自己認識力が高いと意思決定の質が上がる?高める方法を分かりやすく解説

ビジネスにおいて、個人の成長や効果的なコミュニケーションに必要な「自己認識力」。本記事では、基本的な意味や特徴、メリットやデメリットについて解説します。

自己認識力を高めて成長した若手社員のイメージ

ビジネスにおける意思決定の質向上や、円滑なコミュニケーションに効果がある「自己認識力」を高めたい人は多いでしょう。 自分自身を深く理解することでその強みを活かす自己認識は、4つのSTEPで高められます。今回は、自己認識の言葉の意味や特徴、自己認識力があることのメリット・デメリットなどについて、キャリアコンサルタントの瀧本博史さんに伺った内容を基に、分かりやすく解説します。

自己認識とは?意味と種類について分かりやすく解説

疑問を感じている社員の様子

自己認識とは、自分自身の感情や思考、行動、価値観、能力のほか、それらが周囲の人々や環境にどのように影響を与えるのかを認識する能力のこと。この能力は、ビジネスにおける個人の成長や効果的なコミュニケーションを行うために必要なものなのです。

また、自己認識は主に「外面的自己認識」と「内面的自己認識」に分かれます。それぞれの特徴とよく混同されがちな「自己意識」との違いについて見ていきましょう。

外面的自己認識

外面的自己認識とは、他者(外から)から自分がどのように見られているか、自分の行動が他者にどのような影響を与えているかを理解する能力のことを指します。この外面的自己認識は、社会的な状況や人間関係において自分の立ち位置を認識し、適切に行動するために重要です。

外面的自己認識ができていると、例えばプレゼンテーションを行っている際に、聞き手の反応を見て内容が理解されているか、興味を持ってもらえているかを把握し、必要に応じて説明の仕方を調整するというように、相手がどう感じているかを把握して、それに応じた行動をとることができます。

一方で外面的自己認識ができていないと、例えば自分の意見を強く主張しすぎてしまい、チームメンバーの意見を尊重していないと周囲に感じさせ、協力を得られなくなるといったことが生じやすくなってしまいます。

内面的自己認識

内面的自己認識とは、自分(内から)から見た自分という自己認識です。具体的には、自分自身の感情や思考、価値観などの内面的な部分を理解し、それが自分の行動や決定にどのように影響しているかを認識する能力を指します。

内面的自己認識ができている状態とは、自分の志向性などを理解しているということです。例えば、ビジネスの場面でストレスが高まっている場合、その原因を自己分析し、適切なストレスマネジメントができることなどが挙げられます。

一方、内面的自己認識ができていない状態では、自分の感情やストレスの原因を理解できず、無意識のうちに周囲にそのストレスをぶつけてしまい、職場の人間関係の悪化につながってしまうことがあります。

自己意識との違い

自己意識とは、自分自身に向けられる意識そのものを指し、主に自分が周囲の環境や他者からどのように見られているか(公的自己意識)と、内面的に自分がどのように存在しているか(私的自己意識)に分けられます。

漢字だけ見ると似ていますが、「自己認識」と「自己意識」は似て非なるものです。自己認識が自己理解のために自分を認識するものであるのに対し、自己意識は自分へ向けられた意識そのものという点で違いがあります。

また、自己認識は自己改善や成長につながりやすい特徴があり、他方で自己意識は社会的な相互作用や人間関係の中で、自分をどのように表現するか、その位置づけを理解するのに役立ちます。

自己認識力が高い人・低い人の特徴は?

チーム内のコミュニケーションを円滑にする様子

自己認識が高い人と低い人にはどういった違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴をみていきましょう。

自己認識が高い人

自己認識力が高い人は、自分自身の性格や能力、思考方法、感情などを理解しているので、自分の組織内での役割を正確に把握できます。そのため、チーム内でのコミュニケーションを円滑にし、部下や同僚との協力関係を効果的に構築していけるでしょう。

さらに、自分の強みや弱みも正確に把握しているので、適切なタスク配分や自己改善に努めることもできます。

自己認識が低い人

自己認識力が低い人は、自分自身の能力や性格、思考回路などを正確に把握できていないので、自分に与えられた業務を適切にこなすことが難しい傾向にあります。さらに、他者から自分がどう見られているかを理解できず、人間関係の構築に苦労しがちです。

中でもビジネスにおいては、自分の意見を過度に押し通そうとしたり、他者の意見を理解できずに衝突を引き起こしたりするケースが挙げられます。

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自己認識力が高いことのメリットは?

コミュニケーションスキルが高い人のイメージ

ビジネスにおいて自己認識力が高いと、どのようなメリットがあるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。

意思決定の質が向上する

自己認識力が高い人は、自分の強みや弱み、価値観や感情の動きをより深く理解しています。この自己理解により、自分にとって何が最善なのかを分かっているため、より迅速で効果的な意思決定が可能になります。

加えて、意思決定の質が向上すると、プロジェクトやタスクの効率が大幅に改善されるほか、自分自身の能力やリソースを正確に把握した上で適切な判断を下せるので、業務成果の向上なども期待できるでしょう。

ストレス管理ができる

自己認識力が高いと、ストレスやプレッシャーの多い状況でもその原因となるものや自分の反応を認識して、適切に対処する方法に取り組むことができます。これにより、ストレスを効果的に管理し、仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことなく、健康的なバランスを保てるでしょう。

また、長期的に健康状態を維持できることで、ストレスによる疲労や急に意欲をなくす「バーンアウト」を防ぎ、安定した良いパフォーマンスを発揮できます。

よりよいコミュニケーションがとれる

自己認識力が高い人は、自分の行動が他者にどのような影響を与えるかを理解しているため、うまくコミュニケーションをとれ、よりよい人間関係や協力的な職場環境を築くことができます。

特に、ビジネスの現場ではチームワークが求められます。そこで、自己認識力を持ってそれぞれの相手と適切なコミュニケーションをとれれば、協力的なチーム体制づくりを牽引することができるので、リーダーとしての資質も養えるでしょう。さらに、共同目標の達成に向けてチームの士気を高めることも可能です。

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自己認識力はバランスが大事?バランスが悪い場合のデメリットとは?

