仕事中ずっと眠いのは○○が原因! 効果的な対処法を紹介

仕事中ずっと眠い、一日中眠い……。このような、なかなか眠気が冷めない状態を誰もが経験したことがあるのではないでしょうか? 今回は眠気の原因と対処法について紹介します。

「きちんと寝ているはずなのに、何で眠くなるのだろう?」と、疑問に感じてしまうことでしょう。その疑問を解決するには、眠気に襲われる原因を知り、解消法を実践し続けるしかありません。

今回は、仕事中に眠くなるパターンとして、よくある“昼食後”と“一日中眠くなる”。この2つに分けて、眠くなる原因と対策法を精神科医の茅野分(ぶん)先生に話を伺いました。

仕事中、昼食後に眠くなるのは自律神経のせい?

昼食を食べたあとに襲ってくる眠気。午後の仕事は、この眠気との格闘で大変ですよね。その原因を茅野先生に伺うと、「自律神経が大きく関係している」と言います。

自律神経とは?

「自律神経って何?」という人も多いと思うのですが、少し自律神経の話をします。人間には、交感神経と副交感神経という2種類の自律神経があり、この2つの自律神経のバランスがとれていることによって、体の機能はコントロールされ、健康を維持できているのです。

交感神経:活動しているとき、緊張しているときにはたらく
副交感神経:休息しているとき、リラックスしているときにはたらく

先ほどの「自律神経が大きく関係している」と言っていたのは、副交感神経のこと。この副交感神経が優位に立つと、人は眠気が発生します。特に食後は体が優先して、この副交感神経を活発にするため、眠気に襲われるそう。

【無料診断】そのモヤモヤの原因は?生き方のヒントが見つかる「モヤモヤ解消診断」

「糖質」の摂取も眠気に大きく関係している?

食事内容も眠気に大きな影響を与えています。

「昼食後の眠気は理にかなっているもので、人間の構造上仕方がないこと」という茅野先生。大切なのは、いかに副交感神経をはたらかせないものを食べるかどう。それによって、眠気の度合いが変化してくるそうです。

糖質が眠気を誘うメカニズム

眠気の原因となっているのが、食事に含まれる糖質。人間は血糖値が上がると、すい臓からインシュリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げようとして眠くなってしまうのです。

糖質接種から眠くなるまで

・糖質の多い食事を食べる
・血液中のブドウ糖が増える
・血糖値が上がる
・高血糖を抑制するためにインシュリンが分泌される
・ブドウ糖が脳に供給されなくなる
・眠くなる

眠気を誘う原因「糖質」とは、そもそもどんな成分?

糖質とは三大栄養素である炭水化物、脂質、タンパク質のうち、「炭水化物から食物繊維を除いたもの」と定義されます。糖質が体内に吸収されエネルギーになり、糖質が不足すると脳に栄養が届かず判断力や注意力の低下につながってしまいます。同時に肝臓や筋肉中に貯められているグリコーゲンが消費されるため、疲れも感じやすくなります。

ただし、糖質の過度な摂取は眠気を引き起こすだけでなく、長期間続くと糖尿病や脳梗塞といった生活習慣病にもつながりかねないので適度に糖質をとることが大切です。

糖質の多い食べ物は「穀類」

糖質の多い食べ物の代表は「穀類」です。

お米・麺類といったように炭水化物中心の食生活にしてしまうと、糖質を多く必要以上に多く摂取してしまうため、眠くなることは避けられません。とはいえ、急に食生活を変えるのも難しいでしょう。そういった場合は、白米を少なくしたり、玄米に変えたりするだけでも効果があるので、ぜひ試してみてください。

例えば、昼食には胃が消化しやすい「そば」や「うどん」。また、野菜では大根や水菜を意識して多めに摂取するのも眠気対策として有効だそうです。

食後の眠気への対処法3選

食後に眠くなるのは、避けようのない生理現象です。それでは仕事中や勉強中に眠くなったときには、どうしたらいいのでしょうか。

1:眠いときは寝る。ただし、短時間に抑える

茅野先生によれば、「食後、眠気に襲われてしまった場合は無理をせず素直に寝てしまうことが一番の対処法になる」そうです。このとき、押さえておくべきポイントは睡眠時間は15~30分以内に抑えること。

30分以上寝てしまうと、深い眠りについてしまうため、かえって眠くなってしまった……という事態になりかねません。ですので、昼食後の睡眠時間は30分以内に抑えるのがベスト。このような短時間睡眠は「パワーナップ(積極的睡眠)」「ショートナップ」などと呼ばれ、眠気を抑えられるだけでなく、気分の切り替えにもつながるので、効率よく午後の仕事に臨めるはずです。

【関連記事】
パワーナップ(積極的仮眠)とは?昼寝の効果で仕事効率もアップさせよう

2:体を動かすのも眠気には効果的

体を意識的に動かすことで眠気がなくなるケースもあります。もし太陽光が入らない室内で仕事をしている場合には、散歩がてら外に出て自然光を浴びると脳が活性化されます。

例えば、食後に眠くなったら、ショートナップ(15~30分ほどの睡眠)をとったあとに会社の周りをぐるっと一周歩きます。それが難しい場合には、トイレに立ったり、たとえ室内でも自然光の入る場所にいったりすると眠気が改善されることもあります。

