その睡眠がビジネスの成果を左右する! 夏こそ実践、快眠メソッド

湿気と暑さでなかなか寝つけない夏の夜。近年では8月をピークに、夕方から翌朝まで最低気温が摂氏25度を超える熱帯夜になる日も多く、寝苦しさを訴える人も増えています。

その睡眠がビジネスの成果を左右する! 夏こそ実践、快眠メソッド

湿気と暑さでなかなか寝つけない夏の夜。近年では8月をピークに、夕方から翌朝まで最低気温が摂氏25度を超える熱帯夜になる日も多く、寝苦しさを訴える人も増えています。

睡眠不足が続けば判断力や思考が鈍り、仕事のパフォーマンスは必然的に落ちてしまいます。本格的な熱帯夜がやってくる前に、なんとか対策をしておかなくては……!

そこで今回は数々のメディアや講演で快適な睡眠方法を伝授している、快眠セラピストの三橋美穂さんに、夏の夜に役立つ快眠メソッドを伺いました。快眠を征するものはビジネスを制する、はず!

短時間睡眠で高パフォーマンスは「無理」ってホント?


「人は日中活動している状態と比べ、熟睡しているときは体温が1度ほど低下します。しかし夏は湿気と暑さにより体温が下がりにくくなるため、快眠が得づらくなるのです」

開口一番、夏になかなか寝つけない理由を教えてくれたのは快眠セラピストの三橋美穂さん。快眠ができていないとそれに比例して仕事のパフォーマンスは落ちてしまうそうです。

「短時間睡眠で高パフォーマンスを発揮しようというのは難しい話です。睡眠不足が続くと睡眠の負債がたまり、体は毎日疲れたままで思考力も鈍化し、肉体的にも精神的にも悪影響を及ぼします。一方で毎日の生活リズムを見直し、少しずつ快眠法を実践することで、『集中力が高くなる』『判断力がつく』『仕事の生産性が上がる』、さらには『新陳代謝がよくなり肌艶がよくなる』と、たくさんのメリットが得られるのです。

また、体が快適な状態になるために思考も前向きになり、精神的に健やかな状態になりますよ」

快眠を極めることは、優れたビジネスパーソンになるための第一歩だといえそうですね。

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夏の快眠につながる環境整備はコレだ!


とはいえ、茹だるような夏の暑さは避けられないもの。では、夏に快眠を得るにはいったいどのような対策を行えばいいのでしょうか?

寝具の選び方から部屋の環境の整え方まで、三橋さんに伝授していただきました。

ポイント(1):寝具の選び方


→高通気敷パッドを敷き、体にはガーゼケットをかけるのがオススメ。

通気性のよい敷パッド(左)を敷き、ガーゼケット(右)を体にかけるのがベスト



「夏の快眠を極めるうえで重要となる寝具は敷パッド。日本の夏は高温多湿ですので睡眠中も暑さや湿気により背中がむれてしまうため、体温が下がりにくくなります。しかし、寝具に肌が密着しないような通気性のいい敷パッドを利用することで、背中のむれが軽減されるのです。そのため、立体構造で熱や湿気が逃げるものを選びましょう。

逆におすすめしないのは、中にポリエステル綿(わた)が詰まったもの。熱がこもってしまい、背中がむれてしまいます。また体の上にかける寝具は、タオルケットに比べて軽く、熱や湿気がこもりにくいガーゼケットがいいですよ」

ポイント(2):着衣の選び方


→凹凸のある綿生地を使ったパジャマがおすすめ。暑くてもショートパンツは避けよう。

「夏は汗をかくので、肌に生地がはりつかない、吸湿性が高い素材のパジャマを選んでください。凹凸のある綿や麻を使った着衣は通気性・吸湿性ともに優れているので特にオススメ。夏になるとショートパンツで眠る方も多いのですが、足、特にふくらはぎを冷やしてしまい、足がつる原因にもなるので避ける方がいいでしょう。特に冷え性の女性は、夏でも長ズボンを着用するのがいいですよ」

ポイント(3):部屋の明かり


→21時以降は暖色系の明かりは〇、蛍光灯は×。就寝時は真っ暗にして豆電球の使用は避ける。

21時以降は暖色系の明かりの下で過ごしたい



「まず前提として21時以降は蛍光灯などの明るい光を直接浴びないようにし、なるべく暖色系の明かりの下で過ごしましょう。睡眠中は真っ暗にするのがベストですが、どうしても明かりが欲しいという人はフットライトなどを利用して、直接、体に光をあてないようにしてください。

