【睡眠専門医に聞いた】就寝前の些細な行動で“眠り”が激変! 睡眠の質を上げるためのコツ

限られた時間のなかで、上質な睡眠をとろうと試行錯誤しているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。今回は、日本睡眠学会専門医の中村真樹先生に、就寝時刻と睡眠の関係について教えていただきます。眠りの質を下げないために必要となる、就寝前の極意とは?

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子どもから大人まで、日本人の多くの人が抱える睡眠の悩み

日本は先進諸国の中で平均睡眠時間が短く、労働世代を中心にほとんどの人が睡眠不足に陥っていると言われています。最近は少しずつ働き方も変化していますが、睡眠時間を削って働いているビジネスパーソンも少なくありません。また、驚くべきことに労働世代だけでなく、3~15歳でも睡眠不足を抱えている子どもが多く存在します。

下記は国別の平均睡眠時間(1日)を調査した結果です。これを見るだけでも、いかに日本人の睡眠時間が短いのかがわかります。

・日本…469分
・オーストラリア…512分
・アメリカ合衆国…518分
・イギリス…503分
・韓国…470分
・フランス…530分
(経済協力開発機構による2009年調査より)

睡眠が足りていない状態で仕事や勉強に取り組んだとしても、体も脳も疲れが取れていないまま。そのため、頭痛・耳鳴り・めまい・下痢などの体の症状を引き起こすほか、集中力低下やうつや慢性疾患のリスクも高まります。また、十分な睡眠時間が確保できている場合でも“遅寝遅起きの人”は早寝早起きの人と比較して、肥満傾向・日中の集中力低下・抑うつ感増大傾向がみられます。日本人のほとんどが抱える不規則な生活や睡眠不足による弊害は、予想以上に深刻なのです。

「ちゃんと寝ているのに眠い……」の理由は、“睡眠の質”が悪いから

意識的な睡眠時間の確保や早寝早起き生活を実践しているビジネスパーソンも多いはずです。しかし、理想的な睡眠リズムを身に付けていたとしても、“睡眠の質”が悪い場合にはどうしても十分な眠りとは言えません。「睡眠時無呼吸症候群」のような眠りの質を下げる病気にかかっているケースはもちろん、中途覚醒や寝つきの悪さも睡眠の質を下げる大きな要因となります。睡眠時間が短い場合には眠る時間を伸ばすことが大前提となりますが、睡眠時間を確保しているにもかかわらず寝不足を感じる場合には睡眠の質が悪いのかもしれません。

意外としている、睡眠の質を下げるNG習慣

前述したように、いびきや体の不快感がないにも関わらず、「深夜に何度も目が覚める」「十分寝ているのにすっきりしない」場合には、睡眠の質を悪くする生活習慣が原因かもしれません。知らず知らずのうちに、熟睡を遠ざけてしまうNG習慣をしていないか確認してみてください。

NG習慣1.明るい光は“眠り”の天敵!
夜に明るい光を浴びてしまうと、眠気を感じにくくなってしまう可能性大。なかでもスマートフォンから出されているブルーライト(青色の光)は眠りをコントロールしている脳内物質のメラトニンの分泌に大きな影響を与えてしまいます。夜は“照明をできるだけ暗くする、電球色系にする”、“スマートフォンをナイトモードに切り替える”など、帰宅後から就寝までは蛍光灯の光やスマートフォンから出されるブルーライトを極力浴びないように注意しましょう。

NG習慣2.帰りの電車&帰宅後のウトウト
日中の疲れがどっと押し寄せて、帰りの電車内や家に着いた途端に居眠り(仮眠)してしまう方も多いのではないのでしょうか。30分程度であっても、夕方以降の居眠りで眠気が飛んでしまって睡眠リズムの乱れに繋がる恐れがあります。どうしても疲れてしまった場合には、帰宅後、夕食、入浴(シャワー浴)を早々に済ませ、早めにしっかり眠るほうが眠りの質は高まります。

NG習慣3.残業後の深夜ごはん
残業を終えたあと、深夜にしっかり食事やアルコールをとっている方もいますよね。しかし、夜遅くにたくさん食べてしまうと、睡眠の質の低下や眠りにつきにくくなるデメリットがあります。残業で夕飯の時間が遅くなってしまう場合には、残業中の休憩時に軽食を取り、帰宅後に小腹が空いているようなら睡眠の妨げにならない豆腐料理や野菜など軽めのメニューをとるように意識してください。

眠りの質が変わる! 実践したい、睡眠の質を上げる3つのコツ

忙しい日々を送るなかで、健康的な生活を送るためには“眠りの質”を下げない工夫が必要です。眠りの質を下げるような生活習慣が隠れていないかチェックするため、就寝前の行動や睡眠習慣を把握する「睡眠日誌」の記録を実践してみてはいかがでしょうか。

コツ1.部屋の温度をキープ
気温が影響して寝苦しい夜には、エアコンを使って快適な室温に調整する必要があります。特に、気温上昇がみられる夏場には、室温28度前後&湿度50~60%に設定するのがおすすめ。高温環境下ではレム睡眠の増加と深睡眠の減少、中途覚醒の増加を招いてしまいます。寒すぎても眠りが浅くなるので室温を下げすぎないように注意しながら、快適に眠れる室温と湿度に調整してみましょう。

コツ2.眠気を誘う、最高の入浴
眠気は、「深部体温」と呼ばれる体内部の体温が下がり始めた頃に訪れます。帰宅後に自然なタイミングで眠りにつきたい方は、お風呂に入る時間と温度を意識してみましょう。ベストな入浴タイミングは就寝の1~2時間前、38~40度のお湯につかりましょう。熱めのお湯に短時間つかるのではなく、ややぬるめのお湯に30分程度つかり、体の芯から温めるのがポイントです。

3.睡眠日誌の導入
私のクリニックでも患者さんに配布している「睡眠日誌」。毎日の就寝時刻・起床時刻、食事の時間に加え、日中の気分や体調などを記録していく簡単なものですが、日常の睡眠習慣や生活リズムを把握する効果があります。日々の睡眠時間、眠気の出やすい時間や発生回数を書き出すことによって、自分でも気付けていない睡眠の問題点を可視化できるのです。日中の眠気や睡眠不足を感じている方は、睡眠日誌を使って日常の睡眠習慣や生活リズムを見直してみてくださいね。

眠りの質を上げると、仕事の生産性もアップする!

睡眠不足は、常に脳がダメージを受けているような状態。身体への影響はもちろんのこと、仕事中の眠気や頭が働かない状態が続くことによって作業効率もグッと低下してしまいます。ご紹介した「睡眠の質を上げるコツ」を実践して、ぜひ高いパフォーマンスを発揮するビジネスパーソンになっていきましょう。

【監修】
中村真樹●日本睡眠学会専門医。2008年睡眠総合ケアクリニック代々木に入職。2012年、同病院の院長となり、睡眠で悩むビジネスパーソンを月に300人以上診察する。2017年6月には青山・表参道睡眠ストレスクリニックを開院。
https://omotesando-sleep.com/

文=山本杏奈
編集=五十嵐 大+TAPE

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