3:カフェイン摂取による眠気払拭

コーヒーのようなカフェインの入った飲み物を飲むのもいいでしょう。一般的に疲労状態が続くと、ヒスタミンという神経伝達物質が放出され、これにより眠気が生じます。そこでカフェインを摂取すると、ヒスタミンの放出が抑えられ、結果として眠気を感じにくくなるのです。

なお、カフェインは摂取後30分から2時間ほどで血中濃度が最大になるといわれます。さらにその後、2~8時間かけてカフェインの効果は半減していきます。そのため、遅い時間にカフェインの入った飲料を飲んでしまうと夜の睡眠に影響してしまうので、茅野先生によれば「午後3時以降はコーヒーを飲まないようにするのが理想」とのことです。

「一日中眠い…」「ずっと眠い…」はなぜ起こるのか?

「なんか今日は一日中眠い…」仕事をしていると、そんな日もあるでしょう。その原因を茅野先生に聞くと、不規則な生活習慣も原因の一つとして考えられるそうですが、「サーカディアンリズム」というものも大きく関係しているそうです。

眠くなる原因①「一日中眠い」を左右する「サーカディアンリズム」

「サーカディアンリズム」とは一体何なのでしょうか?これは、体温やホルモンの分泌などを24時間の周期に合わせて、無意識のうちに変化させていること。「概日リズム」とも呼ばれ、これが崩れてしまうとホルモンの分泌など体のリズムがおかしくなり、一日眠くなってしまうそう。

この周期を整えるためには日光が欠かせません。なんと、朝起きてすぐに日光を浴びると、眠気の原因とも言われる「メラトニン」の分泌を止めることができるのです。「一日中眠い……」と感じている人は朝起きたらすぐに日光を浴び、体を起こすことに専念しましょう。

また、朝起きたときに日光を浴びる方法として、カーテンをうまく利用してみるのも一つの手。「カーテンを閉めずに寝れば、部屋内に日光が自然と入ってくるので朝日の光で目を覚ますことができる」と茅野先生。これなら一日中眠くてボーっとする状態から逃れられるかもしれません。

眠くなる原因②白い炭水化物によって引き起こされる「シュガークラッシュ」

精製・加工された糖質は一日中倦怠感を感じてしまう原因になります。例えば、白砂糖。体にとって必要以上の糖分が摂取されると、昼食後のようにインスルインが大量に生成され、その結果血糖値が急激に下がります。これは「シュガークラッシュ」といわれる現象で、低血糖症状態は眠気や疲労、イライラなどの原因になると考えられているのです。

お菓子やジュースなど「甘いものをよく食べる」という方は、気を付けましょう。

眠くなる原因③ずっと眠いのは疲れ目?眼精疲労?

デスクワーク中心の人がなってしまいがちな目の疲れ。これも眠気に大きく関係しています。目が疲れると、脳は目を休ませるために睡眠を指示します。そのため、一日中パソコンを眺めている人は、よく目を休ませることが大切です。

しかし、この目の疲れにも「疲れ目」と「眼精疲労」の2種類があることをご存知でしょうか? 疲れ目は一日寝れば回復しますが、眼精疲労は寝ただけでは治りません。ですので、眼精疲労になってしまうと、「何だか一日中眠い……」という状態になってしまうのです。

この眼精疲労を治すには、目を温めることが大切。最近では、目を温めるためのホットアイマスクが500円ほどで売られているので、それを使えば自分でタオルを温める必要もありません。

それに加え、眼精疲労がひどい人は“ビタミンB12”が含まれている目薬を使いましょう。

会議室でも眠い…これにも原因があった

「会議室に入ったら、急に眠くなった」みなさん、こんな経験はないでしょうか?これは会議室の七不思議ではなく、ちゃんと理由があって起こっているものだったのです

その原因となっているのは、二酸化炭素。アメリカでは「二酸化炭素の濃度が高まると人は眠くなる」という研究結果も出ているそう。

会議室内の二酸化炭素の濃度は、通常の3倍ほどと言われています。眠くなってしまうのも仕方がないことですが、会議を始める前に換気などを行えば、眠くなる可能性も低くなるでしょう。

ずっと眠い…との戦いは自分なりのやり方で

眠気の解消法は、ここまでに紹介したものだけでなく、単に呼吸を早くして交感神経を優位にするなど、様々あります。眠気を解消する上で大切なのは、自分が眠くなっている原因を突き詰め、解決方法を講じること。自分に合った解決方法とは、簡単に見つかるものではありませんので、日頃の試行錯誤が必要。

とはいえ、毎日25時に寝て、7時に起きるという生活リズムでは眠くなってしまうのも当たり前。まずは、睡眠不足に陥らないよう、毎日6時間ほどの睡眠時間が確保できる、生活習慣を作っていくことから始めていきましょう。

※この記事は2016/11/04にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています

更新日=2023年1月10日

【関連記事】
睡眠の質を上げるには? 眠りが浅い原因と質を高める7つの方法
パワーナップ(積極的仮眠)とは?昼寝の効果で仕事効率もアップさせよう
ショートスリーパーの特徴と実態。短時間睡眠体質にはなれるもの?

page top