マルチタスクができるようになりたい! メリットデメリットと苦手を克服する方法

社会の変化とともに、私たちの抱える仕事の量は増えるばかりです。一つのことに集中して取り組むことができたらいいのに……と思いますが、現実はそうはいかないことも。複数のタスクを一挙に進めるためには、どのようなポイントがあるのでしょうか。働き方改革の専門家・大塚万紀子さんにご紹介いただきます。

マルチタスクとシングルタスク

「マルチタスク」「シングルタスク」は元々コンピュータ用語だと言われています。コンピュータが、同時進行で別々の処理を実行するか、一つの処理を実行するか、という違いがあります。これがビジネスパーソンの仕事の仕方に置き換えられ、使われているものだそうです。ではビジネスパーソンにとって、マルチタスクとシングルタスクとはどのような状況を指すのでしょうか。

マルチタスクとは

マルチタスクは、複数の仕事や作業を一人の人が担当することをいいます。たとえば、A社案件の営業とB社向けの調査項目の設計、さらにC社へ納品する商品の品質管理、社内の引っ越しプロジェクトの担当……などを一人で進めるなどがマルチタスクです。それぞれに同時進行でスケジュールが立てられており、場合によっては同じ日にいくつもの納品期日や完了期日が定められている場合もあり、綿密な計画を立てて仕事を進めていくことが求められます。

シングルタスクとは

シングルタスクは、一人の人が一つの仕事や作業を担当することをいいます。D社の商品開発を数か月~数年かけてじっくりと担当するなどです。一つの作業を終えてから次の作業に取り掛かることができるため、今進めている仕事に集中して取り組むことができます。

マルチタスクが苦手。その原因は?

一つのことに集中してしまう

マルチタスクが苦手な人に多いのが、「一つの作業に集中してしまって、別の作業が一切進んでいない」というものです。複数の作業(タスク)を抱えている場合、優先順位や期日を意識しながら、どのタスクも少しずつ進めていくのが理想ですが、「切りのよいところまで進めておきたい」という葛藤が生まれることもあります。

一つ一つの仕事に完璧を求めている

多くのタスクを抱えている場合、細かなタスク一つ一つに完璧を求めてしまうことで他のタスクにかける時間がなくなってしまうことがあります。例えば、作っているパワポ資料のデザインの細部まで気を配って、載せる画像選びに時間を使いすぎてしまったり、綺麗な文章を作るために時間をかけすぎてしまったりすることがこれにあたります。

タスクの優先順位づけができていない

例えば、提案資料の骨子を上司に提出する、というタスクがある場合、まずは提案内容の大まかな流れと提案書で伝えたいメッセージを作ることが重要です。一つ前の例「完璧を求めてパワポのデザインの細部にまで手を入れてしまう」というのは、最終的には必要なことであっても、現在進めているタスクとしては優先順位が低いものになります。この場合、今現在持っているタスクの中で何をやらなければならないのかという優先順位ができていないと言えます。

1日の中の時間管理が苦手

朝、出社するなりクライアントからの追加の要望メールが目に留まってしまい、着手してしまった……気付いたら夕方になっていた。なんてことはありませんか? 1日の中で、どのタスクを、どの時間帯に、何分くらいかけて進めるのかイメージや計画ができていないとマルチタスクを遂行することは難しくなります。マルチタスクに取り組む際は特に「決めた時間内に終わらせよう!」という気持ちとそれを達成するための工夫が必要になってきます。

新たに頼まれた仕事を優先しがち

ビジネスパーソンには常に新しい仕事が舞い込んできます。しかし、現在進めているタスクを途中にししたり、作業順序を入れ替えてしまうことによって、元々の計画に遅れが生じてしまう場合があります。そのような場合、新しい仕事にも新たに優先順位をつけて、いつ着手可能なのかを、頼んできた相手にも伝える必要があるでしょう。

マルチタスクのメリットとデメリット

難しく思えるマルチタスク。ここでは、そのメリットとデメリットをみていきましょう。

メリット1 :複数のプロジェクトに参加できるためスキルアップができる

複数のタスクを抱えるということは、複数のプロジェクトや仕事の一翼を担うということでもあります。一つのスキルを徹底的に高めることもスキルアップには有効ですが、マルチタスクをこなすことで多様なスキルを身に付けるチャンスが広がります。

メリット2:さまざまな仕事の全体像を把握できる

担当するタスクがどこかで関連していることもあります。その結果、幅広い情報が手に入るだけでなく、仕事の全体像を高い視点や視座で見ることにもつながります。特にVUCA時代※といわれる近年では、社会は常に変化しているといわれています。変化に対応するためにも、さまざまな視点から仕事の全体像や社会の動きを把握しておくことが求められます。マルチタスクはこの観点からも有効といえるでしょう。

※VUCA時代・・・「VUCA」とは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った造語です。VUCA時代とは、現代社会やビジネスにおいて、未来・将来の予測を立てることが難しくなる状況・時代であるということを意味しています。

デメリット1:マルチタスクは生産性が下がることも

一つ一つのタスクに集中できない状態で臨むと、生産性が下がります。マルチタスクを行う際は集中力を発揮できるよう、自分自身のコンディションを整えておく必要があります。例えば、睡眠時間は7時間以上確保できていますか? 脳が集中力を維持できるのは朝起床してから13時間以内といわれています。マルチタスクを行う人ほど仕事の進め方にメリハリをつけ、仕事開始と同時に集中力高く対応できるような工夫をしておくとよさそうです。

デメリット2:時間管理ができないとキャパシティオーバーになる

マルチタスクは時間管理を上手に行わないと、気付いたときには仕事の総量が予想以上に増えていることもあります。各タスクの目安所要時間を意識しながら、さらには1日に対応できる時間や量の限度を自分なりに設定しながら、タスクに対応することが求められます。「この仕事は15分で片付けよう」と思っても、気付けば60分を越えている…ということが多い人は、自分の仕事のクセを把握できていないか、所要時間の見積もりが甘いのかもしれません。正確な所要時間を計ってから計画を立て直してみるのもおすすめです。

マルチタスクが苦手…その克服方法は?

