「なるほど」は失礼?ビジネスでも使える言い換え表現を解説

上司や取引先との会話で、無意識に「なるほど」を使っていませんか?心当たりがある方は、もしかすると相手に失礼な印象を与えているかもしれません。今後は、言い換え表現を使うようにしましょう。本記事で、「なるほど」の意味や目上の相手に使える代わりの言葉を解説します。

「なるほど」は、会話の中で使う機会の多い言葉です。しかし、敬語ではないため、ビジネスシーンで目上の相手や取引先に使うと失礼な印象を与えます。同じく、「参考になります」や「たしかに」も失礼な印象を与えやすいため、注意が必要です。

本記事では、なぜ「なるほど」が目上の相手に失礼な印象を与えるのか、そして目上の相手に使える「なるほど」の適切な言い換え表現について、例文とともに解説します。

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「なるほど」の意味とは?

「なるほど」とは、相手の言葉に対して「その通り」と同意する気持ちを表した感嘆詞(感動・感心のあまり発する言葉)です。また、副詞として「たしかに」「誠に」という意味で使うこともあります。

「なるほど」の一般的な使い方

「なるほど」は、主に家族や知人・友人との日常会話の中で同意や納得することがあった場合に使うことが多いです。例えば、友人の説明に納得した場合、以下のように「なるほど」を使用することがあります。

自分:〇〇のレストラン、人気店だったのになぜ閉店したのだろうね。
友人:より広い店舗で運営するために、□□に移転するらしいよ。
自分:なるほどね。

ビジネスシーンで「なるほど」が失礼なのはなぜ?

いつからか「なるほど」は失礼な言葉と耳にするようになりましたが、それはなぜなのでしょうか。ここからはビジネスシーンにおいて「なるほど」の使用が目上の相手に対して失礼にあたる理由を詳しく解説します。

「なるほど」は敬語表現ではない

「なるほど」が敬語表現ではない点が、ビジネスシーンで使うと相手に失礼にあたる理由のひとつです。「なるほど」を使うと、目上の相手や取引先に対しても「うん」「そうだね」と答えているような印象を与えてしまうことがあります。

「なるほどですね」に変えてもNG

「なるほど」が敬語ではない点を考慮し、丁寧語の「です」を加えて「なるほどです(ね)」と表現したとしても、相手に失礼な印象を与えることに変わりありません。なぜなら、「なるほど(ですね)」を使うことにより、相手の意見を評価した上で「同意した」と上から目線の印象を与えることになりかねないからです。

そもそも、「なるほど」は感嘆詞や副詞として使うため、敬語(丁寧語)をつけること自体が一般的に誤用とされています。

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ビジネスで目上の相手に使える「なるほど」の言い換え表現

「なるほど」は、同意する場面や納得する場面、相槌を打つ場面などでつい使ってしまいがちな言葉です。ここから、それぞれの場面における言い換え表現・代わりの言葉を解説します。

同意なら「おっしゃるとおりです」

相手の言っていることが正しいと思い、同意を伝える場合は「おっしゃるとおりです」を使います。「おっしゃるとおりです」は、「私もそう思います」をより丁寧に表現した言葉です。

なお、さらに丁寧にしようとして「おっしゃられるとおりです」とすると、二重敬語(*)になるため、注意しましょう。

*二重敬語…ひとつの語に同じ種類の敬語を使うこと。使用は適切ではないとされることが一般的。

「おっしゃるとおりです」の例文

課長:A社の評判はあまり良くないから、新規取引は中断した方がよいのではないだろうか?
自分:〇〇課長のおっしゃるとおりです。私も良くない噂を耳にしたので、A社との新規取引は見送る方向で進めます。

理解を示すなら「左様でございますか」

「左様」とは、「その通り」を意味する言葉です。

目上の相手や取引先の話した内容に理解を示したり肯定したりする際に、「左様ですか」「左様でございますか」を使うことがあります。ただし、使用する場面によっては堅苦しい印象を与えることもあるため、注意しましょう。

「左様でございますか」の例文

取引先:先週発注した商品が、まだ届いていないのですが。
自分:左様でございますか。大変失礼いたしました。至急担当の部署に確認いたします。

納得なら「承知いたしました」「かしこまりました」

上司や取引先の発言に納得し、従う意思を伝える場合は、「承知いたしました」や「かしこまりました」を使います。それぞれの例文を確認しましょう。

「承知いたしました」の例文

上司:B社の〇〇社長は□□分野への関心が強いから、関連する新サービスのパンフレットを持参した方がいいよ。
自分:承知いたしました。それでは、明日訪問する際に持参いたします。

