「どうして私だけ…」そんなモヤりに終止符。毎日が過ごしやすくなる、「マインド・リセット」思考法

想定外のハプニングにイライラ、モヤモヤしたり、評価や報酬に納得がいかず不満を募らせたり…。仕事中に湧いてくる感情に、日々振り回されていませんか?できることなら、いつもご機嫌な自分でいたい!『マインド・リセット 不安・不満・不可能をプラスに変える思考習慣』(三笠書房)の著者である上阪徹さんに、物事を前向きに捉えるための、思考のコツを伺いました。

「どうして私だけ…」そんなモヤりに終止符。毎日が過ごしやすくなる、「マインド・リセット」思考法

イライラの原因は、現実とのギャップ? 不条理な世の中を受け止めよう

イライラの原因は、現実とのギャップ? 不条理な世の中を受け止めよう

今まで3,000人以上の著名人や、経営者に取材をしてきたインタビュアー/ライターの上阪さん。さらに、20~30代の若手社員への取材をする機会も豊富なのだそうです。彼らの抱える不平不満をどのように見ているのか、聞いてみました。

「給料、人事評価基準、急な配置転換など、会社の制度に対して、複雑な感情を抱いている人は少なくないかもしれません。かつての私自身もそうでした。社会人として自分の立ち位置がつかみ切れていなくて、やりたいことが見つからない、将来が見えない…といった先々の不安を抱くのも、若手社員の特徴だと思います」(上阪さん・以下同)

「簡単にはうまくいかない」が前提なら、失敗にもめげない

イライラ・モヤモヤを抱きがちな人に、共通している点は何なのでしょうか。

「持っている期待が大き過ぎるケースが少なくないかもしれません。こんなはずじゃなかったと、理想と現実のギャップが生まれてしまう。自分のことがまだよく見えていなくて、隣の芝が青く見えるようなことが、20~30代は特に多いかもしれませんね。

私が多くの方々にインタビューをして実感しているのは、成功している人ほど、周囲に対する期待が大きくない、ということです。過度に期待しない。不平不満があってもそれをしっかり受け止める。

そもそも、世の中は不条理で、不平等で、不合理なもの。そういった、ある種の達観したマインドを持っている印象があります。そもそも生きていくのは、大変なこと。新しい事業を起こしたり、会社を成長させたりするのは、簡単なことではありません。こうしたマインドでいなければ、すぐにあきらめてしまうでしょう」

変えられるのは自分だけ。そう思えば楽になる

視点を変えて、「いい意味で」割り切った考え方をすると、日々のイライラ・モヤモヤを抱きにくくなる。マインドの転換ですね。

「世界はバラ色だと思って生きるのと、もともと世界は簡単に生きられるものではないと思って生きるのでは、物事の捉え方が全く変わります。考え方の前提を変えるだけで、世の中が変わって見えるのです。後者の考え方なら、休日においしいご飯を食べるだけでも幸せを感じられる。

マインドを変えたり、行動を変えたり、努力を変えたり…。私自身、どん底だった時期に、周囲のせいにしてもしょうがない、全部自分次第だと考えるようになったら、とても楽になりました」

自分を見つめ直すことから始まる、「マインド・リセット」

自分を見つめ直すことから始まる、「マインド・リセット」

思考を転換して、不平不満をプラスに変える。そのために上阪さんが提唱している「マインド・リセット」とは、ひと言で言うとどんな概念なのか、伺いました。

「『心穏やかに、幸せな人生が送れるようになる方法』です。不条理や不合理を受け止めることができたら、何が起きてもイライラしたり、モヤモヤしたりもしないでしょう。

もちろん、正しくないものに対しては戦うべきだと思いますが、1人で不平不満を抱えてもがいても、前には進めません。簡単にはいかない世の中で、自分をどう整えていくかが大切です。そうしないと潰れてしまいかねませんから」

