AI×ビッグデータで隠れたストレスが計測できる ストレスチェックサービスとは?

従業員へのストレスチェックサービスを展開する株式会社HRデータラボ。的確な分析力とコンサルティング力に定評があり、同社のサービスを導入する企業は2000社に上ります。集計結果をビッグデータ化し、コロナ禍による在宅勤務が引き起こしたストレスをAIを使って分析しています。同サービスを提供するHRデータラボ社・代表の三宅朝広さんに、サービスの概要とコロナ禍が生んだストレスについて、教えていただきました。

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「ストレスチェック」とは?

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「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票(選択式)に各個人が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査です。2014年に「労働安全衛生法」という法律が改正され、労働者が50人以上在籍している事業所では、毎年1回、この検査を全ての労働者(※)に対して実施することが義務付けられました。

HRデータラボでは、厚生労働省が定めるストレス簡易調査票を採用した「ストレスチェッカー」のサービスを提供しており、各企業が導入しやすい無料プランも用意しています。

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使い方はとても簡単。オンラインの場合、社内の管理者から送られてきたメールの本文中のURLをクリックすれば、すぐに検査を始められます。用意された57項目もしくは80項目の設問(選択式)に回答するだけ。所要時間は5〜15分程度です。

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チェック結果には、各数値を総合的に分析する「高ストレス判定結果」と、「各指標の5段階評価」と結果に応じた「コメント」を表示。高ストレスと判断された場合は、産業保健スタッフとの面接を推奨されます。

自分は大丈夫だと思っていても、知らず知らずのうちにストレスを溜め込んで、いつの間にか体調不調になってしまうことも。1年に1回の貴重な機会なので、「体の健康診断」と同じように考えて、積極的に受験するようにしましょう。

また高ストレスと判定された場合、通常5〜10分の短い面接で、産業保健スタッフから改善できることについて的確なアドバイスを受けられます。「産業医に相談することは避けたい」と感じる人も多いと思いますが、自分の心の健康を守るためにも、ストレスチェックを受験することが大切です。

※契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外です。

コロナ禍で生まれたストレスをデータで分析

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コロナ禍で働く場をオフィスから自宅に切り替えたビジネスパーソンもいますが、リモートワークはどのようなストレスを与えているのでしょうか。HRデータラボが新型コロナウイルス前後のチェック結果を比べたデータがあります。非常事態宣言中にストレスチェックを実施した企業、約20社の受験結果を分析したところ、昨年度に比べて以下の項目で大きな変化が見られました。

昨年度よりも悪化した項目(高順位ほど数値が悪化)

1位ー仕事のコントロール度(仕事に対する裁量権あるいは自由度)
2位ー仕事や生活への不満
3位ー働きがい

この結果から、多くの人がコロナ禍で仕事のコントロールが利かなくなり、仕事や生活に不満や不安を感じていることが読み取れます。また、「働きがい」については、各企業内でチームを組んで案件に取り組むことによる「一体感」や「達成感」が、特にリモートワークで感じにくいことが原因だと推測されます。

昨年度よりも改善した項目(高順位ほど数値が改善)

1位ー疲労感
2位ーイライラ感
3位ー職場環境によるストレス
4位ー対人関係でのストレス 

上記の結果からは、リモートワークで通勤がなくなったり、打ち合わせがオンラインになったりしたことで、疲労感やイライラ感が軽くなったことが読み取れます。時間的な余裕が生まれたことで、心にも余裕が生まれたと言えるでしょう。また、在宅勤務などが増えて出社する機会が少なくなったため、職場環境や対人関係でのストレスが緩和されています。

悪化した項目と改善した項目を比べてみると、「対人関係」が良くなったのに「働きがい」が悪化していることが見て取れます。

これは例えば、

・「ストレスを感じる人」と顔を合わせて仕事をすることがなくなった
・しかし同時に、相棒のような「自分とよく合う仕事仲間」とも顔を合わせることがなくなった

というリモートワークの長所と短所を表していると考えられます。 

仕事のストレスへの向き合い方

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ストレスチェックの結果に大きな影響を与える項目は、「仕事の量」と「コントロール度」です。「仕事の量を減らせるわけがない」と各企業は考えると思いますが、仕事の量を変えずに総合健康リスクを抑える方法があります。

それは「上司や同僚からのサポート」を充実させること。仕事の量が多くても、上司や同僚から十分なサポートが得られれば、従業員のストレスを緩和できます。特に女性は、「仕事の質」や「家族や友人からのサポート不足」で男性よりも大きなストレスを抱えがちなので、周囲のサポートが足りないと感じたら早めに人事部などの担当部署へ相談するようにしましょう。

 

取材協力=株式会社HRデータラボ
文=平原健士(iPPON COMPANY GROUP)
編集=野田綾子+TAPE 

【監修者プロフィール】
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三宅朝広
株式会社HRデータラボ 代表取締役
ストレスチェッカー等の人材系サービスを提供。ストレスに関するセミナーや講演会も積極的に行っている。 

【ストレスチェッカーについて】
日本最大級2000社導入。厚生労働省のストレスチェック制度準拠。詳細ページはこちら 

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