「わかりました」は正しい敬語?承知しましたとの違いも解説

「わかりました」を当然のように上司の前で使っていませんか?「わかりました」は敬語表現ではありますが、目上の相手への使用は控えた方がよい言葉です。本記事で「わかりました」が正しい敬語なのかを確認していきましょう。

「わかりました」は敬語なの?

「わかりました」は、敬語表現です。しかし、上司や取引先などに使う言葉として相応しくありません。

そこで、「承知いたしました」や「かしこまりました」などの言い換え表現を理解しておくことが大切です。本記事では、「わかりました」の言い換え表現や、誤って使いがちな敬語表現を解説します。

「わかりました」は目上の相手に馴染まない敬語

相手の言っていることを理解・納得した際に使う「わかりました」は、「わかる」に丁寧語の「ます」をつけた敬語です。しかし、あくまで丁寧語であって、尊敬語や謙譲語ではないため、上司や取引先など目上の相手に使う際には馴染みません。

上司や取引先が言っていることに対して理解したことを伝えたい場合は、「わかりました」以外の表現を使う必要があります。

「わかりました」の使い方

「わかりました」自体は正しい表現のため、近い関係であれば使用しても構いません。例えば、親しい先輩と話す際や、後輩と敬語でやり取りする場合は、「わかりました」を使ってもよいでしょう。

年の近い先輩に使う際の例文

(先輩から課の飲み会の予約を頼まれて)
わかりました。明日19時で予約しておきます。

ただし、年が近くても「わかりました」を使われることをよく思わない先輩もいます。関係性を考慮した上で、「わかりました」を使うようにしましょう。

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 「わかりました」を上司・取引先に使う際の丁寧な言い換え表現

上司や取引先に理解・納得したことを伝えるには、「わかりました」をより丁寧な表現で言い換えなければなりません。ここから、「わかりました」の言い換え表現をいくつか紹介します。

承知いたしました

「承知」は、事情を知っている(わかっている)ことや、相手の依頼・要求を聞き入れることです。「承知いたしました」と述べることで、事情を理解したことを伝えられます。

「承知いたしました」は、「承知」に謙譲語の「いたす」と丁寧語の「ます」が付いているため、上司や取引先相手に使用可能です。

「承知いたしました」の例文

(上司から会議時間が変更になったと言われて)
会議時間変更の件、承知いたしました。

なお、「承知いたしました」の代わりに「承知しました」を使うこともあります。「承知しました」は、「承知いたしました」と比べるとカジュアルな表現ですが、目上の相手に使用可能です。

かしこまりました

「かしこまる(畏まる)」は、命令や依頼を慎んで承る意を示す言葉です。「かしこまりました」と述べることで、相手の指示や依頼を理解したことを伝えられます。

「かしこまりました」は、目上の人にへりくだった表現のため、上司や取引先に対して使用可能です。

「かしこまりました」の例文

(取引先から資料を送って欲しいと依頼されて)
かしこまりました。本日中に発送させていただきます。

承りました

「承る」は「受ける」の謙譲語です。「承りました」と述べることで、相手の意見や指示を受け入れたことを伝えられます。

「承る」がそもそも謙譲語のため、「承りました」は上司や取引先に対して使用可能です。

「承りました」の例文

(顧客から追加注文を受け付けた際に)
誠にありがとうございます。本日付でご注文を承りました。

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「わかりました」を言い換える際の注意点

「わかりました」を言い換えるにあたって、いくつか気をつけなければならないことがあります。各注意点を確認していきましょう。

「了解しました」も目上の相手には失礼

「わかりました」を丁寧に言い換えようとして、「了解しました」を使ってしまうことがあります。しかし、「了解しました」には「承認すること」の意味が含まれているため、上司が部下に対して使うことが一般的です。

目上の相手に「了解しました」と言わないようにしましょう。

「承知いたしました」と「かしこまりました」を使い分ける

「承知いたしました」よりも「かしこまりました」の方が丁寧な表現とされています。

そのため、取引先(顧客)に対しては「かしこまりました」を使うとよいでしょう。一方、上司には、かしこまりすぎないように「承知しました」「承知いたしました」を使います。

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わかりましたか?と尋ねたいときの敬語表現は?