目的を「自分」から「他者」に変えたら、人生が上向いた

上阪さん自身も、マインド・リセットをしたことで人生が一変した1人。マインド・リセットに取り組み始めた経緯について、語っていただきました。

「20代後半、当時勤めていた会社が倒産して、何もかも失いました。誰ともつながりがなくなって、街を歩いていても、後ろ指を指されているような気さえしたんです。誰にも必要とされていないのではないか、という恐怖を感じました。

けれど、たまたま前職でお世話になった人に声をかけていただき、フリーランスで仕事をする機会を得ました。その時に決めたのは、『自分のためではなく、誰かのために仕事をしよう』ということでした。必要とされることがうれしかったので、とにかくそれを大事にしようと思ったんです。

このマインド・リセットをした瞬間から、人生が一変していったんです。『自分のために』働いている人と、『誰かのために』働こうとしている人と、果たして人はどっちを応援したいか、ということじゃないかと思います。あとは、いただいた仕事をひたすら一生懸命にやっていたら、「これもできるんじゃない?」と、いろいろなチャンスをもらえるようになり、広告の仕事から、インタビューの仕事、書籍を書く仕事…と広がって今があります」

自分の内側にあるモヤモヤと向き合う

上手にマインド・リセットをして前向きになるには、具体的にどのようなことをすればいいでしょうか。

「まずは、自分の当たり前を疑ってみることです。他人は変えられないんです。変えられるのは、自分だけ。では、何を変えるべきなのか、自分自身を見つめて考える。それが最大かつ唯一の方法だと思います。最近は仕事に忙殺され、自分と向き合う時間を取れない人が多い。例えば、まずはスマホを見るのをやめて脳を休ませれば、自分のことを考える余裕が生まれます。

具体性を持たない、イライラやモヤモヤといった感情を、見える化するのもおすすめです。紙に書いてもいいし、自分にメールを送ってもいい。見える化すると課題がわかり、解決策を探ることができます」

視座が高い人に学び、仕事の意義を定義する

「幅広い視野を持ち、心に余裕のある人と交流を深めてみるのもオススメ。そういう人たちのマインドを観察し、自分に取り入れてみましょう。

また、何のために自分はこの仕事をしているのか、自分なりの目的意識やビジョンを考えてみるのもいいと思います。世の中の役に立つこと=価値で、それが評価や報酬につながるのです。

なぜこの仕事に取り組む必要があるのか。仕事の背景には何があるのか。それを理解し、納得してやらなければ、成果は出ないし、続かないですよね」

未来でも過去でもなく「今」に全力投球すれば、道は開ける

未来でも過去でもなく「今」に全力投球すれば、道は開ける

マインド・リセットをすると、自然と自分自身や目の前のことに視点が向き、1つひとつの仕事と真摯に向き合う姿勢が身についていく。思考を転換させるメリットについて、さらに詳しくお話を聞いてみました。

「結局、仕事やキャリア形成の過程においては、目の前のことに一生懸命取り組む以外で、誰かの役に立つことは難しいですし、結果の出しようもないんです。どうなるかわからない10年後のことを考えたり、変えられない過去のことにとらわれたりする必要はありません。

とある上場企業の社長に『どうやったらこんな大きな会社の社長になれますか』と尋ねたら、『社長になりたいと思わないこと』との答えが返ってきました。目の前のことを必死にやり続けていたら、次のステップが見えてくる。それが最終的に社長という立場だっただけ、というわけです。そもそも社長になるのはゴールではなく、社長になって何をするかが大切。そういうことがわかっている人が、結果を出していくのだと思います」

誰の役に立っているか? 誰に感謝されるか?

