より多くのチャンスに触れることで仕事の幅を広げられたり、友好関係を築くことで取引先とスムーズにやりとりができたり……。
ビジネスシーンにおいて重要視される人脈づくりですが、人見知りの人にとっては、それが大きな課題となって立ちはだかってしまうことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、『「人見知り」は案外うまくいく』の著者である吉岡英幸さんに、人見知りのビジネスパーソンが知っておきたい、人付き合いのコツについて伺います。
人見知りはあくまでも個性の一つ
初対面の相手とのコミュニケーションや、人付き合いを苦手とする人見知りな性格は、ビジネスパーソンにとって弱点と捉えられがち。しかし、吉岡さんは、人見知りを「個性の一つ」と表します。
「人見知りは、決して対人関係能力が劣っている状態のことではありません。相手によってすぐ打ち解けられる場合とそうでない場合が極端に違うという、対人関係面で特徴が出る個性の一つなのです。そして、そうした特性は、本来すべての人が持っているもの。『人見知りではない』という人のなかには、そうした本来の性向を抑えつけて、単純に無理をしているだけという人も少なくありません」(吉岡さん:以下同じ)
また、人見知りの良いところについては、「本来の性向を無理に抑えつけないことで、いつも裏表がない自然体でいられる点」と吉岡さん。さらに、人見知りならではの強みについて、次のように続けます。
「ビジネスにおいて本当に自分がやりたいことに向き合うというのは難しいものですが、あまり他人との関わりを気にせず自分に向き合うことができるのも人見知りの強みです。周囲との関係を気にしがちな人よりも、自分のやりたいことや求めるものが見つけやすくなります」
人見知りがうまく人付き合いをするための3つのコツ
それでは、実際に人見知りのビジネスパーソンが上手にコミュニケーションをとっていくためには、どのようなことを心がけておくとよいのでしょうか。吉岡さんは3つのポイントを挙げ、次のように語ります。
(1)自他ともに人見知りを認める
「まずは、自分が人見知りであることをカミングアウトしましょう。『自分が人見知りと認めるなんて……』と抵抗があるかも知れませんが、いったん人見知りであることをカミングアウトすると、周りの人もそれを知った上で配慮できますし、あなたが素っ気ない素振りをしたとしても、『別に自分のことを嫌っているわけではなく、単純に人見知りだからなんだ』と相手に理解してもらえますので、必要のない誤解を生みません」
確かに、人見知りであることをカミングアウトすることで、周りの人のなかには「そうか、人見知りなのか、付き合いづらいかも」と一瞬関わりにためらう人もいるかもしれません。
しかし、そんなマイナス状態から関係づくりをスタートすると、少しコミュニケーションをとっただけで「あ、けっこう打ち解けられるんだな」と、相手にとっては大きなプラスに感じられるのだそうです。
(2)「社交的な人」を無理に演じない
「とにかく無理しないことが大切です。私もかつては『人見知りを直さなきゃ』と、無理に社交的な人を演じていましたが、やはり疲れました。それに無理に社交的に振る舞っても、どこか違和感があったと思います」
また、「とても元気で社交的な人に、意外と鬱(うつ)になる人が多いのは、無理している状態が徐々に精神的なダメージを与えているからではないかと推測します」と吉岡さん。
人付き合いにおいてどこか無理をしている自分に気付いたら、まずは人見知りである自分を前向きに受け止めて、積極的に受け入れてみましょう。
(3)ヒトではなく、コトに目を向ける
「ヒトではなく、コトに目を向けましょう。実際、人見知りの特徴として、相手そのものよりも、そのヒトが持っているコトに関心が高いことが挙げられます。
例えば私のケースでは、少し苦手な人であっても、その人が共通の趣味を持っていると知るととても興味が湧いてきて、自分から相手に話しかけることも苦になりません」
ヒトではなくコトに目を向けて会話を始めることで、趣味以外の話題になったときに気まずさを感じてしまうかもしれません。しかし、コトから入って会話が盛り上がりさえすれば、そこからいろんな学びやチャンスにも巡り合うことができるのだそうです。
「人見知りの自分」ならどうするかを考える
人見知りはコミュニケーション力の欠如ではなく、あくまでも「個性の一つ」と語った吉岡さん。社交的になれないことへの引け目を感じるのではなく、まずは人見知りである自分を素直に受け入れること、そして、そんな自分ならどう人と上手に付き合っていけるかを考えることこそが、人脈づくり成功への第一歩となりそうです。
識者プロフィール
吉岡英幸(よしおか・ひでゆき) 株式会社ナレッジサイン代表取締役。ITベンダーとユーザーがホンネのディスカッションをするワークショップ型セミナーという手法を確立し、ITベンダーの営業改革を手がけるとともに、ファシリテーションを活用したさまざまな教育プログラムを開発する。自らプロのファシリテーターとして、年間100件以上の場をファシリテーションする。著書に『「人見知り」は案外うまくいく』(技術評論社)、『大喜利式発想脳トレーニング』(こう書房)、『“アタマがいい”のに結果がついてこない人の逆転仕事術』(アールズ出版)、『会議でヒーローになれる人、バカに見られる人』(技術評論社)。
【関連記事】
語彙力を鍛える6つの方法!今日からできる語彙力強化
※この記事は2016/07/05にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
あなたの本当の年収がわかる!?
わずか3分であなたの適正年収を診断します