- ネガティブってどんな感情
- ネガティブ思考は克服すべきか
- なぜネガティブ思考になる? ネガティブな人の特徴
- ネガティブ感情を和らげるためには
- ネガティブな思考が必要な理由
- ネガティブは本能的に備わっている感情
ネガティブってどんな感情
ネガティブ感情とは、不安・怒り・悲しみ・恐れ・羞恥などの、いわゆる「不快感情」を指します。希望・喜び・感謝などに代表されるポジティブ感情と逆の感情と考えると分かりやすいかもしれません。
有名な例えに、コップに入った水を見てどう感じるかというものがあります。コップに水が半分入っているのを見て「もう半分しかない」と不安や恐れを抱くのがネガティブ感情、「まだ半分もある」と喜びや感謝の念を抱くのがポジティブ感情と言われています。
ネガティブはヒトに必要な感情
「恐れ感情によって危険な場面から逃げる」「怯えや恐怖の感情から相手を攻撃する」など、ネガティブ感情は本能的に自分を守ってくれる感情でもあります。もしネガティブ感情がなかったら、目の前の敵に捕食されたり、危険を察知できずに事故にあったりと、人は生存競争に負けていたかもしれません。
ネガティブでもポジティブでもない感情とは?
感情はネガティブとポジティブの二つだけのように思われることもありますが、どちらでもないニュートラルな感情もあります。
例えば、日曜の夜に「明日から会社か、憂鬱(ゆううつ)だな」と感じるのがネガティブ感情、「来週のプレゼンが楽しみだな」と感じるのがポジティブ感情、「明日は月曜か」と特に快も不快も伴わない状態がニュートラルな感情と考えると分かりやすいでしょうか。
必ずしもポジティブがいいわけではない
一般的にポジティブ感情が良いもので、ネガティブ感情は悪いものであるといった認識がありますが、必ずしもポジティブでいることがいいわけではありません。不安を感じることによって準備を十分にすることができる、怒りを表出することで問題が解決する、恐れによって無鉄砲なことをしなくなるなど、ネガティブ感情を抱くことによるメリットもあります。
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ネガティブ思考は克服すべきか
ネガティブ思考のせいでうまくいかないように見える人は、皆さんの周りにも少なくないと思います。ネガティブ思考は克服するべきなのでしょうか。
専門家の研究によると、ネガティブな感情を何度も反すうしてしまうような状況は、心身の健康に悪影響を及ぼします。とはいえ、なんでも楽観的に考えてしまうのは無防備です。無理にポジティブ思考にしようとして疲弊してしまうリスクもあります。ネガティブな思考は「しない」と決めて無理をするより「うまく活用する」のが良いでしょう。
なぜネガティブ思考になる? ネガティブな人の特徴
週末に雨が降ったときとっさに「せっかくの週末なのに雨か、嫌だな」とネガティブに考える人もいれば、「雨なら掃除をするチャンスだな」とポジティブに考える人もいます。この違いは性格特性による影響だけでなく、さまざまな要因が影響していると考えられています。具体的に見てみましょう。
ネガティブに考えやすい性格特性である
ある学説では、神経症傾向が強い性格特性の人ほど、怒り・不安・怖いといった感情を経験しやすいという報告もあります。
良い睡眠がとれていない
睡眠の質・睡眠時間と感情についての研究によると、不安を感じる頻度の高い人ほど睡眠の質が低く、睡眠時間が短くなっています。
原因を「○○のせい」と考える傾向にある
「なぜそうなったのか」といった原因を推測するときに、他人に原因があるとだけ考えて怒りを感じる、自分がすべて悪いと考えて落ち込むなど、原因の考え方が偏りがちです。
視野が狭くなっている
もともと固定概念が強かったり、普段は柔軟な考えの人でも、心身のダメージを受けているときなどに、一時的に視野が狭くなってしまうことがあります。このような状況ではネガティブ思考になりがちです。
自分の考えに固執してしまう
一度ネガティブに考えてしまうと、その考えから離れられなくなり、起きたことの持つ良い側面や将来プラスになる部分などにも目を向けることが困難になります。
ネガティブ感情を和らげるためには
ネガティブ感情を何度も繰り返してしまうと、心身に悪影響を及ぼすリスクがありますが、上手に付き合うことができれば恐れるほどのものではありません。ネガティブ感情を和らげるTIPSを確認していきましょう。
神経質な人は楽しいことにフォーカスしてみる
そういう性格だから、ネガティブに考えてしまうのは仕方がない。そう諦めている人は、ぜひ楽しいことを思い浮かべることを意識してみてください。