相手が理解したか尋ねる際も、「わかりましたか?」の使用は控えた方がよいでしょう。言い換え表現として、「おわかりでしょうか」「ご理解いただけたでしょうか」「よろしいでしょうか」「問題ございませんか」などがあります。

「おわかりでしょうか」は上から目線に聞こえることがあるため、それ以外の3つの表現について例文を交えて解説します。

ご理解いただけたでしょうか

自分の説明を相手が理解してくれたか気になる場合、「ご理解いただけたでしょうか」を使います。ただし、簡単なことで使ったり、説明不足で使ったりすると相手を不快にさせかねない点に注意しましょう。

「ご理解いただけたでしょうか」の例文

(自社の商品概要や仕組みを説明した後で)
以上です。ご理解いただけたでしょうか?

よろしいでしょうか

こちらからの提案に対して相手の意思や同意を確認する際に、「よろしいでしょうか」を使うことがあります。「よろしいですか」を使うこともできますが、威圧的な印象を与えかねないため、極力「よろしいでしょうか」を使うようにしましょう。

「よろしいでしょうか」の例文

本日の打ち合わせ、13時開始でよろしいでしょうか?

問題ございませんか

特定の内容や事柄について、上司や取引先が同意しているか確認する際、「問題ございませんか」や「問題ないでしょうか」を使うことがあります。ただし、「問題ございませんでしょうか」は二重敬語でNGと考える人がいるため、極力使用を控えた方がよいでしょう。

「問題ございませんか」の例文

(社内で使用している資料を外部に持ち出してもよいかわからず、上司に尋ねる場合)
昨日の打ち合わせで使用した資料、A社へ持参しても問題ございませんか?

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その他誤って使いがちな敬語表現

「わかりました」に限らず、つい間違って目上の相手に使いがちな表現がいくつもあります。しっかりと理解し、今後使用しないようにしましょう。

すいません

「すいません」は「すまない」の丁寧語であるため、「すいません」ではなく「すみません」が正しい表現です。また、正しく「すみません」と述べても、ビジネスシーンで上司や取引先に使うと軽く聞こえてしまいます。

目上の人に謝罪や依頼をする際は、「失礼いたしました」「申し訳ございません(が)」などと表現するとよいでしょう。

なるほどですね

相手の言葉に対して納得・同意した際に使う「なるほど」は感嘆詞のため、後ろに丁寧語(ですね)をつけると誤用です。また、そもそも「なるほど」自体が目上の相手に使う言葉としては失礼にあたります。

上司や取引先の発言に対して、納得・同意を示したい場合は、「左様でございますか」「おっしゃるとおりです」などを使うとよいでしょう。

よろしかったでしょうか

「よろしかったでしょうか」には、過去・完了の助動詞(た)がついているため、現在・未来のことを確認する言葉ではないとされることが一般的です。

そのため、「資料の提出は明日になってもよろしかったでしょうか?」ではなく、「資料の提出は明日になってもよろしいでしょうか?」とします。一方、「先ほど、A社に資料送付しておきました。よろしかったでしょうか?」のように、すでに起こっていることであれば、一般的に構わないとされています。

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「わかりました」は上司や取引先には使えない敬語

「わかりました」は上司に使えない敬語!

「わかりました」は敬語ですが、上司や取引先に使うと失礼な印象を与えかねません。理解・納得したことを目上の相手に伝えたい場合は、「承知いたしました」「かしこまりました」などを使うとよいでしょう。

また、「わかりました」以外にもつい間違って使用しがちな表現がいくつも存在します。正しい敬語表現を身につけた上で、上司や取引先と会話やメールのやり取りをするようにしましょう。

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