withコロナ時代のお金の貯め方・使い方 減ったボーナスとどう向き合えばいい?

新型コロナウイルスによって深刻なダメージを受けている日本経済。今夏の「ボーナス」事情を尋ねたアンケートでは、夏はともかく、冬は「厳しい」と予想する人が大部分を占める結果に。これからやってくる家計の氷河期に向けて、今からできる準備とは? ベストセラー本『年収200万円からの貯金生活宣言』など著書を多数もつ人気ファイナンシャルプランナー・横山光昭さんに聞きました。

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ボーナスの使い方でわかる! 自分の「家計の健全度」チェック法

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25〜34歳のビジネスパーソン225人に実施した「夏のボーナス」に関するアンケート によれば、2020年の夏、無事にボーナスが「支給された」人は78.4%。夏のボーナスはコロナ禍による損害が明らかになる前に支給額を決定した企業もあるとされ、ダメージはこれから波及すると見る向きも。

そうした予測を裏付けるように、冬の予想は「今回よりも減る・出ないと思う」(51.4%)との悲観する声が過半数を占めました。

となると、気になるのはこれからの家計防衛の方法。一体何から始めれば?

「コロナ禍によってライフスタイルや働き方は変化しつつありますが、お金の考え方は変わりません。まずは現状の把握から始めましょう! 実は、ボーナスの使い方に注目すると、家計の体力が見えてくるんです」(ファイナンシャルプランナー・横山光昭さん)

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横山光昭さん

みなさんの家計の健全度やいかに? 「ボーナスの使い道」を尋ねたアンケートでは次のようになりました。

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結果は、圧倒的な大差をつけて「貯金」(72.5%)が1位。続く2位には「家賃・生活費」(31.6%)、3位に「自分へのプレゼント購入」(19.9%)がランクイン。横山さんが目を光らせたのは、「家賃・生活費」という使い道です。

「臨時収入に手をつけないで済むのが理想的な家計。金額にもよりますが、ボーナスの半分を貯金できるなら、家計は健全と言えます。逆に、ボーナスの減りが早いと感じている人、ボーナスで生活費を補填した人は要注意。上のアンケートでは『家賃・生活費』が3割を占めていますが、もしかしたら知らないうちにやりくりが破綻しているのかもしれません。今こそ、一刻も早く家計を見直しましょう」(横山さん)

家計を見直すときは「消費・浪費・投資」に分けるのがポイント

では、家計を見直したいときは一体何から取り掛かればいいのでしょう?

「おすすめの方法は、月々の支出の割合を『消費』(70%)、『浪費』(5%)、『投資』(25%)で考えることです。家庭の状況によってベストな割合は変わりますが、最初の一歩としては、ぜひこの割合に近づけるように工夫してみてください」(横山さん)

たとえば、毎月の支出が「30万円」の人は、「消費・浪費・投資」の具体的な金額の目安は次のようになるといいます。

●「消費」(21万円)
……生きるための支出。家賃、水道光熱費、食費、交通費など
●「浪費」(1.5万円)
……なくてもいい支出。お酒・タバコなどの嗜好品代、ブランド物代など
●「投資」(7.5万円)
……将来につながる支出。書籍代、ジムや英会話の授業料など(貯蓄も含む)

お金を貯めようと思うとつい『浪費』をストイックに削りがち。でも、人生を楽しむためには欠かせないお金なので、5%くらいは割きたいところ。『投資』も同様で、老後の2000万円問題に向けた金融投資、スキルや知識を身につけるための自己投資は働き盛りの世代にとって不可欠。必ず確保したいお金です」(横山さん)

お財布のヒモをギュッ! とするカット項目は

では、支出をダイエットしたい場合は、何からカットすればいいのでしょう?

「まず、月々の支出には、『固定費』と『変動費』の2種類があります。節約に最も有効とされるのは、固定費のムダをカットすることです」(横山さん)

●固定費
家賃/通信費/生命保険や損害保険の保険料/教育費/住宅ローン/駐車場代/ジムの月会費/スマホアプリの月額課金 など

●変動費
食費/衣類費/水道光熱費/日用品代/交際費/娯楽費/医療費/ガソリン代 など

固定費は契約の解除などを伴うものが多く、一見こまごまとした変動費の方が節約しやすいように思えますが、固定費は一度削ればずっと維持できることから大きな節約効果が期待できるそう。

「ただし、最近はコロナ禍の不安もあってか、家計を見直しているうちに、つい保険料を削り過ぎてしまう人が増えています。確かに過度な保険は見直したいものですが、いま健康だからといって必要な保障さえ削ってしまうというのはリスキー。無理なカットは禁物と心得ましょう」(横山さん)

上手にお金を貯める方法は? 「現金」にひそむリスクも…

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固定費などの見直しから支出カットに成功したら、浮いたお金はまっすぐ銀行の口座へ…という人も多いはず。お金にまつわる考え方を聞いたアンケートでも、「もっとお金を貯めたい」(70.2%)との声が最多でした。

横山さん、上手にお金を貯めるにはどうすれば?

