- Excel(エクセル)で掛け算する方法は3つある
- Excelの掛け算①: *(アスタリスク)の数式【基本編】
- Excelの掛け算②:PRODUCT関数【基本編】
- Excelの掛け算③:SUMPRODUCT関数【応用編】
- Excel掛け算の使い分け方
- Excelの掛け算で掛ける数を固定する方法
- Excelの掛け算でパーセント(%)を使った計算をする方法
- 足し算・割り算もExcel関数で計算できる!
- Excelの掛け算にまつわる疑問を解消しよう
- Excelの掛け算はシーンに応じて関数や数式を使い分けよう
Microsoft Excel(以下、Excel)の掛け算は、作業量や処理の内容に応じて、3つの方法を使い分けることがポイントです。例えば、掛ける数が多い場合は、「*(アスタリスク)」 を使うよりもPRODUCT関数を使った方がスムーズに計算できるでしょう。
今回は、Excelで掛け算をする方法と使い分け方をわかりやすく解説します。Excelの掛け算でよくある疑問にも回答しているので、参考にしてみてください。
その他、Excel(エクセル)で重要な関数一覧はこちらからチェック
Excel(エクセル)で掛け算する方法は3つある
Excelで掛け算する主な方法は、「*(アスタリスク)を使用した数式を使う」「PRODUCT関数を使う」「SUMPRODUCT関数を使う」の3つです。

3つの掛け算方法の中で、どれがベストというものはありません。業務の効率化を図るためには、シーンに応じた計算方法を都度選ぶことが大切です。
まず【基本編】として「*(アスタリスク)」の数式やPRODUCT関数の特徴を簡単に紹介してから、やや難易度が高いSUMPRODUCT関数を【応用編】として解説します。既に基本をマスターしていて、すぐにSUMPRODUCT関数の使い方を知りたい方は、基本編を読み飛ばして[Excelの掛け算③:SUMPRODUCT関数【応用編】]に進んでください。
Excelの掛け算①: *(アスタリスク)の数式【基本編】
Excelの掛け算には、「*(アスタリスク)」を使うことがあります。手順は以下の通りです。
手順1 入力するセルに「=」を入力する
まず、エクセルで掛け算の計算結果を表示したいと考えているセルをクリックし、「=」を入力します。

手順2 掛け算するひとつ目のセルを選択する
続いて、掛け算しようと考えている数字(掛けられる数)が入力されているセルをクリックします。

手順3 「*(アスタリスク)」を入力する
「=」の後に手順2で指定されたセルの番号が表示されたら、「*(アスタリスク)」を加えます。

手順4 もうひとつのセルを選択して掛ける
最後に、掛け算しようとしているもうひとつの数(掛ける数)があるセルを選択して「Enter」キーを押せば、計算結果が表示されます。

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Excelの掛け算②:PRODUCT関数【基本編】
PRODUCT関数とは、指定した数値の積を求められる関数です。PRODUCT関数を用いれば、掛け算の際に何度も「*(アスタリスク)」を手打ちする手間を省けます。
ここから、PRODUCT関数を使って掛け算する手順を簡単に解説します。
手順1 入力するセルにPRODUCT関数を入力する
PRODUCT関数は「=PRODUCT(数値1,数値2…)」で定義されます。直接手打ちすることもできますが、計算結果を入力したいセルで画面上部の「fx」を選択して、「PRODUCT」を見つけた方が便利です。

手順2 掛け算したい箇所のセルを選択する
続いて、数値1や数値2…にあたる部分に、掛け算したい箇所のセルを選択していきます。数値のところは離れたセルを選択してもいいですし、連続しているセルであればドラッグして範囲の指定も可能です。この作業だけで、以下のように掛け算(100×12×10)の結果(12,000)が表示されました。

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Excelの掛け算③:SUMPRODUCT関数【応用編】
状況次第で、PRODUCT関数よりもさらに高度な関数であるSUMPRODUCT関数を使うことがあります。SUMPRODUCT関数は、「配列どうしの掛け算をして、その積の合計を計算する関数」です。
「=SUMPRODUCT(配列1,配列2,…)」で定義されるSUMPRODUCT関数を使えば、SUM関数とPRODUCT関数をまとめて処理できます(SUM関数については、[「+」を使わずに足し算する方法]で解説)。ここから、SUMPRODUCT関数を利用した計算の手順を確認していきましょう。
手順1 入力するセルにSUMPRODUCT関数を入力する
まず、入力するセルにSUMPRODUCT関数を入力します。直接手打ちすることもできますが、PRODUCT関数の場合と同様に、「fx」を選択して「SUMPRODUCT」を見つけた方が手間はかかりません。

