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“経験貯金”が40代で武器になる! 次長課長・河本準一がもしも20代だったらはじめること
人付き合いにマニュアルはない。先輩一人に一冊ずつの本を持つ
――今回、河本さんには先輩・後輩の関係性について話を伺えればと考えています。最近の若い世代を中心に、縦社会的な関係を嫌う人が増えているように感じます。そういった価値観の変化についてどう思いますか?
河本:難しい問題ですよね、僕らは縦社会が当たり前の世代でしたから。でも、昔のように怒鳴ったり、上から押し付けるようなやり方はもう絶対にダメじゃないですか。それでは今の若者はついてこないですよね。
だから、吉本に在籍している40代、50代の社員が、めちゃくちゃ気を遣いながら若手の社員とコミュニケーションを取っている姿を目にすることがあります。今、世代間のコミュニケーションで困っているのはむしろの上の世代の方だと思います。
――河本さんも後輩とのコミュニケーションで悩むことはありますか?
河本:僕はいじられる先輩でいたいと常々思っているので、そこまで悩むことはなくて。友達感覚で接してくれる後輩が多いかもしれません。
――そうすると、後輩から相談を受けることも多いのでは?
河本:それこそ「河本さんみたいに、あの先輩と仲良くなる方法を教えてください!」と後輩芸人に相談されることもあるのですが、そのときはいつも「自分の“らしさ”を出せ!」と伝えるようにしています。
その後輩が僕と同じようにやってもうまくはいかない、後輩とその先輩の2人の関係性を築かないと意味がないと言うようにしています。付き合い方って人それぞれに違うので、方法だけマネしても絶対にうまくいかないんですよ。
一番やってはいけないのはマニュアルを一つ作って、画一的にコミュニケーションを取ろうとすること。そうではなく、Aさん、Bさん、Cさんと一人ひとりの接し方に合わせて関係性を構築していく方が絶対にいいと思います。
――接する人の数だけマニュアルを持つということでしょうか。
河本:そうですね。人付き合いのマニュアルを作らず、自分は白紙の状態で一人ひとりとの付き合い方を積み重ねていく感じですね。その本を先輩一人に一冊ずつ持っているというイメージです。
番組収録で爪痕を残そうと、初対面のグラビアアイドルが僕を罵倒したり、いじったりしてくることがたまにあるんですけど、十数年の付き合いがある知り合いの芸人とでは関係値がどうしても違うので、ただの悪口になってしまうんですよ。
――いかに一人ひとりと深い付き合いをしていくかという話でもあるなと感じました。
河本:深い絆で結ばれた関係はなかなかすぐには切れませんからね。ただ、今の若い子たちは、良くも悪くも“広く浅く”が基本になっている気がします。深い関係になることを避けるというか。
例えば、昔だったら一度就職した会社を辞めるのなんてけっこうハードルが高かったと思うんです。でも、今は全然そんなことないし、転職を繰り返してステップアップしていく人も多いじゃないですか。そういう時代なんだなと感じます。
名MCたちの処世術と人が生きる場所と死ぬ場所
――今活躍されている芸人の方でコミュニケーション上手な方はいらっしゃいますか?
河本:難しい問題ですね。コミュニケーション能力が必ずしも実力に直結するという話でもないと思っています。人には生きる場所と死ぬ場所がそれぞれあると思っていて。
例えば、ナインティナインの岡村さんはめちゃくちゃ人見知りで、カメラが回っていない時はコミュニュケーション能力が高いとは言えませんが、カメラの前に立ったら存在感が半端ないじゃないですか。一人でも輝けちゃう。だから、コミュニケーション上手ではなくても、実力があれば人気者にはなれるんですよ。
――確かにそうかもしれないですね。では、河本さんの周囲で特にコミュニケーション上手な方はいらっしゃいますか?
河本:くりぃむしちゅーの上田さんはすごいですね。ゲストに対するリスペクトがすごくて、相手のことをしっかり調べないと出てこない質問をたくさんされるんですよ。
相手に愛情があるといいますか、コミュニケーションを取るためにしっかりとリサーチをされている。それでちゃんと笑いも取れる。
上田さんとは違う形でコミュニケーションが上手だなと思うのは、ザキヤマと小峠。彼らは人を動かす面白さがあるというか、きちんと場を盛り上げることができるので、すごく重宝されていますよね。
あとはカンニングの竹山さん。もう20年以上の付き合いがあるのですが、竹山さんのように面白い返しやリアクションが取れて、しかも真っ当なことも言える人ってなかなかいないからすごく貴重なんですよ。
もちろん実力のある方なのですが、メインに立たなくても映えるし、近くにいると共演者も番組も助かるポジションを築いていますね。岡村さん、上田さん、竹山さんとそれぞれですが、一人ひとり生きる場所と死ぬ場所があって、やっぱりマネするものではないと思うんです。
コミュニケーション力があれば人に必要とされる「愛され力」が備わる
――竹山さんはお笑い界のバイプレイヤーというか、主役を引き立てる魅力があるので、いろんな人から愛されているような気がしています。
河本:竹山さんの本当のすごさって、絶対に人の悪口を言わないところなんです。そして、相手へのリスペクトがすごい。あとは負けを認められることだと思っていて。
さんまさんが「お笑いは戦場だ」とよく言っていますが、爪痕を残さないと次の現場に呼ばれなくなるのは当然のことなんですね。なので、本来はそう簡単に負けを認めるわけにはいかないんですよ。
でも、竹山さんは負けも選択肢の一つに入っているというか。後輩芸人や若手タレントさんからも学ぶ姿勢を持っているんですよ。もちろん、収録現場ではバチバチやってるんですけど、舞台から降りたらきちんとリスペクトを持っていろんな人と接しているんです。
誰かの悪口を言うこともないですし、本当に良い人。でも、それができるのは相手をリスペクトしているということだし、ある部分で負けを認めているからできることだと思うんですよ。
それが本来あるべき姿だと思うんですよね。だから人に愛されるということは、コミュニケーションが上手ということですし、そこには他人へのリスペクトがあり、それぞれの人と一対一で付き合っていくということだと思います。
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“経験貯金”が40代で武器になる! 次長課長・河本準一がもしも20代だったらはじめること
【プロフィール】
河本準一(こうもと・じゅんいち)●1975年生まれ、岡山県出身。NSC大阪校に入学後、トリオを結成。1995年、井上とのコンビ・次長課長に。現在は「じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告~」(テレビ東京)などにレギュラー出演中。吉本坂46のキャプテンを務め、自身プロデュースしているお米「準米」を販売するなど、テレビの枠を超えて幅広く活躍。YouTubeチャンネル「河本じゅんちゃんねる」。
取材・文=村上広大
写真=加藤謙樹
編集=山田卓立
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