飽き性の人の特徴とは?仕事での活かし方や改善方法を解説

「集中力が続かず、仕事に身が入らない」というように、自分は「飽き性」かもしれないと感じたことはありませんか?本記事では、飽き性の人の特徴やその原因、改善する方法などを分かりやすく解説します。

作業に飽きてスマホを見てしまう人

「仕事をしていて、集中力が続かない」「ほかの出来事にすぐに興味が移ってしまう」など、自分が「飽き性」だと感じ、悩んでいるビジネスパーソンは少なくないでしょう。しかし、飽き性にはポジティブな側面もあるのです。本記事では、飽き性の人の特徴から、原因や改善する方法のみならず、活かし方についても公認心理士の川島達史さんに伺い、分かりやすく解説します。

飽き性とは?その意味を解説

飽きて仕事へのやる気を出せない様子

飽き性とは、物事や活動に対して短い期間で興味や集中力を失ってしまうことです。例えば、仕事をしていても集中できず、手元のスマホでついついSNSを見てしまうなど。飽き性の人は、目の前のことに取り組んだり、新しいことに興味を持ったりしても、その集中が長続きしません。すぐに別の出来事に興味が移ってしまうのです。ただ、飽き性には良い側面もあります。以降で見ていきましょう。

飽き性の人にはどんな特徴がある?

前向きに仕事を進めていく若手社員

飽き性の人にはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、飽き性の人のポジティブな面とネガティブな面について整理してみましょう。

飽き性の人のポジティブな特徴

飽き性をポジティブに捉えると、主に下記の3つの特徴が挙げられます。

  • 1つの物事に囚われない
  • アイデアを0→1で生み出すのが得意
  • プロジェクトの急な変更にも強い

飽き性の人は、裏を返せば1つの物事に囚われないと言えます。次々に興味を示して幅広く活動するので、さまざまな経験を積めたり、人脈が広がって多様な価値観に触れていたりするのです。

さらに、さまざまな経験や多様な価値観によって、枠に囚われないアイデアを出すのが得意な上、視野が広く0から1を生み出すことや急なプロジェクトの変更などにも臨機応変に対応ができるという特徴があります。

そのため、1つのことを深掘りするというよりも、広く浅く、短時間で集中して、いろんな人たちと出会ったり、プロジェクトを回したりしていくような営業職や企画職などの業種においては、むしろ飽き性がポジティブにはたらくこともあるでしょう。

飽き性の人のネガティブな特徴

一方で、飽き性をネガティブに捉えると、主に下記の3つの特徴が挙げられます。

  • 集中力がない
  • 深堀りが苦手
  • 単純作業やルーティンワークが苦手

飽き性の人は熱しやすく冷めやすいため、集中力を持続させるのが得意ではありません。興味を持っても長続きせず、新しいことに興味を惹かれてしまうため、深い知識を習得しにくく、浅くなりがち。広く浅く考えることが得意な反面、1つの分野を深堀りしていくことが苦手なのです。

そのため、例えばプロジェクトに取り組んでいる途中で飽きてしまい、最初の勢いが持続せず、やる気のない様子が表れてしまうと「最近、なんだかやる気が見られないよね」と信頼を失ってしまうケースにつながってしまうこともあります。

さらに、単純作業の繰り返しやルーティンワークなどの作業では、集中力が切れてしまうとミスが増えてしまうこともあるでしょう。このような場合は、モチベーションが続かず、転職を繰り返してしまう場合もあるかもしれません。

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飽き性になる原因はある?

集中力が持続しない人のイメージ

ビジネスにおいて短期間で興味、集中力が切れてしまうのは業務に支障をきたす場面もあり、改善できる部分は改善したいと思っている方もいるでしょう。飽き性になってしまう原因には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、主なものを解説します。

目的や目標が定まっていない

飽き性の人は、自分の思い描く理想の姿やゴールが定まっていない可能性があります。言わば、自分が何のために、何をすれば良いのか分からない状態です。そのため、興味や関心、価値観などが行ったり来たりして、一つのことに集中しにくくなります。この状態が恒常化することによって、飽き性になりやすくなってしまうのです。

難易度が低いものに取り組んでいる

自分のスキルよりも、目の前の業務や課題の難易度が低い場合、退屈に感じ、飽きが生じてしまう傾向にあります。飽きずに集中して取り組めるのは、業務や課題の難易度が自分のスキルよりも少し高いところにある状態。そのため、業務や課題の難易度がマッチしていないことが、飽き性の原因になっているケースも多いのです。

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飽き性を改善する方法は?