手順2 掛け算したい部分の配列を選択する
続いて、配列1や配列2…にあたる部分に、掛け算したい部分の配列を入力します。PRODUCT関数と異なり、基本的にひとつのセルではなく、まとまりを指定する点に注意しましょう。
下図の例では、B列にある「単価/個」とC列の「ケース入数」、D列「販売ケース数」を掛け算したものを合計するため、配列1の部分に「B2:B10」、配列2に「C2:C10」、配列3に「D2:D10」を指定しています。
Excel掛け算の使い分け方
Excelでどの掛け算方法を使えばよいか迷っている方向けに、3つの掛け算の使い分け方を紹介します。
一番簡単!シンプルな掛け算には記号「*(アスタリスク)」を使った数式
「*(アスタリスク)」を使えば、関数なしで手軽に掛け算ができます。例えば、ボールペンの本数と単価をかけるケースのようにシンプルな掛け算であれば、「*(アスタリスク)」を使うだけで十分対応可能です。

掛ける数の個数が多ければPRODUCT関数
Excelで掛ける数の個数が多い場合は、「PRODUCT関数」の利用がおすすめです。
「*(アスタリスク)」を使えば、基本的にどんな掛け算も処理できます。しかし、下図のようにかける数の個数が多い場合は、手打ちする労力がかかる上に入力ミスにもつながるでしょう。

その点、PRODUCT関数を用いれば、掛け算の際に何度も「* (アスタリスク)」を手打ちする手間を省けます。

各列の積をまとめて計算するならSUMPRODUCT関数
Excelで各列の積をまとめて計算する際には、SUMPRODUCT関数を使います。例えば、下図のような合計売上を計算する(各列の積を求めてから合計する)場合は、SUMPRODUCT関数を使った方がよいでしょう。

PRODUCT関数を用いて「合計売上」を計算する場合、列を追加してPRODUCT関数で各行の「売上」を計算し、SUM関数で「売上」の各行を合計しなければなりません。今回のケースでは、以下のように2つの関数を入力する手間がかかっています。

その点、SUMPRODUCT関数なら、3STEP([1「売上の列」追加][2売上の計算(PRODUCT関数)][3売上の合計(SUM関数)])を踏まずに、たった1つの式で合計売上を計算可能です。SUMPRODUCT関数で掛け算したい列をそれぞれ指定するだけで、自動で各行を掛け算して合計してくれます。

列ごと・行ごと手軽に計算したいならオートフィル
Excelでオートフィルを活用すれば、「*(アスタリスク)」や関数を都度セルに入力しなくても計算できて便利です。
例えば、下図では数式(B2*C2)が入力されているセルD2にのみ、合計金額が表示されています。本来、セルD3〜D10にも合計金額を表示するためには、各セルにも「B(行数)*C(行数)」の数式を入力していかなければなりません。

しかし、以下のようにオートフィルを活用すれば、わざわざ計算式を手作業で入力しなくてもセルD2と同様に「*(アスタリスク)」を使った数式でスムーズに合計金額を計算できます。

オートフィルは、「*(アスタリスク)」だけでなく関数に対しても有効です。オートフィルの使用方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
<関連記事>【図解付き】エクセルのオートフィルとは?もっと便利なフラッシュフィルも解説
Excelの掛け算で掛ける数を固定する方法
Excelのオートフィルは便利な機能ですが、シーンによっては掛ける数がずれて本来表示したい内容と異なる計算結果になってしまうことがあります。そこで、「F4」キーを使って掛ける数を固定する方法を身につけておきましょう。
例えば、下記のように消費税額を計算するケースでは、ボールペンの消費税を計算するためセルE4に「=PRODUCT(D4,C1)」(売上×消費税率)と入力することが一般的です。

