完璧主義とは? その特徴は? やめたい場合の直し方も解説

仕事をする上で完璧主義であることは、自分や周囲にどのような影響を及ぼしていくのでしょうか? 完璧主義の特性、その特性とほどよく付き合っていくコツについて、メンタルケア・コンサルタントの大美賀直子さんが解説します。

完璧主義とは?

パーフェクトな状態を目指して、妥協を許さずにとことん努力するのが、完璧主義の人です。完璧主義には、メリットとなる面もあればデメリットとなる面もあり、仕事においては、メリットとデメリットが表裏一体となって表出します。

したがって、完璧主義の人は仕事に大きなやりがいを感じやすく、周囲にもその仕事ぶりをプラスに評価される一方で、完璧主義であるがゆえに自分自身が苦しみ、周囲の人に迷惑をかけてしまうこともあるのです。

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完璧主義の人の特徴

完璧を目指して精一杯頑張ろうとする姿勢は、自分自身を成長させ、周囲にも良い影響を与えることのできる優れた特徴だと言えます。ただし、同時にその優れた特徴が自分や周囲の人にストレスを与える要因にもなってしまうことがあります。まずは、完璧主義の人の3つの特徴を理解しておきましょう。

①理想が高く、妥協を許さない

「こうありたい」という理想を強く思い描き、理想に近い成果を得られないと満足できないのが完璧主義の人の特徴です。

理想に向かって人一倍の努力をするため、周囲から賞賛されるほどの高い成果を残すことも可能ですが、その反面、成果の出ない局面に直面すると強く悲観し、自分やメンバーが努力不足であると過剰に責めてしまうことがあります。

②厳しい指針、極端な理念にこだわる

完璧主義の人は「○○すべきである」という厳しい指針を持ち、「○○ができなければ、価値がない」というようにオール・オア・ナッシングの極端な理念をもとにして物事を捉えがちです。

こうした考え方によって自己を律して行動するように努めていますが、その反面、厳しい指針、極端な理念にこだわりすぎてしまい、物事を柔軟に考えられなくなる傾向も見られます。

③とても几帳面で細部まで注意を払う

とても几帳面であるため、きちんとした手順を踏まずに適当に物事を処理することを許さないのも、完璧主義の人の特徴の一つです。

細かい部分まで神経を行き届かせながら、注意を払って仕事を遂行するため、完成度の高い業務を遂行することができますが、そのために心身のエネルギーを過剰に消耗し、疲弊しやすくなる面もあります。

完璧主義には良い面も悪い面もある

仕事において完璧を目指して頑張ることは、本来はとても素晴らしい姿勢です。その姿勢をプラスに活かしていくためにも、仕事の進め方が極端になりすぎていないかを常に点検し、完璧主義のデメリットが出過ぎないように、思考と行動を上手にコントロールしていくようにしましょう。

そうすることで、完璧主義のメリットを活かしながら仕事を進めることができます。次の章以降で完璧主義のメリットとデメリットを解説していきます。

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完璧主義は仕事に活きる? メリットを解説

完璧主義の特性をポジティブに仕事に活かせている人は、以下の3つの点において、そのメリットを享受しています。これら3つの点を実感することによって、仕事へのやりがいが強くなり、周囲からも高い評価を得ることができます。

①クオリティの高い成果を残すことができる

理想に近づくまで努力を惜しまずに邁進するため、クオリティの高い成果を残すことができるのが完璧主義の人の優れた特性です。試行錯誤を重ねながら妥協せずに仕事に取り組む姿勢は、周囲への素晴らしい手本になります。完璧主義の人が努力するプロセスはとても苦しいものですが、納得した成果を得られたときの喜びはひとしおであり、大きな達成感を味わうことができます。

②ミスしやすいポイントに気づき、先回りして行動できる

完璧主義の人は決められた手順をきちんと踏み、几帳面に業務を遂行していくため、ミスが起こりやすいポイントに早めに気づくことができます。ミスの発生を回避するために細かく確認作業を行っていくため、アクシデントに直面するリスクを減らし、安全かつスムーズに業務を進めることができます。

③上司や同僚から仕事を安心して任されやすい

上記①と②でお伝えしたように、完璧主義の人はクオリティの高い仕事の成果を残し、ミスを回避して行動できるため、上司や同僚からの信頼が厚くなり、安心して仕事を任せてもらえるようになります。

この周囲からの信頼が本人の自信につながり、仕事に大きなやりがいを感じることができます。専門性の高い業務ではその分野で頭角を現し、押しも押されもせぬ実力を伸ばすことができる資質も持っています。

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完璧主義で困ること。デメリットを解説

完璧主義という特性は、仕事に活かせる多くのメリットがある反面、その特性によって多くのデメリットも生み出してしまうというパラドックスを抱えています。特に次の3つは、完璧主義の人が仕事を進める上でぜひ気をつけていきたいポイントです。

