要領がいい人とは? 特徴や仕事面でのメリット、効率化するコツを紹介

仕事をするうえで「要領がいい人」は効率的にタスクをこなし、周囲の人から信頼されています。要領のよさは天性の素質であるように見えて、実は努力次第で誰でも備えられる部分も多いもの。「要領がいい人」の特徴を知り、取り入れることで仕事の取り組み方や成果が変わります。

要領がいい人とは? 特徴や仕事面でのメリット、効率化するコツを紹介

「あの人のように、もっと要領よく仕事ができたら……」「手際よく仕事をこなして余裕を持ちたい」などと考える人は多いのではないでしょうか。仕事において要領がいい人になることは、コツさえつかめば誰でも可能です。この記事では、要領がいい人と悪い人の特徴、要領がいいことで仕事にもたらされるメリットを紹介します。そのうえで、今すぐ真似できる要領がいい人たちに共通する考え方を社会人基礎力協議会の代表理事である長尾素子さんに伺いました。

「要領がいい人」とはどんな人?

「要領がいい人」とはどんな人?

一般的に「要領がいい」の意味は、「処理の仕方がうまい、手際がいい」などとされています。ビジネスに限定するなら「効率的に仕事ができる」、「何事もスマートにこなせて周りからの評価が高い」といったイメージではないでしょうか。

ここで「要領がいい人」として、実在するAさんのエピソードをご紹介しましょう。Aさんは話題が豊富。K-popから演歌、さらに地球環境、国際政治までどんな話題にも興味を示す人です。ある日、お客様からクレームが発生。その際、Aさんはお客様の話をよく聞き、共感し、共通の話題を出してお客様と信頼関係を築きました。そのうえで合理的な説明をお客様に行い、要求は一部応え、一部は応えられないことに納得してもらえたのです。Aさんはクレーム対応の細かい部分に焦点を当てたり、俯瞰したりと、両方の視点を自在に駆使して判断をしたのでしょう。社内の人とも日頃から信頼関係を築けていたので、お客様からの難しい要求に一部応えることができました。

いかがでしょうか。Aさんのように「要領がいい人」たちには共通して見られる特徴がいくつかあります。さらに詳しく見ていきましょう。

要領がいい人に共通している特徴は?

要領がいい人に共通している特徴は?

要領がいい人が持つ共通の特徴として下記の7つが挙げられます。

優先順位をつけて対処している

先述したエピソードのAさんのように、俯瞰する視点を持っているため、目の前のタスクから取りかかるのではなく、「どの順番で取りかかるとよいか」と仕事の全体像を見ることができるのです。重要度や期限などポイントを押さえたうえで、優先順位をつけます。順番を決めたら一つずつのタスクに集中できるので、スピーディーに処理ができます。

すべてに完璧を求めず、メリハリをつけている

すべてを100%のクオリティーで仕上げることは理想的ですが、時間とエネルギーは有限なので適切に配分することが大切です。要領がいい人は仕事全体を見て「どのタスクが大事か、影響度が大きいか」という本質を見抜いたり、1つのタスクを仕上げるにあたって一定の妥協ラインを設けたりしています。さほど重要ではないタスクでは力を抜くことができるので、その分、大事なタスクに時間やエネルギーを費やすことが可能になります。先述したエピソードのAさんは、お客様の要求に優先順位をつけ、集中的に仕事をこなしたことで要領よく対応することができたのです。

周囲に助言や支援を求めることができる

周りの人に頼るのは意外と難しいものですが、要領のいい人はこれをうまく取り入れています。他者に支援や助言を求めるには、求める内容に沿った適切な人とタイミングを選ばなければなりません。そのためには日頃から社内、社外でさまざまな人脈づくりをすることも必要です。先述したエピソードのAさんも、日頃から社内の人と信頼関係を築き上げていたため、周囲からの協力を得られたのでしょう。

自分の強みを知り、活かしている

人には得意分野もあれば苦手分野もあるのが当然のこと。要領がいい人は自分ができること、できないことを認識しています。自分のできることは得意分野であり、自分の強みです。自分の強みは有効に活用し、また、常に上を目指して磨いています。

自分の限界を認識し、他者の力を借りている

苦手なことやできないことは無理に抱え込まず、他者の力を借りた方が近道になることが多いもの。これは決してネガティブなことではなく、「要領よく仕事をする」ための必要なスキルです。できないことは他の人に支援や助言をもらうことで適切に対処ができます。

仕事に対してポジティブな意味づけをしている

仕事に対してポジティブな意味が見出せると、やりがいにつながります。心身ともに健康で幸せな状態である「ウェルビーイング(well-being)」も実現することができます。すると仕事への満足度が上がり、さらに要領がよくなるという好循環を生むことが期待できるのです。

ちなみに、「要領がいい人」と「段取りがいい人」の違いは?