しかし、これをオートフィルでシャーペンや消しゴムの該当セルにそのままコピーすると、正しく計算できません。毎回セルC1(消費税率部分)を掛けるべきなのにもかかわらず、掛ける数がセルC2(下のセルに移るにつれて、C2,C3…とずれていく)になっているためです。

そこで、セルE4に入力する際は「C1」を絶対参照にして固定しなければなりません。「=PRODUCT(D4,C1)」の式内の「C1」にカーソルを合わせて「F4」キーを押せば、セルC1が絶対参照となります。これでセルC1(消費税率)が固定されるため、オートフィルをかけても正しく表示されるようになります。

絶対参照に関しては以下の記事でより詳しく紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
<関連記事>【Excel】数式にエラーが出るのは「絶対参照」をしていないから! 相対参照と複合参照の違いとは?
Excelの掛け算でパーセント(%)を使った計算をする方法
「セルの書式設定の表示形式」で「パーセンテージ」と設定したセルに入力した数値を使えば、Excelでパーセント(パーセンテージ)を使った掛け算も簡単です。ここから、ケース別にビジネスでパーセントを使って計算する方法を紹介します。
ケース1 消費税額を計算する
消費税額を計算する際は、あらかじめ消費税率を入力しておくセルを用意しておきましょう。
以下では、アスタリスクを使ってボールペンの税抜金額250円(セルB2)に消費税率「10%」(セルC4)をかけることで、消費税額25円(セルC2)を計算できました。「税抜金額(B2)」のセルと「消費税額(C2)」のセルを合計すれば、「税込金額」も計算できます。

なお、パーセンテージを用いる代わりに、「0.1」のように小数点を使って%の掛け算をする方法もあります。
ケース2 目標売上額を計算する
ビジネスでは、売上実績に目指す成長率を加味し、来期の目標売上高を計算することがあります。以下は、成長率8%(各店共通)を目指して来期の目標を設定したケースです。

「本店」の来期売上目標(セルC4)に「=B4*(1+$C$1)」を入力してから、オートフィルでA店やB店の目標額(セルC5・セルC6)も計算しました。
成長率分を増やす必要があるため、セルC1(8%)をそのまま掛けるのではなく、「1(100%)」を足してから計算している点がポイントです。
なお、オートフィルを使用する前提のため、セルC4に入力した掛ける数(セルC1)は絶対参照しています。
足し算・割り算もExcel関数で計算できる!
足し算や割り算も、「+」や「/」を使わずExcelの関数を使って計算する方法があります。それぞれ確認していきましょう。
「+」を使わずに足し算する方法
Excelで「+」を使わずに足し算するには、SUM関数を使用します。
シーンによっては、「+(プラス)」を使わずにSUM関数を使用した方が便利なこともあるでしょう。例えば、各品目の合計金額を合計する場合は、「=D2+D3+D4+D5・・・」とするよりも、「=SUM(D2:D10)」と入力した方がスムーズに計算できます。

なお、SUM関数だけでなく、SUM関数の派生系の関数を活用した方が業務効率化につながることもあります。そのうちの一つ、SUBTOTAL関数については以下の記事を参考にしてください。
<関連記事>【Excel】小計が含まれる表を計算するときに!SUBTOTAL関数の使い方、活用事例を紹介
また、SUMIF関数については、以下の記事で解説しています。
<関連記事>【Excel】IF関数を総まとめ!基本の使い方から条件分岐まで紹介
「/」を使わずに割り算する方法
割り算も「/(スラッシュ)」だけでなく、QUOTIENT関数やMOD関数で計算できます。QUOTIENT関数やMOD関数は、割り算の「商」や「余り」を求めることができる関数です。使用頻度はあまり高くありませんが、頭の片隅においておくと、どこかの場面で役に立つことがあるでしょう。

QUOTIENT関数が割り算の「商」を求めるのに対し、MOD関数は割り算の「余り」を計算する関数です。上の例(14÷4)ではQUOTIENT関数の結果が商の「3」、MOD関数を用いた結果が余りの「2」と表示されています。
なお、複素数や平方差の場合を除き、単純な引き算の関数は存在しないため、引き算をする場合は「=A1-B1」のように、「-(マイナス)」を使うしかありません。
Excelの掛け算にまつわる疑問を解消しよう
最後に、Excelで掛け算を使うときによく見られる疑問・質問に回答します。知っておくと得するテクニックばかりなので、ぜひ参考にしてください。
Excelの掛け算の疑問①:答えを四捨五入したいときはどうする?

