分で判断されてしまう時代になってしまったので、良くも悪くもインパクトが出せないと評価されなくなってしまった気がします。

もちろん、結果を出して人気を博している芸人もいるので、それは本当にすごいこと。一方で、じっくり時間をかけることで味が出てくる芸人にもスポットが当たるようになるといいなと思います。

ただ、小さいときからスマホを持っている若い世代は、情報の取得量も流れるスピードも僕らのときとは段違いなので、一つ一つにかける時間がなくなってしまっているのは、仕方がないと思っています。

ーーそれによって失敗が許されない雰囲気も漂っている気がします。

河本:そうですね。ジャッジされるタイミングが早い分、セカンドチャンス、サードチャンスが回ってくる機会は減っているかもしれないですよね。僕たちが若い頃にあった「ドンマイ」が通じなくなってしまったというか。

芸能人のスキャンダルもそうです。一度失敗をしてしまうとそれだけで「一発レッドカード」。即、退場になってしまっていますね。それだけ替えの人がたくさんいるということでもあると思うのですが、ただ一方で、違うことにチャレンジできる機会も増えているということだと思います。

ブレイクした場所ではないところで、セカンドキャリア、サードキャリアを積んで成功している人も多いのです。「向かないな」と感じたら思い切って他のことをやってみるのもいいと思います。

 

「経験」は「貯金」して使うことができる

ーーくすぶっている20代の後輩がいたとしたら、河本さんはどんな言葉を掛けますか?

河本:「失敗したらどうしよう」とか「自分なんてどうせ……」みたいな言葉はすべて口にしない方がいいと伝えますね。僕は「失敗」って言葉を使いたくないし、あまり使わないようにしていて。というのも、「結果」を求めるのはいいんですけど、「成功」を求めるのはちょっと違うかなと思うんです。

百発百中で成功できる人なんていないじゃないですか。何回も何回も挑戦して、それで成功をつかみ取ることができる。20代でチャレンジした「経験」を40代に「貯金」として使うことができるんですよ。

ーーありきたりな言葉ですが、失敗を恐れず行動することが大切ということでしょうか。

河本:そうそう。言い訳をする時間があるなら、とにかく行動してほしい。今、僕が20代だったら100個くらいやりたいことがあるんですよね。しかも僕が若かった頃と違って、最近は起業も副業もしやすくなっているし、いろんなことに足を突っ込めるから。何か考えていることがあるなら、ぜひ行動に移してほしいですね。

昔は一度就職したら簡単には辞められないという価値観が強かったと思うんですけど、最近はそういう時代ではなくなってきている気がします。芸能界でもフリーになる人が増えているじゃないですか。僕の後輩にも最近独立した芸人がいますけど。

そういうニュースを知るたびに僕らの世代は大丈夫かなと心配になるわけですよ。ただ、当事者たちはワクワク感でいっぱいかもしれないし、そうやって行動することで拓けてくる道もあるんじゃないですかね。


※インタビュー前編はこちら↓
“芸人”中間管理職!次長課長・河本が語る「先輩に気に入られる力」と名MC芸人たちの処世術

 

【プロフィール】
河本準一(こうもと・じゅんいち)●1975年生まれ、岡山県出身。NSC大阪校に入学後、トリオを結成。1995年、井上とのコンビ・次長課長に。現在は「じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告~」(テレビ東京)などにレギュラー出演中。吉本坂46のキャプテンを務め、自身プロデュースしているお米「準米」を販売するなど、テレビの枠を超えて幅広く活躍。YouTubeチャンネル「河本じゅんちゃんねる」

取材・文=村上広大
写真=加藤謙樹
編集=山田卓立

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