「ウソをつく回数」を数えたとき働き方が変わった!サラタメさんの考える「会社に求めすぎない働き方」とは

現役サラリーマンとして働きながら、ビジネス系YouTuberとしても活躍している「サラタメさん」。チャンネル登録者数は53.1万人(2021年2月5日時点)を超え、DMM会長・亀山敬司さんや、LINE元執行役員・田端信太郎さんとコラボするなど、日本一のサラリーマンYouTuberとの呼び声が高く、ビジネスマン向けの実用書の解説や、転職ハウツー動画を配信しています。 そんなサラタメさんですが、実は会社員として挫折を味わったことがあったそうです。当時のサラタメさんを苦しめた「仕事への期待」とは何だったのでしょうか——。

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※インタビュー【後編】はこちら↓
最高に楽しい!死ぬほどツラい!サラタメさんの仕事論——仕事は振り幅があるからこそ楽しい

仕事の「やりがい」の全てを会社に求めていた

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――まず会社員としての働き方についてお聞きしたいのですが、前職では希望の職種に就いたにも関わらず、ブラック企業で大変な思いをされたと伺いました。

サラタメさん:そうですね。毎日残業で帰りが終電だったり、パワハラ上司がいたり、精神的にキツい職場環境でしたが、何よりもつらかったのは仕事の内容でした。

自分の夢を叶えるために猛烈にアピールして、入社してからすぐに中学生の頃から夢見ていたマーケティング関連の部署に就くことができました。小中学生から大手広告代理店を目指しているような学生だったので、念願の仕事でした。

――それなら毎日が楽しいはずでは?

サラタメさん:念願の仕事に就いたのもあって「面白いものをつくるんだ」と、やる気に満ちあふれていました。

しかし、現実はスケジュール管理がとにかく厳しく、納期を守るためには全然面白くない企画でも、「これめちゃくちゃ面白いんです!」と嘘をつき、上司を説得する必要がありました。

昔から「面白さ」を軸に働きたいと思っていたのに、「面白さ」を自分が侵害しているように感じましたね。

――やりたい仕事に就いたから、すべてがハッピーというわけではないんですね。

サラタメさん:そのときに、「もう一度、仕切り直しさせてください」と言えれば良かったんですけど、仕事に追われているうちに嘘をつくのが当たり前になっていました。

すると、仕事への気持ちが乗らないので熱量も冷めて、とにかく着地させるだけの仕事になってしまう。「着地させるスキル」だけが高まっていくなんて最悪ですよね(苦笑)。

――せっかく夢にまで見た職に就いても、自分に嘘をついて仕事をしてしまっていたんですね。

サラタメさん:キレイ事のようですが、「自分に嘘をつかないこと」は本当に大切だと思います。自分が納得していないことを無理に続けていくと、仕事の結果を検証しなくなるんです。

心の中では、「失敗したのは俺じゃない。〇〇さんのせい」と責任転嫁していましたから。ビジネスマン的にかなりまずかったなと思います。

「自分の面白い」ではなく、「上司の面白い」が優先されることを痛感しました。今考えると会社なので当たり前ですが、仕事への過度な期待が現実とのギャップを生み、仕事への熱量が冷めていってしまったのだと思います。

――ブラック企業から転職しようと思ったきっかけを教えてください。

サラタメさん:転機になったのは、『LIFE SHIFT(ライフシフト) 100年時代の人生戦略』という本に出合ったことですね。「人生100年時代」の現代では、企業で出世して定年退職するライフプランは、まったく通用しないことを知りまして。

終身雇用は少なくなり、定年後の生活も長くなるので、会社に依存せず、自分のビジネス(商売)を持つ必要があると思ったんです。

――今までのキャリアプランを見直したということですね。

サラタメさん:そうですね。でもそれは、「会社員=オワコン」という話ではなくて、自分のスキルや時代に合わせて本業(会社員)と副業を、バランス良く組み合わせるということです。

とはいえ、当時の自分は毎日残業で、副業を始める時間がまったくありませんでした。そのため、ワークライフバランスの整った企業を見つけて必死にアピールして、何とか雇ってもらえたというわけです。

前職ほど大きな企業ではありませんし、自分が心酔できるほど刺激のある仕事ではありませんが、労働環境はいいですし、自分の意見をきちんと聞いてくれるホワイトな企業に勤めることができました。

「自己実現」のための副業と「社会性」のための会社員

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――転職して2年後にYouTuberとして活動をスタートしていますが、なぜYouTuberに?