小数を含む掛け算の場合、答えにも小数が含まれることがあります。答えを四捨五入したい場合は、ROUND関数を使いましょう。ROUND関数は「=ROUND ( 数値 , 桁数 )」で定義される関数で、数値には「四捨五入したい値」、桁数には、四捨五入する箇所の桁数(小数点第一位を四捨五入する場合には「0」)を入力します。
詳しくは、以下の記事で紹介しています。
<関連記事>エクセルの計算は合ってるのに合計が違う? そんなときはROUND関数を使って解決
Excelの掛け算の疑問②:掛け算の答えの切り上げ・切り捨ては?

切り上げをする場合は「ROUNDUP関数」、切り下げをする場合は「ROUNDDOWN関数」を使います。基本的な使い方はROUND関数と同じです。
Excelの掛け算の疑問③:計算式は合っているのに答えが合わない理由は?
「計算式は正しいはずなのに答えが合わない」「Excelの答えと電卓で計算した答えが違う」、そんなときには以下のような理由が考えられます。
- 入力されているデータと見た目が異なる
- 「表示桁数で計算する」にチェックが入っている
- 端数処理の手順がおかしい
例えば、以下のように実際に入力されている数値と表示されている数値が異なる場合、計算が合わないように見えてしまいます(あたかも「1×1=1.69」であるかのように表示されている)。

このケースは、セルC2・C3は表示形式が小数点以下の桁数「0」で設定されているのに、セルC4は小数点以下の桁数が「2」で設定されているために生じるものです。答えがおかしい場合は、まず「小数点以下がどうなっているか」を疑いましょう。
また、「表示桁数で計算する」にチェックが入っていることで、計算が合わないこともあります。仮にチェックが入っていると、計算で優先されるのは表示されている値です。先ほどと同じように、セルC2とセルC3に「1.30」を入力し(表示形式:小数点以下の桁数「0」)、セルC4(表示形式:小数点以下の桁数「2」)でC2*C3の結果を確認してみましょう。

セルC2とセルC3に「1.30」と入力していますが、今回は計算する際の値が「1」として扱われます。なぜなら、「表示桁数で計算する」にチェックが入っているためです。
セルC4に「C2*C3」と入力して「1.3*1.3」の計算をしているつもりでいても、セルC2とセルC3の表示が「1」になっていれば「1*1」の計算処理がされるため、セルC4には「1.69」ではなく「1.00」と表示されてしまいます。
「表示桁数で計算する」のチェックは、「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」で外せます。答えが合わない場合は確認してみましょう。
Excelの掛け算の疑問④:エラー値が表示される理由は?
Excelで掛け算をする際に「#NAME」や「#VALUE」などのエラー値が表示される主な理由は、入力ミスです。
「#NAME」は、数式や関数の中に定義外のものが入力されている場合に表示されるエラー値です。数式に余計なものを入れていないか、関数名のスペルは間違えていないかなどを確認しましょう。

また、「#VALUE」は数式や関数で引数(計算の元になる値)が誤っている場合に表示されるエラー値です。例えば、以下のように本来数値を入力すべきセルが文字列で入力されている場合に、「#VALUE」が表示されることがあります。

今回紹介した以外にもExcelにはさまざまなエラー値が存在します。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
<関連記事>【図解】Excelのエラー表示の徹底対策!エラーの種類と原因も解説
Excelの掛け算はシーンに応じて関数や数式を使い分けよう
Excelの掛け算には、主に3つの方法があります。ビジネスでは、状況に適した方法を用いることが業務効率化を図る上で大切です。
掛ける数が多いのにExcelで「*(アスタリスク)」を使っていた方は、これから積極的にPRODUCT関数も活用しましょう。今までよりスムーズに掛け算の処理ができるようになるはずです。
PRODUCT関数に限らず、Excelで使える関数を増やしていくと、今後自分の仕事がどんどん楽になりますよ。
【参考記事】
【Excel】置換機能と置換ができる関数を解説!数値の一括変更をする方法
【2025年版】Excelは無料で使える?利用方法と有料版との違いも解説
Excelで棒グラフを簡単に作成する方法は?積み上げ棒グラフの作り方も解説







