【中村貞裕の未来の授業Vol.2】ビジネスパーソンの会社活用術  -クビになる覚悟でできることをやってみる-

中村貞裕/1971年東京都生まれ。

【中村貞裕の未来の授業Vol.2】ビジネスパーソンの会社活用術  -クビになる覚悟でできることをやってみる-

中村貞裕/1971年東京都生まれ。

慶應義塾大学卒業後、伊勢丹を経て、2001年にトランジットジェネラルオフィスを設立。カフェブームの立役者としてカフェ「Sign」をはじめ、アパレルブランドのカフェや「bills」などの運営を手掛けるほか、大阪の「堂島ホテル」、「the SOHO」などホテルやオフィス、商業施設のブランディングやプロデュースなど、その仕事は多岐に渡る。8月には「bills」のハワイ進出を控えている。

中村貞裕の未来の授業<時間割>


(1)最強ジェネラリストの生き方論 -ミーハーはスペシャリストに負けない才能?-
(2)ビジネスパーソンの会社活用術 -クビになる覚悟でできることをやってみる-
(3)中村式マーケティング術 -立ち読みから、流行の“最大公約数”を知る-
(4)中村式人たらし術 -恋愛から学ぶビジネス人脈の作り方-

人脈を築きそれを仕事に還元する


晴れて藤巻さんの下で働けるようになってからは、仕事はさらに忙しくなり終電まで働く日々。学生時代、パーティーのオーガナイズで培った人脈も、伊勢丹で友達割引を使って安く買い物をしてもらう位しかできず、物足りなさや情けなさを感じていました。せっかく伊勢丹で仕事をしているのだから、その看板を使って色々な人に会いたい。そう思い立ち、「毎週金曜日は残業をしないで、パーティーを開きたい」と藤巻さんに申し出たところ、なんと快諾。この「やりたかったこと」は学生時代最も得意な「できること」だったので、自分の特技を活かせると思いました。


周囲からは「こいつは何をやるんだろう?」と不審な目を向けられていたでしょう。でも、このパーティーで人脈を築けば、必ず「伊勢丹」のメリットにもなるだろうと思い、無我夢中で取り組んでいました。数年続けた結果、“大人の社交場”をテーマにオーガナイズしたパーティー「ルージュ」は、海外の大物デザイナーが来るような、一大イベントに成長していきました。実際にパーティーを通じて知り合ったデザイナーにグラフィックの作成を依頼したり、カフェやショップ経営者に「売り場」を出してもらうなど、訝しげに見ていた先輩達にも実績で証明することができたのです。会社の看板を利用して人脈を広げ、それを仕事に還元する。自分が最も得意とすることが、仕事の成果に結実した瞬間でもありました。

クビになる覚悟で突出する


入社2年目からパーティーを企画するという「伊勢丹」の中でも異端な存在であった僕は、職場の人間からよくも悪くも注目される存在でした。会社の上司からも「どうやら藤巻さんに気に入られているようだし、触らぬ神に祟りなし」といった具合で、かなり特殊なポジションに位置していたように思います。実は、入社半年で退職願を提出したんです。その時、藤巻さんに「クビになってもいいくらいの覚悟でやりたいことをやってみろ」と言っていただけた一言が大きかった。

だからこそパーティーの企画も実行したし、NYコレクションやパリコレのショーを見に行く藤巻さんに自腹で同行して、(後々怒られたりもしたけれど)ショーを見たりして、自分の糧になるような経験を積んでいったんです。


もし自分が会社での仕事に納得がいっていない、やりたいことができていないと感じていたら、「今の会社を辞めたい」と思うでしょう。でも会社に辞意を表明する前に、「今いる会社の看板を利用して自分の社会人としての価値を高められたか」をもう一度見つめ直すといいかもしれません。一度辞意を伝えたものの実際に僕が伊勢丹を辞めたのは、藤巻さんが退社をされたのとほぼ同時期。30歳を目前にした頃になります。それまでは伊勢丹という看板を最大限利用して、やりたいことをやりまくりました。これが今の自分の基礎力になっていると感じますね。

外に飛び出そう


自分が今、トランジットジェネラルオフィスで社長をしていて思うのは、当時パーティーを企画していた頃に比べて、会社員が社外で人脈を増やすことに対して前向きに思う上司や社長が増えてきているということ。僕も会社のスタッフに「どんどん自由に遊べ」と言って奨励しているくらい(笑)。そしてもう1点当時と異なると感じるのは、ソーシャルメディアが発達して、格段に会社以外の人脈を作りやすくなってきているということ。だからこそ20代の人は臆さずに会社の看板を利用して積極的に外に飛び出してほしいですね。

本日の授業のおさらい


1.社外での経験を社内に還元する!
2.会社を辞める前に、クビになる覚悟でやりたいことをやってみよう!
3.せっかくの会社の看板、とことん利用しよう!

※この記事は2013/06/05にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

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