方法1:タスクを細かく分類して管理する

マルチタスクに圧倒される人は、一つ一つのタスクが大き過ぎたり抽象的過ぎたりするかもしれません。大きなタスクは細かく分解し、具体的な行動や目標に落とし込んでから始めると、短時間で簡単に対応できる作業の積み重ねとなり、気分的にも楽に進められるようになります。

(例)プレゼン資料作成の場合のタスク分類

①依頼者のニーズの把握
②全体構成の整理
③プレゼン原稿の作成
④プレゼンスライドの作成
⑤プレゼンの練習
⑥原稿やスライドの修正

上記のように6つにタスクを分解することができます。①〜⑥それぞれにどの程度時間がかかるかを見積もり、日にちをあえて開けた方が効果的なものはないかなどを確認し、タスクとして計画を立てていくと効果的です。

方法2:時間を区切って時間内に終わらせることを意識する

「1つのタスクを終わらせるまでは次に進めない」という思考になると、タスクが積み重なってつらくなっていきます。完璧を目指して時間をかけるのではなく「70点レベルでいいからこのタスクは60分で終わらせよう」など達成レベルより時間を優先してみるのも一つの手。特にお客様や仕事相手がいる場合は、途中で方向性を確認するなどして、手戻りを減らしましょう。

方法3:それぞれのタスクに適した時間帯を意識する

例えば課長に依頼された仕事が明日の16時締め切りだとしましょう。課長の予定を見ると、明日の14時から16時まで打ち合わせが入っているようです。このような場合、16時が締め切りだとしても、課長が確認できるのは14時まで。また、売上数字など細かな数字を確認しなければならないタスクがある場合、なるべく集中して仕事をしたいですよね。このようなタスクを、集中力が持続しやすい朝の時間帯に行う、という手もあります。自身のコンディションや依頼者の予定なども確認し、そのタスクに着手する時間帯を意識してみると良いでしょう。

方法4:前日に翌日のタスク整理とスケジュールを立てる

マルチタスクの場合、締め切りが1週間に複数あることがあります。前日に、明日の予定を確認した上で、どのような仕事をいつやるのかまで管理しておくことで、1日の仕事の進め方を整理しておきましょう。そうすることで、新たな仕事が舞い込んできた場合にも、その仕事をいつ着手することができるのかを、依頼者に適切に伝えることができます。

マルチタスクの第一歩!タスク管理表を作っておこう

ここまで説明してきた内容を、頭の中だけで管理することは非常に難しいです。今日しなければならないのか、今週末までに何をしなければならないのかを管理する「タスク管理表」を作成することで、仕事の順序を確認することなくマルチタスクを進めることが可能です。まずは以下のような項目をExcelシートなどで管理してみてはいかがでしょうか? 最近では、アプリなどでタスク管理をしてくれるツールも出てきています。活用してみるのも一手ですね。

タスク管理に必要な項目

①依頼者

誰から依頼されているタスクなのかがわかるようにする項目です。さまざまな人から依頼を受けている場合、作業後に誰に連絡をしたら良いのか混乱する場合があるため、記入しておきましょう。

②内容

タスクの内容を記載します。「A社からの問い合わせに対する見積もり作成」など簡易的に記載します。

③目的・ゴール

内容に対して、その目的・ゴールを記載しましょう。どこまで作業を進めれば良いのかを記載することで、必要以上に時間を使ってしまうことを防ぐことができます。

④優先度・重要度

そのタスクの優先度・重要度を記載しましょう。優先度も高く期日が近いタスクを新たに依頼された場合、その他のタスクと照らし合わせて作業の順序を入れ替えるなどが可能になります。

⑤所要時間

そのタスクにどのくらいの所要時間が必要かを記載しましょう。これを記載しておくことによって、1日でどのくらいタスクを完了できるかを自身で把握することができ、無理なく業務を進めることが可能になります。

⑥期日

いつまでに完了させなければならないタスクかを記載しましょう。期日が少し先であっても、作業量が多い業務はタスクを細かく分類し、さらに細かく期日を切って進めることで余裕を持って進めることが可能です。

マルチタスクを効率よく行おう

いかがでしたか? 働き方改革やDX推進などで今までの仕事の進め方から大きく変化しているなかで、マルチタスクで進めねばならないことも増えていくかもしれません。「絶対無理!」と諦める前に、何か工夫できることはないか? と立ち止まって考えてみてくださいね。

【プロフィール】
大塚万紀子
楽天を経て06年(株)ワーク・ライフバランスを小室淑恵とともに創業。高いコミュニケーション力やコーチングスキルを活かし、売上利益に貢献するさまざまな働き方改革を効率的に遂行するコンサルティングの先駆者。心理学や組織論等をもとに多様性をイノベーションにつなげることが得意。経営者から”深層心理まで理解し寄り添いながらも背中を押してくれる良き伴走者”と厚い信頼を得る。農林水産省「食品産業戦略会議」委員(働き方改革分野担当)なども担当。二児の母。

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