目の前にある仕事に、しっかりと価値を見出すことがポイントなのですね。

「どんな仕事も絶対に誰かの役に立っている、それを意識してほしいですね。例えば営業職なら、自分の営業成績を上げるために売っているのではなく、お客様の役に立つものを売っているんだと考える。どうすれば役に立てるかを考えて提案すれば、ちゃんと売れるし、お客様の満足度も高まるはずです。

経理や総務などの仕事も、社員が自分でやらない作業を代わりにしているのですから、感謝されているでしょう。この仕事で、誰が得をしているか、誰の役に立っているのかを考えられれば、仕事に対し、前向きになれるはずです」

考え方次第で、仕事に「やりがい」が生まれる

自分の仕事に意義を見出すのは、自分自身だということですね。

「そうです。聞いたことがあるかもしれませんが、有名な逸話があります。3人の職人レンガを積んでいて、それぞれに何をしているのか尋ねると、1人は『レンガを積んでいる』、もう1人は『建物を作っている』、もう1人は『歴史に残るような大聖堂を建てている』と答えたと。

同じことをやっていても、どう捉えるかでやりがいが全く違うということです。これはまさに、マインド・リセットの大切さを表した話だと思います」

前向きに生きられる、暮らしの中の思考リセット術5選

前向きに生きられる、暮らしの中の思考リセット術5選

上阪さんは、著書の中でさまざまな「リセット」を提案していらっしゃいます。読者である20~30代のビジネスパーソンに、オススメしたいトピックをご紹介いただきました。

汚い言葉は、マイナスばかりを引き寄せる

「1つ目は、使う言葉のリセットです。『言葉は現実化する』と覚えてほしいですね。SNSなど自分の言葉を表に出す機会が増えていますが、汚い言葉を使うと、自然と言葉に引っ張られ、そういう人になってしまいかねない。普段発する言葉も含めて、気を付けてくださいね」

本当に忙しいのか? 見える化で内省する

「2つ目は、時間のリセット。人生は時間の積み重ねですから、いかに時間を使うかが重要です。忙しいのは自分のせいだと自覚して、何が忙しいのかを見える化しましょう。一度、どのように時間を使っていたのか、1週間を振り返ってみるといいでしょう。

忙しいと思っていたけれど、スマホをダラダラと見ている時間が多かったなど、無駄な過ごし方をしていることがわかるものです」

上向いている時こそ、気を引き締めて

「3つ目は、『人生は試され続けている』と心に留めておくこと。一度うまくいくと、どうしても調子に乗ってしまうのが、人です。やがては不祥事を起こすなど、悪い方に転落していきかねない。

うまくいって地位や権力が手に入ると、いろいろな誘惑が手招きします。偉そうに振る舞いたくもなる人もいる。常に試され続けるんです。立派な人ほど謙虚だし、サービス精神が旺盛なものですよ」

自分の強みは、他者の方が知っている

「4つ目は、目標を明確にしすぎないこと。こんなふうになりたい! と目標を掲げるのは良いことなのですが、自分の強みは自分では必ずしもわからないものです。

私自身、まわりの人が『これやってみたら?』『これが上手だよね』と引き合わせてくれた仕事を続けてきて、今があります。学生時代、作文を書くことが嫌いだった自分が、文章を書く仕事をして、本を書いたりしている。得意をまわりに見つけてもらえたんです。自分では目標を明確には持たず、他者が評価してくれる自分の強みに乗っかって、マーケットに身を投げ出してみるのも1つの方法です」

厳しさの裏にある優しさを汲んで

「5つ目は、厳しさは優しさだと理解すること。会社には、優しい先輩と厳しい先輩がいるでしょう。優しい先輩は一見、とても心地がいいですが、成長の機会は、厳しく指導してくれる人からも得られるもの。腹が立つこともあるかもしれませんが、その厳しさは優しさなのだと頭に入れて、まずは素直に受け入れてみてください」

まとめ

マインド・リセットとは、現状を憂う思いを断ち切り、どう人生を生きていくか、前向きに捉え直すこと。いつも不平、不満を漏らしている人は応援されにくいですし、そこに良い転機はやってきません。視野を広くして、誰かの役に立つために取り組んでいけば、きっと人生は上向いてくるはずです。

話を聞いた人:上阪徹さん

フリーランスライター。1966年、兵庫県生まれ。アパレルメーカー、リクルート・グループなどを経て、1994年よりフリーランスに。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビューを手がける。近年は、講演活動の他、「上阪徹のブックライター塾」を開講中。

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