9月になっても甘く見てはいけない“夏バテ”と“熱中症” 我慢は禁物、積極的な休養が大事!

夏は「夏バテ」や「熱中症」になりやすい季節です。にもかかわらず、「暑い中、休まず働き続けてしまった」「仕事に集中しすぎて1日水分を取っていなかった」といった経験を持つビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。「自分は大丈夫」と思っている人ほど、危ないかもしれません。今回は、内科医兼YouTuberの橋本将吉先生に夏バテや熱中症の怖さ、取るべき対策について伺いました。

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そもそも夏バテとは? 熱中症と何が違う?

「夏バテとは“軽度の熱中症”のことで、世代関係なく誰でも起こり得ます。主な症状としては、『だるさ』『息苦しさ』『腹痛』『食欲低下』『自律神経の乱れ』などが挙げられ、それぞれが単一もしくは複数起こるのが特徴です。また、すぐに対策を取らないと症状が悪化する可能性も十分あります。もし中等度・重度へと悪化してしまうと『意識障害』にまで陥ってしまい、入院治療が必要になるかもしれません」

そう語るのは、内科医の橋本将吉先生。
ただ橋本先生いわく、夏バテと熱中症に大きな違いはないとのこと。

「夏バテは軽度の熱中症であるため、両者に大きな違いはありません。強いて言うなら夏バテはマスコミ用語で、熱中症は医学用語であることくらいですかね」(橋本先生・以下同)

夏バテなんかで休めない……! その考えはとても危険!

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社会人にとって「体調管理」も仕事の1つです。ただ夏バテは、インフルエンザや風邪のように誰かに感染させてしまう恐れがないため、たとえ症状が出ていても休まずに出勤してしまう人も多いのではないでしょうか。ただそれはとても危険。症状を悪化させてしまいます。夏バテといえど、体に異常が起きていることに変わりはないため、何よりもまず体を休めることが重要なのです。

「夏バテになりかけているのに、無理に出勤して体を動かしてしまうと、さらに熱をため込んでしまいます。当然、症状悪化のリスクは高まります。もし『夏バテかも……』と感じたら、まず休養を取り、『睡眠』『食事』といった生活習慣を見直さなければなりません。熱中症に関しても同様で、無理や我慢は禁物です。どちらも決して甘く見てはいけません」(橋本先生)

室内でも熱中症が起こる理由には“湿度”が関係している!

近年は、夏場の室内で起こる熱中症によって救急搬送されるニュースが多く見られるようになり、室内でも夏バテや熱中症になってしまうことが一般常識として知られるようになりました。橋本先生によると、室内で熱中症が起こるのは「気温」だけではなく「湿度」も関係しているとのこと。

「基本的に、湿度が10%上がると、体感温度は約2度上がると考えられています。そのため、もしエアコン設定を28度にしていたとしても、湿度が高い日だと体感温度は約30度にまで達している可能性があるのです。また体温は、汗をかき、皮膚から熱を逃がすことで下げられますが、湿度が高いと汗はかきづらくなります。その結果、体は熱を放出しにくくなり、熱が体内にこもり、熱中症になってしまうのです」(橋本先生)

正しい知識で夏バテ・熱中症の対策をしよう!

夏バテ・熱中症にならないようにするためには、以下のような対策がおすすめです。

・水分・塩分をこまめに取る
・夏が旬の食材を積極的に食べる
・直射日光を避け、涼しいところで涼しい空気を吸う

水分・塩分をこまめに取ることは夏バテ・熱中症の対策として有名ですが、夏が旬の食材を積極的に食べた方が良い理由を知っている人は多くないはず。橋本先生はその理由を以下のように述べています。

「夏バテ・熱中症対策でおすすめしたいのはトマト、キュウリ、スイカ、パイナップル、ゴーヤといった夏に旬をむかえる食材です。なぜなら、これらの食材には水分が多く含まれているからです。また、これは季節の食材全般に言えることですが、旬の食材には、その時期に必要とされている栄養素も多く含まれています。もし食欲が落ちていると感じている場合でも、食べないという選択だけはしないように。暑い夏でも比較的食べやすい“そば”や“うどん”と一緒に、夏の食材を食べましょう!」(橋本先生)

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また「夏バテ、熱中症かもしれない……」と思ったときは、“血管と流れる血液を冷やすこと”が有効とのこと。具体的な方法としては“涼しいところで呼吸をすること”が大事です。

「肺の周りにはたくさんの血管があります。呼吸によって肺に入った空気は、肺の周りの血管から全身へ、酸素を運びます。したがって、冷たい空気を肺の血管の中に入れることができれば、血管も血液も冷やせるのです。逆に、温かい空気が肺に入り全身に送られてしまうと、熱が体内にこもり、熱中症の要因になってしまいます。よく、夏バテや熱中症で倒れた人は日陰に運ぶと良いと言われますよね。それは、涼しい場所に連れて行き、呼吸をしてもらえば、血管や血液を冷やして体温を下げられるためです。もし夏バテや熱中症の症状かもしれないと感じたら、まず涼しいところを見つけて、ゆっくり呼吸をしましょう。水分補給も忘れずに!」(橋本先生)

近年は、30度を超えるような暑い日が9月・10月まで続くこともあるため、暦の上では秋でも、夏バテや熱中症が起きないとは言い切れません。だからこそ、正しい知識を身につけ、正しい対策を取ることが大切です。もし夏バテ・熱中症の症状が出てしまったときは、無理せず積極的に休養を取るようにしましょう。

監修者=橋本将吉(内科医)
株式会社リーフェ代表取締役。2011年医学部在学中に株式会社リーフェを設立。2012年、杏林大学医学部医学科卒業。卒業後は総合病院の内科医として医療に携わり、日本で唯一の医学生専門個別指導塾「医学生道場」を運営している。現在は医者YouTuber“ドクターハッシー”として、健康情報の発信にも注力している。

文=トヤカン
編集=TAPE

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