豆電球をつけたまま寝る方もいますが、これは快眠には向いていません。豆電球の明るさは、眠りを誘うホルモン“メラトニン”の分泌に悪影響を与えるため就寝時はつけないように心がけてみてください」

ポイント(4):エアコン・扇風機の使い方


→エアコンは就寝時の1時間前に25~26度、就寝直前に28度前後に設定。扇風機は微風で首を回し、そよ風を作り出すことがポイント。

「体質や部屋の環境にもよりますが、寝る1時間ほど前にエアコンの温度設定を25~26度にして部屋全体を涼しくしておくといいですよ。そして寝る直前に温度設定を28度前後に変えましょう。そうすることで深い眠りについて体温が下がったころには、室温が上がっているため、冷えすぎる心配がありません。体に負担を与えることなく眠りにつくことができます。

中にはエアコンではなく扇風機を使う方もいますよね。扇風機を使用する場合、涼しいからといって体に直接風をあてるとかえって体に負担を与えてしまうためNGです。微風設定で扇風機の首を回し、部屋の空気をゆっくりかきまぜてください。扇風機の風がそよ風のようになり、心地よくスヤスヤと眠りにつくことができますよ」

20代は最低でも6時間の睡眠が必須!


就寝前だと分かっていながらも、ついついドカッとご飯を食べてしまう、お酒を飲んでしまう、スマートフォンを触ってしまう……。あなたにも、思い当たる節はありませんか?

しかし、そのような行為は快眠にはつながらないと三橋さんは断言します。

「スマートフォンやパソコンから発するブルーライトは快眠の妨げになります。また食事、お酒、カフェイン飲料の摂取、タバコもおすすめしません」

上記のNG行為ですが、以下の時間を参考に!

・パソコンやスマートフォン:就寝の1時間前まで

・食事とお酒:就寝の3時間前まで

・カフェイン飲料の摂取:就寝の4~6時間前まで

・タバコ:就寝の1~2時間前まで

でも残業で帰宅時間が遅くなり、おなかすいて眠れない……。そんな悩みを抱えるビジネスパーソンはどうすればいいのでしょうか?

「帰宅時間が遅くなった場合、食事の量をいつもより半分ほどに減らしてください。または消化の良いそうめんやうどんなどを選んで食べるようにしましょう。残業のある日は、夕方におにぎりやバナナなどを軽く食べておくといいですよ。間食をすることで夜の過度な飲食を防ぐことができます」

20代の最適な睡眠時間は7~8時間、最低でも6時間。そして24時までには就寝してほしいと三橋さんは続けます。

「午前2時ごろは、睡眠を促すホルモン“メラトニン”の分泌がピークになるんです。午前2時までに深い睡眠へ入るためには、24時ごろには布団に入って休める状態が理想。

また高パフォーマンスを発揮したいビジネスパーソンは、正午から午後3時までに15~20分ほどの昼寝をおすすめします。6時間では睡眠時間が足りない人がほとんどなので、軽く昼寝をすることで不足分を補い、午後のパフォーマンス低下を防ぐことができます。職場で寝ることが難しい……という方は椅子に座って目を閉じて休んでください。目から入る情報を遮断し、脳を休ませるだけでも効果はありますよ。また、昼寝する前にコーヒーを飲んでおくと、目覚めたころにちょうどカフェインの効果が現れるため、スッキリ起きられます」

スケジュール管理で睡眠時間を確保せよ!


最後に、三橋さんは快眠を極めることは優れたビジネスパーソンになるために大切なことだと語っていました。

「忙しくて睡眠時間がなかなか確保できないと嘆く方もいますが、最低限必要な6時間の睡眠時間すら確保できないというのは、逆を言えばスケジュール管理に無理があるということでもあります。時間がないと言いながら、寝る直前までスマートフォンを触ってダラダラと過ごしていることはありませんか? いま一度、自分の一日のスケジュール管理や生活習慣を見直してみてくださいね」

睡眠の管理は自己管理でもあり、デキるビジネスパーソンの必須スキルだといえるかもしれません。今までの生活習慣を見直しながら、夏でも快適な睡眠を得て、心身ともに健康を維持してくださいね。


(取材・文:野田)

識者プロフィール


三橋美穂(みはし・みほ)/快眠セラピスト
寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。分かりやすく実践的なメソッドが、テレビや雑誌等で支持を集め、睡眠のスペシャリストとして多方面で活躍。全国での講演活動や執筆、取材などを通して、眠りの大切さや快眠の工夫、寝具の選び方などを提案している。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』(かんき出版)、『脳が若返る快眠の技術』(KADOKAWA)など。

※この記事は2017/07/13にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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