研究者の調査によると、神経症傾向の人ほど、不安や怒り感情を経験する頻度は高くなっていますが、驚くことに楽しい感情も多く経験することが報告されています。反射的に感じてしまうことは選べないかもしれません。しかし、不安と楽しさ、そのどちらの感情をかみ締めるかは自分で選べます。楽しいことをかみ締めましょう。
良質な睡眠がとれるよう工夫する
睡眠はネガティブ思考と相関があります。普段は忙しくて難しいという人も、精神的につらくなりそうなときは、思い切って睡眠時間を確保しましょう。
照明や寝具、BGMや香りなど、自分に合った睡眠環境の整備もおすすめです。睡眠の質を上げることはネガティブ思考の改善以外にもさまざまな良い影響を与えるので、多少面倒でも取り組む価値はあるといえます。
「違う原因があるとすれば」と考えてみる
起きてしまったことを他人のせいにしたり、環境のせいにしたりすることは、自分を守るという観点からすると意味のあることです。他責傾向が強すぎてネガティブ思考につながりがちな人は「自分」の、自分を責めすぎる人はあえて「自分以外」にある原因を考えてみるのもよいでしょう。
一時的に周りが見えなくなったときは
精神的につらくなってしまうと、悪い方にしか考えられず、他の解決策を見つけることが難しくなることがあります。この状態で無理にネガティブ思考をやめようと頑張るよりも、まずは身体を休めることが大切です。気持ちを切り替える努力は、栄養と睡眠をとってある程度体力が回復してから。遠回りのようですが、急がば回れと覚えておきましょう。
今この瞬間に意識を集中する
尊敬する教授に「イントロが流れても最後まで踊り続ける必要はない」と教えてもらったことがあります。ネガティブ感情にさいなまれても、いつまでもその感情を味わい続ける必要はないという比喩です。椅子に座り、足を床につけ、足裏の感覚を意識してみてください。今、この瞬間の感覚を意識することはネガティブなループを断ち切る助けになります。
ネガティブな思考が必要な理由
ネガティブ思考を和らげる具体的な方法をみても、まだ思考を変えられない。そんな人も安心してください。ネガティブ思考は私たちにとって危険を回避させる大事なアラートです。不安や恐れといったアラートを完全になくしてしまうのは、逆に私たちの生活におけるリスクを上げてしまうことでもあります。
ネガティブは問題点をみることのできる思考力
ポジティブ思考は素晴らしいものですが、あまりにも楽観的な思考は、ともすると問題点を見逃してしまうことにもつながります。「このままだと失敗するのではないか」「もし××になってしまったら」といったネガティブ思考は、問題点を見つけるための強い味方。
直感的な感情が教えてくれるサインには意味があります。無理にポジティブ思考に変換しようとして疲弊するよりは、問題点を見つけるツールとして活用していきましょう。
ネガティブは未来の失敗への解決力
悪い事態をイメージすることによって「失敗しないよう丁寧に準備をしよう」「××にならないよう気をつけよう」といった対策をした経験が皆さんにもあるのではないでしょうか。
ネガティブ思考が悪い影響を与えるのは、何度も同じ思考を反すうしてしまうからです。直感的に抱いた感情に気づいたら、具体的な対策を考えるようにする。そうすることでネガティブ思考は未来の失敗を防ぐための強い味方になります。
ネガティブは本能的に備わっている感情
ネガティブ思考が止まらないと心配になっている人も、過度に心配することはありません。悪いことを考える人に対して「キレイな景色が目の前にあるのに、道端の犬のフンばかり見ている」とからかう人もいますが、道端にも目をやるからこそ踏みつけずに歩けるということも忘れてはいけません。
もちろん下ばかり見続けるのはよくありませんが、いろんな方位に視線を向けるのは私たちにとって必要なことです。本能的に備わっている感情には役割があります。自信をもってネガティブ感情と付き合っていきましょう。
【プロフィール】
藤田尚弓(ふじた なおみ)
株式会社アップウェブ代表取締役、コミュニケーション研究家、コラムニスト。さまざまな領域に散見するコミュニケーション研究の調査整理、アウトリーチ活動を行う。また、テレビ出演・監修、雑誌などへのコンテンツ提供も多数。著書に『銀座で学んだ稼ぐ人のシンプルな習慣(総合法令出版)』『NOと言えないあなたの気くばり交渉術(ダイヤモンド社)』。近著に『いい人間関係は「敬語のくずし方」で決まる(青春出版社)』。
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