サラタメさん:副業を始めようと、ブログ、転売、株式投資などいろいろと手を出しましたが、あまり面白さを感じられませんでした。

その中で、唯一諦めずに続けられたのが「YouTube」です。昔から本を友達に紹介するのが好きだったので、その延長で続けられたんだと思います。

――本業の会社員と副業のYouTuberと、モチベーションを保つのは難しくありませんか。

サラタメさん:本業は「会社のミッションを遂行する」副業は「自分が面白いと思ったことを実現する」というふうに考えるようにしています。

以前の会社にいた時は、「自己実現」を会社の看板でやろうとしていたのかもしれません。今は、副業の「サラタメ活動」で面白さを追求して、会社ではミッションの遂行だけを考えるようにしています。

――とは言っても、本業の仕事を割り切るのは簡単ではないと思うのですが。

サラタメさん:自分に嘘をつくのではなく、「私はこうしたい!」と思い切ってアウトプットすればいいのではないかと思います。今の会社は、若手の意見も聞き入れてくれるので、自分の企画がすべったとしても、本気ですべったことは勉強になるし、次の仕事に活きるんです。

むしろ、前よりも積極的に仕事へ取り組めているのではないでしょうか。夢見た仕事ではないかもしれませんが、会社の理念にはすごく共感していますし、やりがいも感じています。

「会社は、仕事はこうあるべき」と固執せず、たとえ部分的でも会社の考えに賛同できて、少しでも自己実現の場を持つことが大切だと思います。

これが新時代のキャリアプラン!「サラタメ」として転職活動

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――会社員とYouTuberを両立するために、どういう時間の使い方をしていますか。

サラタメさん:私の場合は夕方に会社から帰宅して、毎日夜9時〜12時をYouTuberとしての活動にあてています。時間を固定すれば思考停止しても習慣化できるので、新たに始めることでも続けやすいと思います。三日坊主になりそうなときにオススメなのは、情報を集めて自分の気持ちを高めることです。

正しいと思っていても不安に感じることは必ずあるので、本やTwitterで「自分は間違ってない!」と信じられるまで、いろいろな人のコメントなどを徹底的に集めます。そうすると、地味でつまらない作業に苦痛を感じなくなりますよ。

――会社員とYouTuberを両立する上で、苦労するのはどんなことでしょうか?

サラタメさん:会社で働いている時、たまにサラタメの「事業主目線」になってしまうのが怖いですね。「自分が社長なら、こんなことしない」「この業務はやる意味あるのかな」など、上司面して変な空気になってしまったり(苦笑)。

――YouTuberとしての仕事のやりがいはどんなところに感じていますか?

サラタメさん:「サラタメ活動」では全てを自分で決められるので、会社員にはない大きなやりがいを感じています。視聴者のことを考えつつ、「面白い」と思ったことは何でもできるので、自分に嘘をつく必要もありません。

――サラタメ さんとしての今後の展望について教えてください。

サラタメさん:実は「サラタメ」として転職しようと思っています。

「サラタメ」というキャラクターを採用したい企業がいないか呼びかけて、「サラタメ 」として企業に転職するということです。

正社員として契約するのか、業務委託で複数社と契約するのかは調整次第ですが、サラリーマンを辞めなくても、新たなキャリアプランを見せられたらいいなと思っています。

――かなり新しい試みですね。すでに各企業から問い合わせなどあったりするのでしょうか?

サラタメさん:すでに7〜8社から連絡がきています(2021年1月現在)。自分をアピールする通常の面接とは違い、「それなら一緒にできるかもしれません」とお互いの方向性をすり合わせる感じですね。新たな転職のかたちとしても面白いのではないかと思います。

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最高に楽しい!死ぬほどツラい!サラタメさんの仕事論——仕事は振り幅があるからこそ楽しい

 

【プロフィール】
サラタメさん
サラリーマンとして働きながら、ビジネス系YouTuberとしても活動。会社員としては大手ブラック企業からホワイト企業に転職し、現在はマーケティングの仕事に従事。YouTubeでは、同年代の20〜30代のサラリーマンに役立つ書籍紹介や、自身の転職経験を基にしたハウツー動画を投稿。スタートから約2年でチャンネル登録者数は53.1万人を越える(2021年2月5日時点)。

YouTube:https://youtube.com/channel/UCaG7jufgiw4p5mphPPVbqhw
ブログ:https://salatame.co.jp/tenshoku/

 

 

取材・文=平原健士(iPPON COMPANY GROUP)
写真=加藤謙樹
編集=山田卓立

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