人生の選択肢に海外を含める生き方を始めよう ーあしたからのグローバル学【太田英基の未来の授業-後編】

太田英基の未来の授業<時間割> 1.「5年後どんな自分でありたいか」を想像すれば、正しい選択肢が見えてくる-太田流キャリアプランの方程式

人生の選択肢に海外を含める生き方を始めよう ーあしたからのグローバル学【太田英基の未来の授業-後編】

太田英基の未来の授業<時間割>


1.「5年後どんな自分でありたいか」を想像すれば、正しい選択肢が見えてくる-太田流キャリアプランの方程式

2.人生の選択肢に海外を含める生き方を始めよう -あしたからのグローバル学

前回に引き続き、講師は「グローバルな人間になりたい」と決意し、自ら起業した会社を辞め、世界を旅してきた太田英基さん。旅の中で海外で活躍する若者を取材してきた太田さんが旅を通じて感じた、グローバル時代に生きる日本人のあるべき姿についてお話をお伺いしていきます。

太田さんの価値観を変えた、元マッキンゼー日本支社長・横山 禎徳さんの言葉


それまでの人生で英語や海外に特別触れたことがなかった僕が、どうして「グローバルな人間になりたい」と主張するようになったか。それは元マッキンゼー日本支社長であった横山 禎徳さんのある話に衝撃を受けたからなんです。「日本人の場合、何かビジネスを立ち上げようと思ったとき、日本のマーケットを中心にして考えている。でも本当にグローバルな人は、何かいいアイデアがあったら、それを『日本じゃなくてメキシコでやったらうまくいくんじゃないか』と考える」とおっしゃったんです。


確かにムスリムの女性は、さまざまな国にいますよね。インドネシア、マレーシア、中東はもちろん、アメリカにだってムスリム地区がある。そういう風にして、何かビジネスのアイデアがあったときに、それを世界のドコに必要としている人がいて、どうやって価値を提供できるのか、というのを考えることができるような人が、グローバルに活動するビジネスパーソンだと。そのときに「自分もそうなりたい!」って心底思ったんですよ。

ビジネスシーンで活躍する日本人のロールモデルに出会う旅へ


いざ会社を辞めて世界を旅しようと思ったときに、目的も無しに行くのは嫌だったんです。「何か面白いことできないかな」と考えた結果、日本人が世界に目を向けるきっかけがつくりたいという結論に至りました。世界では日本人は内向き指向だとよく言われるのですが、僕はもっとシンプルに、世界と向き合うきっかけがなかっただけなんじゃないかなと思うんです。

例えばスポーツというフィールドでは、イチローや中田英寿などといった海外で活躍する日本人のロールモデルがいるから、今の子どもたちは「メジャーリーガーになりたい!」と言ったり、サッカーでも「海外リーグで活躍したい」って夢を持つようになりましたよね。これはビジネスの現場にも言えて、世界に行って活躍する人の情報を知っているから、成功例に自身の未来を重ねて、キャリアを考えることができるんだということに気付いたんです。外務省の統計では、海外には100万人規模の日本を離れて暮らしている日本人がいるにはいるらしい。だったら、世界各地で働いている日本人(サムライ)のもとを訪ねて、レポート記事を蓄積していこう*と思い至ったんです。

*サムライバックパッカープロジェクト

世界で活躍する日本人と関わって感じた印象は……「普通」だった!?


世界には人事コンサルを退職後、渡英して日本酒ソムリエとなった菊谷なつきさん*1や日本の某大手ビールメーカーから自分自身でビールづくりを学ぶために、蒸溜学科のあるスコットランドの大学院へ留学して、ビール醸造家となった今井礼欧さん*2など、魅力溢れる人はたくさんいます。世界で活躍する日本人に会って気付いたのは、みんな全然普通の日本人なんだということですね(笑)。もちろん言語の壁をさまざまな手段で乗り越えたバイタリティーある人だという違いはありますけど。


また、海外で活躍するパターンとしては一つはやりたいことがあって、それを実現するために世界へ出る必要があったと語る人。もう一つは最初からキャリアプランが世界照準だった人もいます。印象的だったのは、ロンドンで出会ったファイナンスを勉強している人に「なんでわざわざロンドンでファイナンスの勉強をしているの? 東京ではダメだったの?」と聞いたところ「東京がファイナンス業界で世界の最前線だったら、東京でもよかったんですけど。やっぱり勉強するなら、世界トップじゃないですか。それがたまたまロンドンだったのでここで勉強しています」ってサラッと言ったんですね。この発想ができている人はそんなに多くはないんじゃないかなって思いました。

