【新型コロナウイルスと税金】持続化給付金は課税対象!? あの給付金は課税される?それとも非課税?

新型コロナウイルスの影響により、さまざまな助成金やキャンペーンが実施されていますが、それらに対する税金の取り扱いはどのようになっているのでしょうか。課税されるものもあるので、知らないと困ってしまうことも!? そこで今回はスバル合同会計所属の税理士、浜崎厚徳さんに、新型コロナウイルス関連の取り組みと税金について伺いました。

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特別定額給付金で支給された10万円は課税されない!「非課税」となる支援金や給付金

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非課税となる新型コロナウイルス関連の助成金はいくつかありますが、その中でもビジネスパーソンに関わりのある制度について紹介します。

特別定額給付金

国民全員に対して迅速かつ的確に支援を行うため、給付対象者1人あたり10万円を支給。原則として世帯主が申請者となり、他の世帯構成員の分もまとめて申請し、世帯主の口座へ全員分が振り込まれます。この特別定額給付金は非課税(新型コロナ税特法第4条第一号により)とされています。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

新型コロナウイルス感染症および、まん延防止措置の影響により、休業させられた中小企業の労働者が対象。休業中に勤務先から賃金(休業手当)を受け取ることができなかった人に対して、支援金・給付金を支給する制度です。 

支給額は、休業前の1日当たり平均賃金の8割(11,000円が上限)を、休業日数に応じて受給することが可能(労働者の事情で休んだ日を除く)。所得税その他の税金として課税されることはありません(「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律」による)。

子育て世帯への臨時特別給付金

新型コロナウイルス感染症の影響を受けている、子育て世帯の生活を支援する取り組みのひとつ。児童手当を受給する世帯(0歳〜中学生がいる世帯)に臨時・特別の一時金として給付金を支給する制度です(所得制限あり)。

対象児童1人につき1万円が支給され、非課税となることを厚生労働省が公表しています。

課税と非課税が混在している支援事業

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ベビーシッター派遣事業の割引券

内閣府の委託を受け、公益社団法人全国保育サービス協会が実施している「ベビーシッター派遣事業」の中で、ベビーシッターサービス利用時に使える割引券を発行(この割引券は新型コロナウイルスと関係なく元々あるもの)。勤務先等に申請することで割引券が交付され、対象児童1人につき、1日の利用料金から2,200円(※多胎児の場合は金額が異なる)の割引が受けられます。この割引券の企業負担分は従業員等の「給与所得」、それ以外は利用者の「雑所得」として課税対象となります。

この支援策は、新型コロナウイルスの影響で特例措置を実施。1日に使用可能な枚数が増え、フリーランス専用の窓口が設置されました。特例措置で支給された割引券は非課税となります。

持続化給付金は課税の対象に。「課税」される助成金・キャンペーン

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課税対象となる助成金やキャンペーンは以下です。

持続化給付金

感染拡大により、営業自粛など特に大きな影響を受けた事業者を対象に、事業の継続を支えるため、事業全般に広く使える給付金を支給。ビジネスパーソンの中には、会社に勤務しながら開業している方もおり、開業している場合は申し込みの対象となります。

給付額は、法人は200万円を、個人事業主は100万円を超えない範囲で支給されます。個人事業主の場合、当初は事業所得者のみ対象とされていましたが、その後で主たる収入を給与所得や雑所得で申告している人にも対象が拡大されました。

持続化給付金は「新たに取得する経済価値」(すなわち所得)であり、所得税法やその他の法律で「非課税」と規定されていないので、課税対象です。事業所得で申告していれば「事業所得」、雑所得であれば「雑所得」、給与所得であれば「一時所得」となります。

Go To トラベルキャンペーン「地域共通クーポン」

観光業を支援する事業「Go To トラベル」。このキャンペーンを利用した旅行者には、旅行代金の15%相当額を地域共通クーポンとして配布。個人で旅行し、地域共通クーポンを利用する場合は、一時所得に区分されるので課税対象となります。ただし、一時所得は50万円まで非課税なので、それ以下の場合は申告する必要はありません。

ビジネス出張の一部は割引対象外になっていますが(2020年11月6日の予約販売分から)、出張先で取得した地域共通クーポンを個人で使用するのは課税対象。給与課税に分類されます。

新型コロナウイルス関連の助成金やキャンペーンについて、課税・非課税の税金を理解できたでしょうか? 特に持続化給付金は、納税額に大きく影響することがあるので忘れずに申告するようにしましょう。

 

文=平原健士(iPPON COMPANY GROUP)
編集=野田綾子+TAPE 

【監修者】
浜崎 厚徳(税理士法人スバル合同会計  税理士)

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1988年生まれ。IT企業の営業職をしていた2014年、一念発起して税理士を目指し、3年後の2017年、税理士試験に合格。現在、税理士法人スバル合同会計に勤務し、不動産業・飲食業・建設業など幅広い業種の顧客を担当。副業による投資や、個人事業の開業・法人の設立などスタートアップの支援を得意としている。 

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