どんな仕事を進めるにも「段取り」は必要です。ただし、「段取りがいい人」がそのまま「要領がいい人」というわけではありません。段取りがいい人とは、物事を進めるにあたって効率的に実施できる人です。一方、要領がいい人はただ効率よく仕事を進めるだけでなく、仕事に対して「ポジティブな意味づけ」をしている人です。すなわち、「要領がいい人」の中に「段取りがいい人」が含まれていると言えるでしょう。

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逆に「要領が悪い人」の特徴は?

逆に「要領が悪い人」の特徴は?

ビジネスにおいて「要領が悪い人」とは、仕事に対してポジティブな意味付けをしていない人とも言えます。また、「木を見て森を見ず」ということわざのように、目の前のタスクだけを見て全体を見ておらず、視野が狭くなっている傾向も強いようです。ここでは要領の悪い人に共通する特徴を見ていきましょう。

一つひとつのタスクに全力投球してしまう

仕事にのめり込むことはいいことではありますが、複数のタスクがあっても優先順位をつけず、やみくもに全力で取りかかったり、終わらないタスクに延々と時間を割いたりしてしまうとタスクが増える一方になります。仕事を俯瞰して段取りをつけてから取り組むことが必要でしょう。

仕事を一人で抱え込んでしまう

周囲の人に頼ったり相談したりすることを、過剰に「申し訳ない」と遠慮している可能性があります。自分一人で抱え込むよりも、そのタスクが得意な人に助けてもらい、仕事をより早く仕上げた方がチーム全体の利益につながるなど、発想を転換するとよいかもしれません。

完璧主義

すべてにおいて完璧を目指すあまり、タスクの大事な部分に費やす時間やエネルギーが足りなくなることがあります。こだわりの強さがクオリティーの高さに結びつく、とは必ずしも言えないのです。タスクの本質を見極め、力を注ぐ部分と抜く部分を分けることで、業務全体の仕上がりがよくなることは多いでしょう。

自分の価値観や信念にとらわれがち

自分の価値観や信念にとらわれて、何のための仕事か見失ってしまいがちです。例えば、完璧な資料を仕上げて上司に提出したのに、評価されずにがっかりした経験はないでしょうか。資料の作成が仕事の目的にすり替わってしまい、何のための仕事かを見失った状態といえます。その仕事の目的や要点を把握することなく、独りよがりでタスクを済ませてしまっていないか、一度立ち止まって振り返ってみましょう。「労力のわりに、評価されない」などと感じる場合は、自分がこの状態に陥っていないか、仕事への取り組み方を見直すのがおすすめです。

言われたこと以外はやらない

言われたことを指示どおりにやるものの、言われたことの範囲以外はやらない傾向があります。ただ、丁寧にタスクに取り組むことができるのは大切な長所です。さらに「もっと効率よくするには?」などと自分なりの工夫を加えられれば、仕事のクオリティーが上がり、次の同じような仕事や案件を行う際にさらに質の高い仕事ができるようになっていきます。

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要領がいい人になると仕事でどんなメリットがある?

要領がいい人になると仕事でどんなメリットがある?