「逆説的ですが、お金を上手に貯められる人は、使うのも上手。コロナ禍で先が見えないので、使うことに不安を感じるかもしれませんが、したいことを我慢するばかりの節約ライフはつらいもの。なるべく優先順位をつけて『絞るところは絞る』『使うところは使う!』という心意気で、お金の使い方にメリハリをつけるのが節約ライフを長続きさせるコツです」(横山さん)

たとえば、週5で1000円の外食をしているなら、自炊に切り替えつつ週2だけは1500円のゴージャスな外食にしてみる。あるいは、交通手段を自転車にしてみるなど、自分なりの工夫を楽しめれば、リバウンドもなく長続きしそうです。

一方で、「貯金があれば安泰、とは言い切れません」と横山さんは指摘します。

「銀行にたくさん預金があっても、社会の物価が上がってしまえば、相対的に現金の価値は下がり、どんどん損をしてしまいます。こうしたインフレのリスクを減らすために、ある一定額まで現金を貯金したら、あとはお金を別の金融資産に変えておくという手もあるんですよ」(横山さん)

持つべき現金の目安額は「7.5カ月分」!

では、自分が持っておくのに適した「現金」の額とは?

「突然大きな病気をしたり、まとまったお金が入り用になったりする事態に備えるなら、やっぱり現金が安心です。そうした事態も考慮しつつ、用意しておくといいとされる現金の額の目安は、生活費の7.5カ月分です。つまり、生活費が30万円なら、内訳は次のようになります」(横山さん)

<生活費30万円の場合、持っておきたい現金の目安>
●いざというときにすぐ使える現金…生活費の1.5カ月分(45万円)
●貯めておきたい現金…生活費の6カ月分(180万円)
=合計 7.5カ月分(225万円)

「生活費の額にもよりますが、もし生活費が30万円の場合は225万円くらいを現金で持っておき、余剰分は国が推奨しているNISAやiDeCoを活用して運用していくのも一つの手です」(横山さん)

若ければ若いほどいい!?20~30代は投資スタートのベストタイミング

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欧米に比べて投資に縁がないといわれる貯金大国・日本ですが、上記のアンケートでは「もっとお金を投資にまわしたい」とした人が約1割。最近は、老後の2000万円問題を受けて、金融投資に興味を持つ若い人も増えていると横山さんは言います。

そういった人々はどんな投資方法を選んでいるんでしょう?

「私自身は、国が税制優遇をきかせている有利な制度を使いながら、投資信託を積立で買っていくことをおすすめしています。投資信託は20〜30代の方にとって非常に有利なんですよ」(横山さん)

横山さんが投資信託をすすめる理由は2つ。一つは、少額ずつの積み立てであっても、“複利”という効果によって、長い期間にわたって持つことで収益が増えていくこと。もう一つは、投資信託は数百〜数千の投資対象で構成されているので、リスクが軽減されること。

「投資信託はちょっとずつ無理のない金額を積み立てながら、長く持つことで収益を増やすことができます。つまりスタートが早ければ早いほど有利なのです。最初は地味な収益に過ぎませんが、長い目でみれば大きな資産形成が可能ですよ」(横山さん)

家計防衛に不安があるなら専門家に相談を

「早ければ早いほどいい」と言われると、今すぐ勉強したい気持ちはあるものの…。投資はもちろん、お金の貯め方も使い方も、ベストな方法は人それぞれ。「これは安い物でいい」「これは高額でも必要」といった判断を下しながら、自分にとってベストな家計を組み立てる必要があります。

いや、そんなムズかしいことを自力でできる気がしない…という場合は?

手に負えないと思ったら、専門家の知恵を借りるのが一番の近道。どんな家計もレスキューするのがファイナンシャルプランナーです。たまに企業が行っている無料の相談会も見掛けますが、無料というからには何か狙いがあるはず。そういう意味では、30分5000円〜1万円くらいの有料になるとしても、知識を買うつもりで相談した方が有益な情報を得られるはず。ただ、人によって得意分野が異なる場合もあるので、事前によく調べてくださいね」(横山さん)

なにかとややこしいお金まわりは、プロに頼るのも有力な選択肢。家計の冬を迎える前に、ぜひ自分のお金の使い方をもう一度チェックしてみて!

わずか3分で分かる、あなたの適正年収

文=矢口あやは
編集=TAPE

■監修者プロフィール
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は23,000件を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は144冊、累計330万部となる。個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。
オンラインサロン「横山光昭のFPコンサル研究所」を主宰。

■調査概要
実施期間:2020年7月10日~12日
対象:全国の25〜34歳の男女 会社員
手法:インターネットアンケート
モニター:Fastask
サンプル数:225名
対象:全国の25〜34歳の会社員・男女

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