「控除」ってなんですか? 給与明細の見方を社労士がじっくり解説

給料日、給与が振り込まれると同時に渡される「給与明細」。この給与明細、なにげなく見ているだけで詳細にチェックすることは少ないのでは。ここで改めて給与明細の見方を学びませんか。教えてくれるのは、社会保険労務士(社労士)であり、株式会社リーガルネットワークス代表取締役の勝山竜矢さん。給与明細に書かれていることってなに?

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給与明細は主に3つのカテゴリーに分けて詳細が書かれている

給与明細は主に以下の3つのカテゴリーに分けて、表示されています。

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①「勤怠」とはなんだ?

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「勤怠」とはパートやアルバイト、正社員といった雇用されている労働者の就業状況を明示したもの。
給与明細には出勤日数や欠勤日数、残業時間などが表示されています。勤怠の箇所でチェックして欲しいのは、『残業時間』です。後述する残業手当はこの時間をもとに算出していますので、これがちゃんと合っているかどうか確認しましょう。

②「支給」とはなんだ?

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「支給」の欄には会社が労働者に支払う賃金が書かれています。労働者は働いた対価として賃金を受け取ることができます。 主な賃金は「基本給」と、割増賃金(「残業手当」「休日出勤手当」「深夜勤務手当」等)、そして各種手当(「通勤手当」、「家族手当」等、会社が設定した補助的な賃金)です。

■基本給

「基本給」とは、会社と労働者との間で交わされた労働契約における基本的な就業における給与です。主に正社員等の月給制の場合は、基本給が30万なら、遅刻、早退、欠勤等がなければ、毎月30万円支給されるもの。

■残業手当(割増賃金)

労働基準法には労働者の働く時間は「1日8時間、1週間40時間」と定められています。会社が法定労働時間を超えて働かせた場合、労働者は1時間あたりの賃金(割増し基準単価)の25%増しの割増賃金を受け取ることができます。

■休日出勤手当(割増賃金)

労働基準法には、雇用主は労働者を「週1回または4週に4回以上」の休日を与えなければならないと書かれています。この休日を「法定休日」と呼び、その休日に業務命令において働いた場合、1時間あたりの賃金額の35%増しの手当を労働者は受け取ることができます。なお、代休を取得した場合は、代休を取得した1日分の賃金が控除されますので、割り増し分の35%の割増賃金を受け取ることが可能に。

■深夜手当(割増賃金)

午後10時から午前5時まで労働した場合、1時間あたりの賃金の25%増しの手当を労働者は受け取ることができます。

■通勤手当(各種手当)

各種手当とは、会社と労働者が労働契約を締結するにあたり、いわゆる基本給以外にも各種補助的な賃金が定められている場合に支給される賃金です。例えば、通勤手当とは労働者の自宅と勤務先との往復にかかる交通費を補助する目的で支給される賃金で多くの会社で採用されている手当の一つです。自宅から会社までの公共交通機関を利用したときの費用やマイカー通勤をした場合のガソリン代などがそれに当たります。なお通勤手当は一定の金額までは、税務上非課税になる手当の代表格でもあります。

③「控除」とはなんだ?

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労働基準法上、賃金は“全額払いの原則”があるのですが、この原則には例外があり、次のいずれかに該当する場合は、賃金から一部を差し引いて支払うことができます。この賃金から差し引かれるものが「控除」欄に記載され、主なものは「税金」「社会保険料」「労使協定で決定した費用」です。

■税金(所得税、住民税)

国税である「所得税」、住んでいる市区町村に払う「住民税」(地方税)の2つです。国税と地方税は納める先も違えば、その金額も別々に計算され、別々に徴収されます。なお、住民税は前年度の所得に応じて計算するか、すべての人に等しく一律で係る“均等割り”という計算方式で計算されるため、たとえば、前年まで学生だった新入社員のように前年度の所得がない人や一定の所得条件に当てはまる人等、特定の条件を満たす人は住民税が非課税となるケースがあります。

■労働・社会保険料

労働・社会保険は、社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)、労働保険(雇用保険、労災保険)の5つがあります。

・「健康保険」…医療機関で支払う医療費を負担してくれる保険。
・「厚生年金保険」…老後や障害を負った時に本人が、本人が亡くなった際にはその遺族が、年金や一時金を受け取れる保険。
・「介護保険」…介護サービスを受けることのできる保険で、40歳から支払うもの。
・「雇用保険」…労働者が失業した際、職業安定所での支援や失業手当を受け取るために支払う保険。
 上記4つの保険料は会社員の場合、会社が折半して保険料を負担してくれています。
・「労災保険」…勤務中や通勤途中に、事故や災害によるけが、仕事が原因の病気にかかった際、労働者が給付を受け取るための保険です。なおこれは労働者が支払うのではなく、雇用主側が全額支払うため、給与明細に明記されることはありません。

■労使協定で決定した費用

基本的に賃金から引いていいものは税金と保険料となります。しかし、労使協定を通じて合意した項目に関しては引いても問題ありません。その例が社宅の賃料や労働組合の組合費など。これらは企業と労働者の代表が労使協定において同意したため、賃金から控除することができるようになります。

給与明細はあなたの1カ月の働きぶりが書かれている

毎月、決まった時期に受け取る給与明細には、あなたの1カ月の間に働いた足跡や納税した証拠など、さまざまな情報が詰まっています。自分がどれだけ働いたのか、自分がどれだけ稼いでいるのかを確認し、自分の働き方を見つめなおしてみてはいかがでしょうか。

記事監修=勝山竜矢(社会保険労務士)
文=野田綾子
編集=TAPE

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監修者プロフィール
社会保険労務士(社労士)┃勝山竜矢
株式会社リーガルネットワークス代表取締役。1976年東京都生まれ。2005年に開業。独立する1年前よりソニーグループの勤怠管理サービスの開発、拡販などに参画。これまで1,000社以上の勤怠管理について、システム導入および相談を担当してきている。
http://www.kintaikanrikenkyujo.jp/

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