スムーズな「雑談」は「テーマ設定が9割」
この10年、「雑談力」や「コミュ力」というワードを頻繁に目にするようになりました。ソーシャル時代の到来で、「接点があまり多くない相手」とのコミュニケーションが増え、多くの人が苦労をしていることを表しています。また、最近ではパソコンの画面越しの打ち合わせも増え、仕事上のコミュニケーションの難しさがより一層増しています。
そのような場でギクシャクしてしまう状況は、ストレスフルなうえ、仕事の成果にも支障を来してしまいます。そこで一役買ってくれるのが、雑談の「テーマ設定」。場を和ます「話題テーマ」をいくつ備えておけるか? がポイントになります。できるだけ多くの話題テーマをあらかじめ備えておくことで、ギクシャクした会議や雑談の場をホット&スムーズに乗り切ることができるのです。雑談は「テーマ設定が9割」! 複数のテーマ設定を用意さえできれば、雑談はもう怖くありません。
「テーマ設定」には不思議な魔力があります。「良いテーマ」を選ぶだけで、そこに「メンバー全員の共感」が生まれます。共感がメンバーの心を1つにして、感情のエネルギーを一方向に整えます。これによりチームの一体感が強まり、仕事や仲間の活動に対するエンゲージメントが、グンと高まるのです。
その場に共通するテーマが雑談の鍵。雑談上手になれる3つのポイントを紹介
①天気や季節ネタ、最近のニュースは、周りの人の共感を誘う
では、共感を呼ぶ雑談のテーマとして、どんなものを用意しておけばいいのでしょう? 手っ取り早いのが、暑い、寒い、晴れ、雨、雪、快晴、今朝のニュース、休暇の話題、時事ネタなどのその場に共通するテーマです。
その場に共通するテーマに対して、人は必ず「なんらかの感情」を抱きます。その感情を言語化することで、「共感」を集め、一体感をつくることができるのです。例えば大雪が降った日には次のように切り出します。
「今日は今年一番の大雪でしたが、皆さまは大丈夫でしたでしょうか? 私も朝一番で玄関前の雪かきで大変でした!」
「私も起きた瞬間、窓の外を見て驚きました。山間部なので、もう10センチも積もっていて、子どもたちが大はしゃぎでした」
その場にいる人も共通して経験しているテーマのため、部活の掛け声的に、チームや集まりのエンゲージメントを高められます。
最近ではリモート会議の機会が増えている人もいると思いますが、リモートワークやリモート会議の出だしに共通する「不安要素解消」も「共通テーマ」になります。
共通の不安要素とは、「音声と画像がうまくつながっているかどうか」です。そこで、「音声と画像は良好でしょうか?」と投げ掛け、「音声、画像環境ともに全員良好です!」となれば、そこで先述の部活の掛け声のような一体感が生まれます。
さらに場を和ませるために「リモート会議に最近やっと慣れてきました」「リモートワーク、最初はちょっと緊張しました」「会議を録画できるから議事録になっていいですよね」など、あえて、目線を下げた会話を投げかけるのも効果的です。初心者やアナログな方も参加している場合、そのような人を安心させることにもなります。
②肩こり、腰痛などの健康についての話題は、はたらく人の多くに共通したテーマ
天気などの外的なテーマだけでなく、それぞれの健康を中心とした話題も多くの確率で共感を得られます。「肩と腰凝らないですか? 座りっぱなしですものね…」と切り出し、次に「在宅ワークの合間にできるエクササイズ・ダイエット・健康ネタ」へと展開してゆきます。
「1時間に1回3分だけ、家の周りをウォーキングしてます」「90分に1回スクワットしてます。足の筋肉は代謝が高いから、痩せるらしいですよ」「今月3キロ太りましたよ!(笑)さずがにショックです!」自ら話題を切り出したら、今度は逆にメンバーを取材します。それぞれが「なんらかの答え」を持っているので、場は盛り上がり、かつ健康の学びの場にもなります。
このように雑談は、話術でなんとかしなければならないものではなく、「共通テーマ」を複数用意し、1つずつ提示するだけでいいのです。あとは「自動運転」で盛り上がってくれます。
③雑談時のひとひねり。ほんの少しの「自分いじり」が会話に味をつける
一方で、それだけでは「盛り上げる」時には不十分なこともあります。雑談時、盛り上がりに欠けている時というのは決まって、肯定ばかりの話題展開です。そうならないよう「味付け」をすることも時にはいいかもしれません。そのために少しだけ「自分いじり」をしてみるのはいかがでしょうか? 読んで字のごとく「自分自身を少しだけいじってみる」だけでいいのです。
例えば、先ほどの天気を例に出す場合のことを考えてみましょう。
「今日は寒いですねえ、本当に、本当に寒くて驚きました」
これでももちろん「テーマ」としては適切なのですが、これだけだと「そうですね」で終わってしまうこともあるかもしれません。そこで以下のように「自分いじり」を加えてみるのはいかがでしょうか?
「いやあ、今日は寒すぎて、もう中に3枚重ね着しております!」
このように少しだけ、聞き手に「ツッコミどころ」を提示することで、会話が前に進みます。「自虐」ではなく、少しだけ「自分いじり」をすることで、そこから会話に盛り上がりが生まれます。
雑談をするなら「テーマを持ち出す」ことが大事
「雑談」は唐突に話を始めるのではなく、何かしら「テーマを持ち出す」ことが第一優先です。面白い話をしなければいけない、相手の興味のありそうな話をしなくてはいけない、と思う必要はありません。その場にいる人たちの中で「共通していることは何か」を考えることで、話の糸口は意外と簡単につかむことができます。まずは自分からそれを探して、目の前の相手の前に持ち出すことで、日々のコミュニケーションはスムーズに、楽しくなってゆきますよ。
文=潮凪洋介
編集=矢澤拓
【プロフィール】
潮凪洋介
著者・作家・講演家・イベントプロデューサー・出版プロデューサー
著書72冊・累計171万部。「自由人生」「恋愛」をテーマに執筆。各人に最適な「ライフワーク」を診断する「LD 法」を開発。日本経済新聞社にて講演&ワークショップを複数回開催。著者養成・出版学校「SHIONAGI DOUJO」運営。年商1億円~1兆円企業の「出版ブランディング」も手掛ける。「目黒クリエイターズハウス」建設。
◆ライフワーク・クリエイト協会
http://hl-inc.jp/freedream/
◆WRITAS!~著者養成学校 SHIONAGI DOUJO~
http://www.shionagi-doujo.com/writas
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