*1菊谷なつきさん
*2今井礼欧さん

日本が負けているのは、「技術力」ではなく、「営業マンの数」だ


旅の中で衝撃を受けたのは、ヨーロッパの太陽光発電のメーカーのカンファレンスを見学していた時です。日本企業のブースなのにイタリア人が立っていて、なぜだと思って話しかけたら「この日本企業の製品は世界の15年先を行くすごい代物だ。めちゃくちゃすごい代物なのに、日本でしか売れない。それはなぜかというとね、この製品の存在を日本人以外知らないからなんだ。だから僕は今こうやってセールスをしてるんだよ。本来は日本人が自分たちで直接売り込むべきものだと思うんだけどね。そういうマンパワーが足りていないんだよ」と話してくれたんです。それを聞いて、今他のアジアの国々に負けてしまっているのは、質が高い技術やサービス・商品じゃなくて、英語をバンバン話せて、コミュニケーション能力と交渉力を持った営業マンの数が、圧倒的に日本企業に不足しているというのを知ったんです。

フィリピン留学という選択肢を


旅から帰国して、さて日本で何をやろうと考えたときにやはり思いついたのは、英語に関する仕事でした。世界から日本を孤立させる大きな要因の一つはランゲージバリアなんですね。世界から日本人はシャイだという印象を抱かれています。でも旅をして思ったのは、僕らは単純に英語の質問に対して、自信を持って素早く答えることができない、会話ができないからそういう風に思われているだけだなということなんですね。


自分も世界を巡る前にフィリピンの語学学校で、3カ月間英語の勉強をした経験があったのですが、学校選びに失敗したという人が何人もいました。それでフィリピン留学における語学学校の口コミ情報サイト「School with(スクールウィズ)*」をつくったんです。今は「食べログ」のような口コミ評価サービスを学校にも設けて、留学先を検討するうえで参考になるようなサイトを目指して、奮闘しています。

*School With …フィリピンの各地域・都市にある100校以上の語学学校を掲載した口コミ情報サイト。太田さんが代表を務める。

頭の中の地図を世界へと広げよう


誤解してほしくないのは、僕は「とりあえず会社を辞めて海外に行け」と言いたい訳ではないんです。自分のキャリアプランから逆算してその必要があれば海外へ行けばいいし、必要があれば転職すればいいと思っています。ただ、仮に「日本で働く」という選択肢を選ぶとしても、「世界地図を見た上で選ぶ日本と、日本地図しか知らないで日本を選ぶのでは、全くもって人生への視点が違ってくるんですよね。それに、自分の人生やキャリアでやりたいことを考えたとき、実際に「やる・やらない」は置いておいて、発想が日本国内だけにとどまってしまうのはもったいないじゃないですか。

だから、僕は「頭の中の地図を日本から世界にアップデートして、21世紀を一緒に楽しみませんか」「これからの未来を最高に楽しめるのは、世界を舞台に活躍できる人ですよ」と、同世代の仲間たちに投げかけているんです。

本日の授業のおさらい


1.本当にグローバルなビジネスパーソンは、自分のアイデアが役立つ場所を世界規模で考える
2.ロールモデルになる世界で活躍するビジネスパーソンを探してみよう!
3.Think Big!世界を視野に入れて人生の可能性を考えてみよう!

PROFILE

 


太田英基/1985年生まれ。大学2年時にビジネスプランコンテストで最優秀賞を獲得し、株式会社オーシャナイズを仲間と起業。広告事業「タダコピ」を手掛ける。丸5年働いた後、会社を辞めて世界一周へ。「若者のグローバル志向の底上げ」を使命としたサムライバックパッカープロジェクトを立ち上げ、50カ国1000人以上の世界で働く日本人のビジネスパーソンに会う。現在は「留学を志す人が学校選びに失敗しない世の中の実現」を目指すために、フィリピン留学・語学留学の口コミ情報サイト『School With』を運営する株式会社スクールウィズを7月に立ち上げ、代表として奮闘中。著書に『日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは動く。』(いろは出版)など。


※この記事は2013/10/23にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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