飽き性を改善して仕事に集中するイメージ

「飽き性な自分を変えたい!」と考えている人もいるでしょう。ここでは、飽き性を改善するための方法を紹介します。

目的を深く考える

自分自身とよく向きあい、行動の目的を明確にさせることは飽き性の改善において重要です。目的がしっかり定まっていないと、自分の行動に意義を見出せず、途中で飽きてしまいます。

このときの目的設定は、例えば「海外で活躍できる人材になるため」「5年後に独立するため」といった、比較的大きなものでも構いません。自分の人生のストーリーを描くイメージで定めてみましょう。また、「目的」という行動するための意義を明確に持つことは、アイデンティティの醸成や確立にもつながります。

目的を達成するための目標の難易度を少し高く設定する

目的を深く考えたあとは、その目的に向けたより明確な目標を定めましょう。

目標を設定する際に大切なのは、今の自分のレベルよりも少し難易度を高く設定すること。例えば、「1年後にプロジェクトのリーダーになる」「今年中に仕事で活かせる資格を取得する」など。少し高い難易度にすることで、努力しやすく飽きにくい状態をつくることが可能です。

また、このとき、「上司に、この先プロジェクトのリーダーになって活躍してほしいと言われたから」というような外部から与えられた動機(外発的動機)ではなく、「自分のキャリアプランを考えたときに、この先プロジェクトリーダーになって成長したいから」という自分の中でつくり上げていった興味や関心などに沿った動機(内発的動機)を基に目標に定めることで、持続力の維持が期待できます。

時間を細かく区切って業務に取り組む

飽き性の人は、同じ作業を継続することが苦手な傾向にあります。その中で、もしもルーティン作業に取り組まなければならない場合は、タスクを時間ごとに区切る方法がおすすめです。

例えば、「ポモドーロテクニック」の要領で、1つの作業をA、B、Cのタスクに分け、適度に休憩をとりつつ、短い時間ごとに区切って進める方法があります。具体的には、タスクAを1時間、休憩をはさんでタスクBを1時間、再び休憩をはさんでタスクCを1時間。このように細切れにタスクをこなすことで、飽きを発生させにくくすることができるでしょう。

マインドフルネスをする

マインドフルネスとは、自分自身を観察する力を指します。飽き性の場合は「集中力がない」「集中力が続いていない」という自分を理解し、その状態を観察することで、再び集中するための工夫や心がけができるようになるというものです。

マインドフルネスのベーシックなトレーニング方法として、「呼吸+観察トレーニング」があります。まず楽な姿勢をとり、腹式呼吸を使ってゆっくり息を吸い、時間をかけて吐き出しましょう。普段無意識に行っている呼吸に意識を向け、お腹が「膨らんでいる」「縮んでいる」という様子を感じながら、自身を客観的に観察します。

その呼吸の中で自分の心理面を観察し、「飽きている自分」を認識します。そして、そのような心の状態を把握した上で、再び集中するために意識を切り替えましょう。

この方法は、毎日無理なく続けることで、呼吸に集中し、落ち着きや波に乗るような感覚を得ることができます。このような方法などを取り入れつつ、集中力を高める方法を試みるのも良いでしょう。

「マインドフルネス」については、こちら もご覧ください。

飽き性は無理に治さなくても良い?

マイペースに楽しく仕事を進める様子

飽き性は見方によって長所にも短所にも捉えられます。短所として捉えすぎるあまり、無理に改善しようとして、ストレスを抱えてしまう可能性もあるのです。

重要なのは、飽き性を改善することにエネルギーを割くのではなく、前向きに活かす方法を考えること。新たな分野をどんどん開拓していく力や、これまでにないアイデアを生み出す力など、飽き性には特有の強みがあります。飽き性を悪いものと思いすぎず、アクティブに見聞を広げていく部分に着目し、共存することを意識しましょう。

ただし、どうしても短所として飽き性が発動し、「集中力が続かず仕事がうまく進められない」「信頼が下がって評価が落ちてしまうかもしれない」と悩んでいるのであれば、紹介したような改善方法を取り入れてみるのも良いでしょう。

自分の特性として柔軟に受け入れてビジネスシーンに対応していく

飽き性は一見、集中力や持続性に乏しいなど短所としての側面が注目されがちですが、高い開拓力や一つのことにこだわらないなど、ポジティブな側面もあります。特に、単純作業の機械化やAI導入が進められている近年のビジネスシーンでは、人の仕事として新たな価値や創造をする力が求められつつあるのです。つまり、さまざまなことに興味関心を持ち、臨機応変に対応できる、飽き性のポジティブな要素が求められているとも捉えられるかもしれません。

そのため、飽き性を悪いものと思い込みすぎず、自分の特性として柔軟に受け入れ、ビジネスシーンに対応していくように切り替えて、毎日の業務に取り組んでいきましょう。

監修:ダイレクトコミュニケーション 代表取締役 川島達史
目白大学大学院心理学研究科を修了し、現在ではコミュニケーション講座の講師として、心理学や人間関係に関するワークを行う。専門は成人のソーシャルスキルが孤独感・対人不安に与える影響。普段は「コミュニケーション講座」の主催や、YouTubeチャンネル「ダイコミュ大学」による情報発信を行っている。

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