チームにはリーダーとメンバーが存在する。成功のカギを握るのは「それぞれの役割」

YouTubeのチャンネル登録者数は51万人以上。史実をもとにした楽曲にユニークな振り付けを合わせた「踊る授業シリーズ」が人気の2人組ダンスユニット「エグスプロージョン」。彼らの代表作である「本能寺の変」はなんと6800万再生(2020年12月現在)を超えています。そんな2人にとっての「はたらくこと」について聞くインタビュー。後編では、昨今のダンスシーンの変化や長く活動を続けるコツなどについて伺いました。

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※インタビュー前編はこちら

「魅せる」から「踊れる」へ。時代とともに変化したダンスの価値

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ーー最近はダンスに対する社会的認知が変化してきていると思うのですが、活動を続けているなかでそれを実感することはありますか?

まちゃあき:僕たちがダンスを踊り始めた頃から比べると、随分と環境が変わった気がします。昔はもっとアンダーグラウンドで、今みたいにいろんな人が踊るなんて考えてもいませんでした。

おばらよしお:今でこそ「ダンス」で検索すると、いろんなダンスがヒットするようになったけど、僕らがダンスを始めた時代は「ダンサーじゃないとダンスができない」という雰囲気があったよね。

まちゃあき:僕たちが若かった頃のダンサーのイメージって、レオタードを着て……っていう古典的なイメージがまだ強く残ってる時代でしたからね。

それが最近では、ヒップホップとかストリートダンスという言葉をテレビで聞かなくなったもんね。これが僕らが目指していた未来だったんじゃないかなと思うことがあります。

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ーーTikTokなどを見てみると、若い子たちは普通に踊りを楽しんでいますよね。

まちゃあき:そういうカルチャーができていることに対して、僕らが多少なり貢献できたことがあるとすれば、「魅せるダンス」から「踊れるダンス」への時代の変化を示せたことなんじゃないかなって思います。

僕らが目指すダンスの理想形って、「かっこいいもの」ではなくて「おもしろいもの」だったんですよ。その在り方のひとつが「本能寺の変」で。申し訳ないですけど、相方なんて腰を振ってるだけですからね(笑)。

おばらよしお:なんだかんだ言って、目立ちたい人とか表現したい人って一定数以上いるんですよね。そういう人たちにとって、ダンスは身近な存在だったのかもなと思います。だから、やりたい人はとことんやれるのかなって。

まちゃあき:これが歌だと上手い下手が極端に分かれるじゃないですか。でも、ダンスは身体を動かすだけでもできるから、感覚的には遊びに近いんでしょうね。そういうノリが理解されるようになったから、踊る人が増えたのかなと思います。 

最終的にはリーダーに従う。それが長く活動を続けるコツ

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ーーちなみに、まちゃあきさんとおばらさんが20年間も一緒に続けてこられたのは何が大きいと思いますか?

おばらよしお:これは僕、個人の哲学なんですが、人にはそれぞれの立場があって、その立ち位置をきちんと考えるのが大切だと思うんですよね。チームの解散の理由で「方向性の違い」ってよく聞くじゃないですか。あれってそれぞれが意志決定者になると起こると思っているんですけど、それはやっちゃいけないことで。

もちろん、自分の意見は言っていいんですよ。ただ、自分を主張する場面と殺す場面はきちんと選ばないといけないと思います。たとえばエグスプロージョンなら、まちゃあきがリーダーだから、どんなに意見がぶつかり合っても最終的には彼の意見に従うと決めていて。

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ーー今のおばらさんの意見を聞いて、まちゃあきさんはいかがですか?

まちゃあき:生々しいことを言うと、結果が出ているときってあんまり問題って起きないんですよね。でも、活動が停滞してくると不平不満が出てくるんです。「あいつの言ってることは本当に正しいのか?」って。そういうときにどれだけ確信を持ってリーダーが突き進められるかが大事だと思います。

それは、僕自身が誰よりもエグスプロージョンのことを考えている自負があるからでもあって。だから、時にはメンバーと意見が食い違っても、リーダーとして決断することはありますよね。

おばらよしお:強いリーダーシップは絶対に必要。そのうえで、リーダーに任せきりにするのではなく、メンバーたちもチームとして何ができるのかを考えないといけないですよね。リーダーだって悩むこともあるから。

だから、リーダーに従うだけのイエスマンになるのもよくないし、自分勝手に好き放題するのもよくない。そういうバランスを考えながら活動してきたから、これだけの時間を共有できたのかなと思います。 

自分の好きなことなら、なんだかんだ言っても続けられる

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ーー最後に、自分の信じる道を進むべきか、働きながら趣味として続けるべきかアドバイスをお願いします。

まちゃあき:迷っているのであれば、やめた方がいいと思います。その先に素晴らしい人生は何通りもあるから。ただ、「やめなさい」という言葉に少しでも反発する気持ちを覚えるのであれば、続けた方がいい。

実は僕も、30歳になったタイミングでダンスをやめるか悩んだことがあるんですよね。でも、実際は心の中で答えは決まっていて。その意志を貫き通すか、通さないか。その違いだと思います。

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おばらよしお:僕はまちゃあきと逆で、迷っていてもいいんじゃないって思います。自分がよければそれでいいというか。好きなものを無理に諦める必要はないし、続けられる環境にいるならとりあえず続けておいたらいい。それくらい軽い気持ちで考えていてもいい気がします。

まちゃあき:きっとストイックな人は俺の言葉の方が響くと思います(笑)。結局のところ、やめない人はやめないよね。僕たちみたいに時には迷走しながらでも続けるんじゃないかな?

おばらよしお:実際、自分のやりたいことを諦めるのってすごくエネルギーが必要だからね。そこに力を割くんだったら、続ける方法を探した方が将来のためになるんじゃないですかね。

インタビュー前編はこちら↓
どうせはたらくなら「ワクワク」したい!ダンスユニット・エグスプロージョンが再定義した「はたらくこと」

【プロフィール】
エグスプロージョン(えぐすぷろーじょん)●2002年結成。吉本興行所属のまちゃあき、おばらよしおからなるエンタメダンスユニット。ダンス番組で初代殿堂入りを果たした元祖エンタメダンスユニットで、毎年ライブツアーをおこなっている。また、YouTubeチャンネル「エグスプロージョン チャンネル」では、歴史を題材にした「踊る授業 シリーズ」の「本能寺の変」が小中高生の間で話題となり、総再生数は6,800万回を超える。そのほか、アーティストへのダンス振付けから、役者としての芝居出演、イベントMC、小・中学校でのダンス講師まで、幅広くマルチに活躍している。

取材・文=村上 広大
写真=加藤謙樹
編集=山田卓立

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