「かしこまりました」の例文

上司:C社の部長、たしか午前中はいつも外出しているはずだよ。
自分:かしこまりました。それでは、午後に連絡するようにいたします。

相槌なら「はい」

「なるほど」を相槌で使っているのであれば、シンプルに「はい」で置き換えられます。ただし、「はいはい」のように重ねて使うと、適当に返事しているような印象を与えるため注意しましょう。

なお、相槌は相手の言葉の句読点のタイミングで打つことがポイントです。

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「なるほど」以外で注意が必要な表現

「なるほど」以外にも、前提や間柄によって使うと失礼な印象を与えかねない言葉があります。ここから、特に注意が必要な表現を5つ紹介します。

本当ですか?

「本当ですか?」は、相手の発言を疑っているような印象を与える表現です。目上の相手や取引先に使うことは控えましょう。

「本当ですか?」の代わりに「そうでしたか」を使えば、疑っているような印象を与えずに、相槌を打てます。

たしかに

「なるほど」の意味のひとつであることからもわかるように、「たしかに」は敬語表現ではありません。上司や取引先などの発言に対して相槌を打つ際は、「たしかに」の代わりに「おっしゃる通りですね」「おっしゃる通りかと存じます」などと表現するとよいでしょう。

参考になります

「参考」とは、他人の意見を自分の考えを決める手掛かりにすることです。そのため、「参考になります」を使うと、目上の相手や取引先に「自分の意見は手掛かりにしかならないのか」と思われる可能性があります。

「参考になります」を使いたくなったら、代わりに「勉強になりました」と表現するとよいでしょう。

了解です

「了解」とは、物事の内容や事情を理解して承認することです。「了解です」や「了解いたしました」(*)などの丁寧語にしても、「承認する」という上から目線の印象を与える可能性があるため、目上の相手や取引先には「承知いたしました」や「かしこまりました」などの表現で置き換えるとよいでしょう。

一理あります

「一理」とは、「ひとつの道理」や「一応の理屈」などを意味する言葉です。「一理あります」と述べると、相手に「全部は認められないが、一応の理屈はある(一部は理解できる)」と伝えることになります。

そのため、上司や取引先の発言に納得しているのにもかかわらず「一理あります」と伝えると、相手に「納得いかない部分があるのかな?」と思わせてしまう可能性があります。上司や取引先の意見に反対するつもりはなく、同意・納得していることを示したいのであれば、「異存ございません」などに言い換えると良いでしょう。

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「なるほど」と目上の相手に言ってしまったら?

ビジネスの場では、相手に失礼な印象を与えないように極力「なるほど」の使用を避けることが大切です。しかし、失礼にあたると頭では理解していても、日常会話の癖で思わず言ってしまうことがあるかもしれません。

上司や取引先が言っていることに感心してつい「なるほど」と言ってしまった場合の応急措置として、「おっしゃる通りですね」や「勉強になりました」などを付け加える方法があります。「なるほど」自体は敬語ではありませんが、その後に敬語を加えることで相手に与える失礼な印象を和らげられるでしょう。

また、自分の発した「なるほど」で相手に不快感を与えてしまった場合は、余計なテクニックを使わず言葉遣いに対して「(大変)失礼いたしました」と素直に謝ることも大切です。

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「なるほど」を英語で表現する方法

承知・納得したことを伝えたいのであれば、”I see.”と表現可能です。また、相手の意見に同意することを伝えたいのであれば、”You are right.”とも伝えられます。

そのほかにも、理解したことを伝える”I get it.”や”I understand.”など、「なるほど」にあたる英語表現は様々です。状況に応じて使い分けましょう。

ビジネスシーンでは「なるほど」以外で相槌を打つ

「なるほど」の正しい言い換え表現

「なるほど」は便利でつい使いたくなる言葉ですが、ビジネスシーンでは失礼な印象を与えるため、極力使用を控えた方がよいでしょう。

代わりに、納得する際には「承知いたしました」や「かしこまりました」、相槌を打つ際には「はい」を使います。正しい表現を使い、ビジネスシーンで目上の相手や取引先への印象を良くしましょう。

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