自己認識力のバランスが崩れている人のイメージ

理想的な自己認識は、外面的自己認識力と内面的自己認識力がどちらも高いことですが、そのバランスが悪いとデメリットも発生します。ここでは、それぞれのバランスの悪さによる影響について解説します。

内面的自己認識力が高く、外面的自己認識力が低い場合

内面的自己認識力が高い一方で、外面的自己認識力が低い場合、自分の能力や目標は明確に把握しているものの、他者からどう思われているかを想像する能力に欠けている状態です。

例えば、自分に与えられた業務をこなすことはできるけれども、他者の感情を汲み取ることができず、意見を取り入れるのが苦手と言えます。そのため、無意識のうちに他者を不快にさせたり、誤解を招いたりしてしまい、人間関係のトラブルの原因となることがあります。

内面的自己認識力が低く外面的自己認識力が高い場合

内面的自己認識力が低く、外面的自己認識力が高い場合、周囲の視線や評判に敏感である一方で、自分自身のことがおろそかな状態です。

このタイプは、自分を過小評価してしまうことが多く、仕事に対しても遠慮がちです。それによって、意思決定の質が良くなく、自分の目標達成や成功につながらない行動を選んでしまったり、適切な判断や行動がとれずに仕事の効率や成果を上げられなかったりすることも多いです。

加えて、自分自身を正確に認識できないため、周囲からの評価を過剰に気にして、ストレスを溜め込むことも少なくありません。

内面的自己認識力と外面的自己認識力どちらも低い場合

内面的自己認識力と外面的自己認識力のどちらも低い場合は、自分の能力や目標、周囲からの評価などを正しく理解できていない状態です。こうなると、自分の想像と現実のギャップが大きくなり、期待通りの成果を出せません。よって、業務に対するモチベーションの低下や人間関係の悪化などが懸念されます。

自己認識力を高める方法は?4STEPで解説

自己認識力を高めていくイメージ

自己認識力を高める方法はあるのでしょうか。ここでは、すぐに実践できる方法を4STEPで解説します。

STEP1:「自分」を明確に認識する意識を持つ

まずは、自分を理解しようとする意識を持ちましょう。自分自身を明確に認識している人は、自分の性格や長所・短所をはじめ、どのような影響を与えるのかなどを知っているので、自信があり、適切な判断を下すことができます。すると、メリットで挙げたような、コミュニケーションの円滑化やよりよい人間関係の構築が可能になります。自己認識力を高めるためには、そういった意識を持つことから始めましょう。

STEP2:自分の行動を振り返る

これまでの行動について振り返り、自己分析を行いましょう。日々の自分の行動を整理すると、行動原理や癖などを理解できます。その際には、自分の行動の背景にある思考や感情を理解するのも大切です。

また、内省する際は、「なぜ」だけで考えてしまうと、「なぜ、こういう行動をとったのか」と自分を否定する方向に考えがち。そこに「なに」も加えてみましょう。すると、「何に対して行動をとったのか」というように、より具体的なものを考えやすくなります。

STEP3:自分にとっての楽しみや幸せを見つける

自分が本当に価値を感じること、楽しいと思うことを考えてみましょう。自分の心を動かすものを見つけられると、自分自身の理解を深められます。この場合も「自分が“何”に価値を感じるのか」を意識して深堀りすれば、より具体的なものが見つかるでしょう。

STEP4:他者にフィードバックを求める

自分の行動や言動、働きぶりに対する他者からの率直な意見や感想を求めることで、自己の客観的な評価を得られます。この客観的な評価によって自己認識が深まり、より明確なものにできるのです。

さらに、他者のフィードバックを聞くと、自己認識とのズレが発生している部分も見つけられるので、改善すべきポイントも分かります。その際には、上司や同僚、部下など、自分と関わりのある人から多面的に評価を受ける「360度評価」を活用するのが効果的でしょう。

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自己認識力を高めればパフォーマンスも向上する

自己認識力は、自分の感情や考え、行動、価値観、そして能力を深く理解し、これらが他者や環境にどう影響するかを知る力です。この力があれば、ストレス管理を改善し、人間関係を良好にすることもできます。

ビジネスパーソンが自己認識力を高められれば、自分の長所を最大限に活かし、短所を改善するための明確な方向性を見出すことができるでしょう。つまり、ビジネスにおける成功に直接貢献するだけでなく、個人のキャリアの成長や職場での幸福(ウェルビーイング)にも大きな影響を与えるのです。

監修:キャリコンリンク合同会社代表 瀧本博史
転職コンサルタント・心理カウンセラー。国家資格 2 級キャリアコンサルティング技能士、産業カウンセラー、心理相談員など多数の資格を保有。キャリアの専門家として職業訓練校での就職指導、大学講師、ハローワークや公共機関などの相談員を務めているほか、心理カウンセラーとして心の問題のケアにも従事。NHK 総合の就活ドラマを監修。著書は『オンライン就活は面接が 9 割』(青春出版社)、『2026 年度版 本気で内定!面接対策』(新星出版社)など。

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