①満足感を得にくく、ストレスを感じやすい

完璧主義の人は、自分の能力が向上するとともに、思い描く理想像や目標もどんどん高くなっていきます。そのため、人一倍の努力を重ねても、いつまでも心から満足できる境地に達することができないことに苦しんでしまうものです。また、理想を追求しすぎるあまり、いつも心にはストレスが重くのしかかり、疲弊しやすくなってしまいます。

②他人にも完璧を求め、チームメンバーも疲弊してしまいやすい

「完璧を目指して全力で頑張る」という姿勢を他人にも求めてしまうことで、チームメンバーの仕事ぶりに対して批判的になりやすい面が、完璧主義の人にはしばしばあります。したがって、完璧主義の人がリーダーになると、仕事に対する厳しい姿勢を部下に求めすぎてしまうことがあり、ともするとパワーハラスメントの行為者になってしまうことがあります。

③業務の細部まで気にかけ、作業に時間がかかりすぎる

細部まで丁寧に作業していこうとするのが完璧主義の人の特徴ですが、そのために作業に時間がかかりすぎてしまい、残業が増えてしまう傾向があります。また、ほどよく手を抜きながら作業をしていくことを良しとしないため、複数の仕事を同時進行しているうちに、納期に間に合わなくなることがあります。

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完璧主義をやめたい...上手なコントロール方法は?

完璧主義にはメリットもたくさんありますが、しばしばデメリットの方が強く出過ぎてしまい、その結果、自分の立場を悪くしてしまうことがあります。そのため、完璧主義の傾向に気付いたときには、自分と周囲の人が困らないためにも、以下の3つのポイントを頭に入れて行動することをお勧めします。

①優先順位と重要度を最初に決める

業務に着手する前に、タスクの優先順位と重要度を見極めるようにしましょう。納期が迫っていて優先的に取り組むべき仕事、十分に時間をかけて取り組むべき重要な仕事を把握し、計画的に業務を遂行することが大切です。

優先順位が高いものはスピードを重視し、重要度が高いものは質を高める、というようにメリハリのある仕事の進め方をしていくようにしましょう。また、新しい仕事が舞い込むたびに、業務の優先順位と重要度は変化します。仕事を進めながらも随時、自分が抱えている業務を俯瞰し、優先順位と重要度を検討し直していくようにしましょう。

②合格の基準を決め、2ステップで精度を上げる

すべての仕事を理想どおりに仕上げるのは不可能です。理想像は最終的なゴールと考え、まずは自分なりに決めた「合格」の基準に達すれば良し、と考えるようにしましょう。

納期に余裕があれば、合格レベルまでに達した業務にさらに手を入れ、パーフェクトに近づけることもできます。最初は合格レベルを目指し、可能であれば完璧レベルを目指す、というように2ステップで取り組み、精度を上げていきましょう。

③プロジェクトに参加していない上司や同僚からのアドバイスを受ける

自分の価値観だけを頼りに仕事をしていると、完璧主義の思考から抜け出せずに柔軟性を失ってしまいます。特に一人きりで仕事をしていると、その傾向は強くなってしまうものです。そのため、時々プロジェクトに参加していない上司や同僚に相談し、どこまでこだわるべきか、どの程度で見切りをつけるとよいか、客観的な立場から意見を聞かせてもらうとよいでしょう。

すると、時間やエネルギーの無駄遣いに気づくことができ、合理的な業務の進め方を検討することができます。

まとめ

完璧主義の人は、仕事に対する厳しい姿勢から完成度の高い仕事の成果を残すことができる一方で、限界を超えてまで頑張りすぎてしまうところがあります。そのため、ストレスが過剰になりすぎて疲弊しやすく、自分のこだわりを周囲に押しつけて、周りの人々も疲弊させやすい面があります。

自分の信念だけを頼りにして仕事を進めていると、しばしば完璧主義のデメリットの方が強く出過ぎてしまいます。そのため、自分の信念が自他を追い込みすぎる原因になっていないかどうか、時折自分の働き方を振り返っていきましょう。また、周囲の人たちによく相談をすることで、客観的な視点を取り入れていくことも非常に大切です。

【プロフィール】
大美賀 直子(おおみか なおこ)
メンタルケア・コンサルタント。公認心理師、精神保健福祉士(以上、国家資格)、産業カウンセラーの資格を持つ。「こころと人生と人間関係のベストバランス」をテーマに、カウンセリング、講演、執筆活動を行う。働く人のメンタルケアに関する造詣も深く、テレビ、新聞、雑誌、インターネットを中心に情報を発信。企業研修でも好評を得ている。『なぜあの人の働き方は「強くて美しい」のか?』『サイボーグを目指さないことにした働く私の「自分時間」』(アスカビジネス)、『どうして会社に行くのが嫌なのか?』(アスキー新書)などの仕事に関する著書も出版。
大美賀直子|メンタルケア・コンサルタントーこころと人生と人間関係のベストバランスを提案 - 大美賀直子(メンタルケア・コンサルタント)の公式HP (mentalcare555.com)

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