【睡眠専門医に聞いた】「8時間が最適」は本当? 自分に合った睡眠時間を知る方法

日々忙しく過ごしていると寝不足に悩むこともしばしば。限られた時間のなかで「できるだけ8時間は眠ろう!」と意識している方も多いのではないのでしょうか。今回は、日本睡眠学会専門医の中村真樹先生に、就寝時刻と睡眠の関係について教えていただきます。はたして、まことしやかに囁かれている“睡眠=8時間最適説”は、本当なのでしょうか。

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「睡眠時間は8時間が最適」という説は本当?

ビジネスパーソンのなかには、限られた時間のなかで「8時間は眠ろう」と努力している方も多いはず。テレビや雑誌で8時間睡眠が理想的だと紹介されているのを見て、睡眠時間を調整しているケースもよく見られます。

しかし、実は“8時間睡眠理想説”には明確な医学的根拠はありません。そもそも、8時間睡眠が理想的だと認識されていたのは「1日(24時間)を3等分して、仕事に8時間+家事に8時間+睡眠に8時間」という考えが背景にあったと言われています。当然8時間眠ったからといって、必ずしもすべての人が上質な睡眠を確保できるわけではないのです。

睡眠時間と健康の関係性

睡眠不足が心身に与える影響は非常に大きく、血管性認知症が原因となる高血圧・糖尿病・高脂血症や狭心症や心筋梗塞、脳梗塞のリスクも上がると言われています。少しショックなデータかもしれませんが、「睡眠時間4時間以下で心血管疾患発症リスクが1.68倍」「4時間以下の睡眠は、動脈疾患による死亡リスクが7時間以上睡眠をとっている人の2.32倍(女性)」という論文も発表されているのです。

・就学児童(6~13歳)…9~11時間
・思春期(14~17歳)…8~10時間
・青年期(18~25歳)…7~9時間
・壮年、中年期(26~64歳)…7~9時間
・高齢者(65歳以上)…7~8時間

上記は、全米睡眠財団が推奨している年代別の睡眠時間です。記載のとおり労働世代として働く人は、日々7~9時間の睡眠が必要だと推奨されています。睡眠不足が深刻化している日本ではなかなか実践できない数字だと感じる方も多いのではないでしょうか。さまざまな事情で理想的な睡眠時間が確保できない人も多いかと思いますが、上の数字をひとつの目安として6~7時間程度の睡眠は確保してほしいと感じます。

「もしかして寝不足かも……」自分の睡眠不足をチェックする方法

睡眠不足が与える健康被害を知り、“自分の睡眠が十分であるか”が気になったビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。実は、自分が睡眠不足であるのかは意外と簡単な方法で確かめられるのです。

まず、休日前夜にあえてアラームをかけずに夜ふかしせずに快適な空間で眠ってみてください。十分な睡眠時間が確保できている場合には平日と同じ時間帯に自然にスッと目が覚め、その後も日中ほとんど眠気を感じることはないはずです。アラームがないと起きられず、あるいはいつもと同じ時間に目が覚めても2度寝・3度寝をして、いつもの起床時間よりも2~3時間以上経ってしっかり目が覚めた場合には日々の睡眠不足や睡眠負債がたまっている可能性があります。

自分に合った睡眠時間を知るためには?

巷では「8時間睡眠が理想的」「6時間睡眠で十分」などさまざまな考え方が展開されていますが、人がどのくらい眠るべきなのかは一概に判断できません。ショートスリーパーやロングスリーパーの方もいるように、心身を回復させるために必要な睡眠時間には個人差が大きいのです。

先述したように、本来はいつも同じ時間にすっきりと目が覚めるのが理想。例えば、“深夜1時就寝・7時起床(6時間睡眠)”の睡眠リズムで眠気を感じる場合には、就寝時刻を11時に変更してみましょう。睡眠時間が2時間長くなったことで起床時や日中の眠気が消された場合には、その人にとって8時間睡眠が最適だということになります。 “〇時間眠らないと!”と数字にこだわりすぎるのではなく、自分に合うちょうどよい睡眠時間を探ってみてくださいね。

また、理想的な睡眠のためには「時間」だけでなく「眠りの質」も重要です。いくら長い時間眠っていたとしても、睡眠時無呼吸症候群の方や中途覚醒が多い場合には熟睡できている時間が短いため、気付かないうちに慢性的な睡眠不足に陥っている可能性もあります。7~9時間の睡眠時間を確保しているにもかかわらず、日中に強い眠気を感じる場合や夜中に何度も目が覚める場合には睡眠の質を悪くする病気が隠れているかもしれませんので、睡眠専門の医療機関に相談するのがよいでしょう。

【監修】
中村真樹●日本睡眠学会専門医。2008年睡眠総合ケアクリニック代々木に入職。2012年、同病院の院長となり、睡眠で悩むビジネスパーソンを月に300人以上診察する。2017年6月には青山・表参道睡眠ストレスクリニックを開院。
https://omotesando-sleep.com/

文=山本杏奈
編集=五十嵐 大+TAPE

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