ハシヤスメ・アツコの夢のかなえ方。笑われても目標を口にする

元「BiSH」メンバーで、現在はバラエティ番組などを中心に活躍するハシヤスメ・アツコさんのインタビュー。後編では目標を口に出すことの重要さを語ってくださいました。

人気グループ「BiSH」を卒業し、ホリプロに所属。ソロで活躍を始めたハシヤスメ・アツコさんは井森美幸さんのようなタレントになりたいと言います。もともと夢を語ることが自分の美意識に反すると思っていたハシヤスメさんが、なぜ目標を口に出すようになったのでしょうか? 後編では、その価値観の変化についてお聞きしました。

※インタビュー前編はこちら
ハシヤスメ・アツコがBiSH時代に直面した理想と現実のギャップ。自分の役割との向き合い方

新しい世界に踏み出すために。相手の気持ちにも寄り添う

──BiSHは2023年6月29日のデビュー時から目標としていた東京ドーム公演をもって解散。ハシヤスメさんは翌6月30日にホリプロ所属を発表し、現在はソロで活動しています。最初、ソロで活動することに対して不安などはなかったのでしょうか?

不安はなかったですね。新しいことをするときは常にワクワクするので、むしろ楽しみでした。それこそBiSHで東京ドームに立つときも不安よりワクワクが大きかったです。その日はBiSH解散の日でもあり、もちろん寂しさもありましたが、見たこともないステージに立てる高揚感や、みんなで一つのものを作り上げていくんだぞ! という胸の高鳴りのほうが大きかったです。

ソロになった今は、ずっとあこがれだったテレビの世界でお仕事ができることにすごく興奮しています。もちろんテレビに出れば失敗もするので、ヘコんで反省会もしていますが、それでも楽しいです。

──新しい環境に飛び込むことに対して怖がらないでいられるのは素敵ですね。

そうですね。怖いとは思わないです。もちろん仕事の初日は知らない人も多いので緊張しますよ。ただほかの仕事も同じだと思いますが、見ず知らずの人が職場に来たら、迎え入れる側も怖いと思うんです。「どんな人だろう」とお互いに探り探りになる。だから「怖い」と思って飛び込むよりも「この人も同じ気持ちなんだ」と思って飛び込むと怖くなくなると思います。

──確かに相手にとっても初対面ですもんね。

グループ時代、楽屋に入ってきた初対面のスタッフさんに「すごく緊張します」と言われることがよくあったんです。でも私たちは、ただ楽屋で普通に過ごしているだけで。そのときに自分が逆の立場だったら「この人たちは優しい人たちだ」と思えたら緊張しないでいられるなと思ったんです。どうしても自分の気持ちを中心に考えがちですが、相手も緊張していると思うと優しくなれると思います。

恥ずかしいけど勉強のきっかけにする。失敗をしたときの切り替え方

──先ほど、番組に出演したあとは反省会もしているとおっしゃっていました。ビジネスでも新しいことを始めるときに失敗は付きものだと思います。失敗したときのマインドや切り替える方法、そこで心掛けていることがあれば教えてください。

失敗は恥ずかしいですが、それが自分の成長のきっかけになる。そう思ったら失敗を恐れなくなりました。もちろんとんでもなくヘコみますけどね(笑)。収録の後、楽屋に戻ってからマネージャーさんと「あのとき、ここでもうちょっとツッコめばよかったな」と反省したり、オンエアを見て「ここでこう返せばよかった」と振り返ったりします。

でも大スベりしたからこそ、「次はそうならないようにしよう」って体が勝手に反応します。グループ時代も、何度も失敗して、恥をかいてヘコむことは多かったけれど、その経験があったから強くなれた気がするんです。

だからこそ、本当に失敗はたくさんしていいと思っています。失敗しても「勉強になったし、明日から頑張ろう」と切り替える。私は常にそのマインドで生きています。一回失敗したからって人生終わりではないですから。

──またホリプロ所属を発表した際、「ホリプロはかなえたい夢だった」とコメントされていましたが、ホリプロのどんなところにあこがれていたのでしょうか?

ホリプロは、井森美幸さんを筆頭に、石原さとみさんなど私の好きな方がいっぱいいる事務所。かわいくて素敵で尊敬できる先輩たちのいるところで自分も頑張りたいなと思って選びました。

──そんなあこがれのホリプロに所属して、この先かなえていきたいことは?