ビジネスにおいて要領がよくなると、下記のようにさまざまなメリットがあります。

周囲の人から信頼を得られる

要領がいい人は効率的に仕事が進められるうえに、仕事を俯瞰的に捉えられたり、ポジティブな意味づけをしたりできます。その結果、仕事の質が上がることにつながり、「あの人になら任せられる」と周囲からの信頼を得やすくなるでしょう。

時間にゆとりが生まれる

優先順位をつけることで、一つひとつのタスクに対する処理スピードが上がります。また、メリハリをつけた働き方によって時間にゆとりが生まれやすくなり、リフレッシュタイムや人脈づくり、新たな取り組みへの仕込み時間に充てることもできるでしょう。

仕事のチャンスが増える

上記の「周囲の人から信頼を得られる」、「時間にゆとりが生まれる」というメリットにより、信頼が積み重なり、人脈はますます広くなっていくでしょう。より多様でやりがいのある仕事のチャンスが増えることが期待できます。

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仕事において要領がいい人の考え方

仕事において要領がいい人の考え方

そもそも、ビジネスにおいて「要領がいい人」は日頃からどのようなマインドセットをしているのでしょうか。まず大事なのは、取り組む仕事を俯瞰して考えること。さらには、その仕事によって自分のみならず、上司や同僚、取引相手に貢献できるかを常に意識し、好きな仕事だけでなく苦手な仕事にもポジティブな意味を見出しながら仕事に取り組んでいるのです。

そのため、「要領がいい人」は謙虚に学ぶ姿勢をもち、社内、社外を問わず多種多様な人とコミュニケーションを取る傾向があります。その姿勢が周囲からの信頼を得ることにもつながっていきます。

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要領がいい人になるための第一歩! 仕事を効率化するコツとは?

要領がいい人になるための第一歩! 仕事を効率化するコツとは?

最後に、具体的なスケジュール管理方法から考え方まで、仕事を効率化するコツを紹介します。

ゴールから逆算してスケジュールを管理する

仕事の能力が上がるにつれ、マルチタスクが増えてくることでしょう。複数のタスクがあって、それぞれ目的が異なる場合には、スケジュール管理がとりわけ重要になります。メモやタスク管理ツールなど自分に合ったタスク管理の方法で状態を見える化し、1日のやるべきことに優先順位をつけながら対応していくスキルを身につけるとよいでしょう。

やるべきタスクを洗い出し、優先順位をつける

1日、1週間、1カ月単位でタスクを洗い出し、「やるべきことリスト」にリストアップしましょう。これに優先順位をつけるとともに、それぞれのタスクに対して完了目処(期日)を設定し対応していくのがおすすめです。その間にも新たなタスクが加わることはよくありますが、全体を把握し、適切な優先順位がつけられていれば焦る必要はありません。

“どうすればできるのか”という視点で考える

「この仕事はできるか、できないか」と迷うこと自体に意外と時間がかかっています。できない理由を探すよりも、できる方法を考える方が建設的です。まずは考えをメモし、実行するタイミングや方法などを練るようにしましょう。仕事の依頼があれば積極的に引き受け、次に「どうすればできるのか」という視点で考えてスケジュールを組み、それに沿って実行していくのがコツです。このようにして実績や経験を積んでいくと、それが自分自身の成長につながることでしょう。

すべてにおいて完璧を目指さない

求められている仕事の精度や粒度感を見極め、それに見合った仕事をしていくことも、仕事を効率化するコツの一つです。「完璧を目指すことが貢献度の高さに比例するのではないか」と思うかもしれませんが、目的は「完璧に仕事をする」ことではありません。「その仕事をすることでどのような価値提供ができるのか」ということを常に意識することが重要です。

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視野を広げることが、要領がいい人への近道

要領がいい人になるためには、まず、自分が「できること」と「できないこと」を認識することが重要です。自分の強みは磨き、できないことは周囲の力を借ります。そのためにも、日頃から多くの人と交流し、信頼関係を育みましょう。謙虚に学ぶ姿勢をもち、ジャンルを問わずあらゆることに関心を持ち、話題や視野を広げることが結果的に「要領がいい人」への近道になるのです。

監修:一般社団法人 社会人基礎力協議会

経済産業省が立ち上げた「社会人基礎力育成グランプリ」の開催を引き継ぐために2013年に大学教職員の有志で設立された団体。2018年に経済産業省が「新社会人基礎力」を発表すると同時に、リカレント教育および研究部門を加え、「人生100年時代の社会人基礎力」の普及を目指し、一般社団法人となった。代表理事は拓殖大学商学部教授兼株式会社TOKYO GLOBAL GATEWAY取締役COOの長尾素子。

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