ずっと掲げているのが「『王様のブランチ』に出たい」ということです。あと、BiSH時代にグループで『NHK紅白歌合戦』に出演しましたが、また出たいとも思っています。紅白って歌う以外にも審査員やバラエティ要員など、いろいろな枠がありますよね。だから歌手以外の枠でまた紅白に出演したいという夢があります。

──歌手として紅白に戻るという選択肢は?

歌手ですか……今のところはないですね(笑)。今は、井森美幸さんのようなタレントを目指しているのでもし出させていただけるのであれば、歌手としてではなくバラエティ枠に出たいと思っています。でも4年前に出したソロ楽曲『ア・ラ・モード』をDA PUMPさんの『U.S.A.』くらい世の中に広めたいという気持ちはあります。

『U.S.A.』や「マツケンサンバ」シリーズのようになれるポテンシャルを秘めた曲だと思うので、ピコ太郎さんの「PPAP(Pen-Pineapple-Apple-Pen)」のようにジャスティン・ビーバーが広めてくれたらうれしいです(笑)。

まずは目標を口にする。東京ドームに立つ夢をかなえた方法

──東京ドームに立つ、バラエティタレントとしてテレビに出るなど、目標や夢を着実にかなえていっているハシヤスメさんですが、過去に「以前は夢を口にしなかったけど、途中から口にするようになった」とお話しされていました。今のハシヤスメさんはどちらの考えですか?

今は言うようにしています。昔は夢がかなったあとに「実は10年前から思っていたんですよ。それがやっとかないました!」と言うほうがカッコいいなと思っていたんです。

でも最初に言ったほうがファンの人といっしょにその過程を楽しめますよね。しかも口に出していると、ふとした瞬間に誰かが「そういえばハシヤスメがこんなこと言っていたな」と思い出してくれて実現につながることもあると気付いて。それからは積極的に目標を表に出すようになりました。

──口に出さない理由が「後から言うほうがカッコいいから」であったのであれば、初めは目標や夢を口にすることはご自身の美学に反したと思います。口にしようと思えたのには何かきっかけがあったのでしょうか?

まったくそのとおりです。そもそも「夢を語る」って誰しもちょっと恥じらいがあると思うんですよね。それこそまだグループの規模が小さかったころは「紅白に出たい」「東京ドームでライブをやりたい」と言ってもみんな笑っていました。SNSでも「BiSHはこれ以上の規模の活動は無理だ」「これ以上伸びない」とよく書かれていましたし。

それでもめげずに「東京ドームに立ちたいです」「紅白出たいです」と口にしていたら、まずはスタッフさんなど周囲の人たちに「この子たちは、本気で目指して頑張っている」と伝わりました。そしてそれに向けて皆さんが本気で動いてくれるようになって。そのあたりから自分も「夢は口にしたほうがいいな」と思い始めたんです。

──グループの成功例が考え方を変えてくれた?

そうですね。「とりあえず夢を口に出していこう」というのはグループから学びました。これは芸能の仕事をしている人だけではなくて、誰にでも言えることだと思います。

お仕事でもお仕事以外でも、何かかなえたいことがあるんだったら、恥じらいがあったり笑われたりしても、まず言ってみる。きっと誰かの心に残って、いつかチャンスにつながると思うので口にしてほしいなと思いますね。恥ずかしさはあると思いますが、その殻を破った先に、新しい未来が待っているはずです。

──ハシヤスメさんは、BiSH時代、最初にコントの役割を与えられたときも、ご自身で変わろうと思って壁を壊したわけですもんね。

そうですね。大変でしたけど、それをきっかけに周囲の反応などいろいろと変わったので、一歩踏み出してよかったなと思っています。殻を破ることは怖いと思います。だから無理はしなくていいですが、もしどうしてもかなえたい目標なら頑張ってほしいです。その頑張るという行為自体が難しいとは思うんですけどね(笑)。

※インタビュー前編はこちら
ハシヤスメ・アツコがBiSH時代に直面した理想と現実のギャップ。自分の役割との向き合い方

【プロフィール】
ハシヤスメ・アツコ(はしやすめ あつこ)
2015年8月よりBiSHのメンバーとして活動をスタート。BiSHのメガネ担当で、欠かせないムードメーカーとして活躍。2018年にはワンマンライブにてソロデビューを直訴し、翌年ソロシングル「ア・ラ・モード」をリリースした。BiSHは2023年6月29日に東京ドームにて惜しまれつつも解散。2023年、ホリプロに所属。現在はバラエティ番組を中心に活躍中。

取材・文=小林千絵
撮影=前田立
編集=久野剛士

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