快眠には“朝”の行動が重要!「スリープマスター」に聞く睡眠のアレコレ

ビジネスパーソンにとって、仕事のパフォーマンスに影響を及ぼす「睡眠」が重要なことは言うまでもありません。そこで、快眠を得るための睡眠環境の整え方や手軽にできる日々の習慣などのお話を「スリープマスター」と呼ばれる睡眠のプロに聞きました。

快眠には“朝”の行動が重要!「スリープマスター」に聞く睡眠のアレコレ

私たちの生活の中で多くの割合を占めている睡眠。眠る時間が少ない、質が低いなどが原因で一日のはじまりである朝の目覚めがイマイチでは、仕事に影響が出てしまうこともあるでしょう。では、どうしたら快眠できるのでしょうか? 

そこで今回は寝具メーカーの西川株式会社を訪問し、ねむりのプロフェッショナル「スリープマスター」の森優奈さんにお話をうかがいました。

ねむりのプロフェッショナル「スリープマスター」とは?

――本日はよろしくお願いします。まず「スリープマスター」とは何でしょうか? 睡眠のスペシャリストだそうですが……。

森さん:睡眠科学や快眠環境などの専門講習を受けた 眠りのプロフェッショナルです。快適な眠りにつくための環境の整え方や寝具選びをご提案致します。スリープマスターは当社の寝具を販売しているお店にいて、販売する際にお客様に寝具の選び方や睡眠についてアドバイスをしています。寝具だけではなく眠りに関する知識も持っていますので、眠る前の環境のつくり方などもお話ししています。

スリープマスターは全国に1,000人以上いて、一番トップにいる社内の教育担当でもあるスリープマスターは企業や学校でもセミナーをしています。

――スリープマスターは職種なんですか?

森さん:社内資格になります。大学の先生などによる専門講座講習を受けて、テストに合格するとスリープマスターになることができます。私は2019年5月からスリープマスターになりました。 

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快眠のためには朝から準備?

――そもそも「快眠」とはどのような状態を指すのでしょうか。「快眠の定義」はありますか?

森さん:当社としては「朝起きた時に気持ちよくスッキリ目覚められること」、「ベストなパフォーマンスを発揮できる睡眠がとれていること」を快眠としています。

――快眠するために最も重要となるポイントを教えてください。

森さん:重要なポイントは、体内時計のリズムを整えることですね。

体内時計のリズムのことをサーカディアンリズムと呼ぶのですが、人間の体内時計は24時間よりも少し長い周期でまわっています。なので、何もしないとちょっとずつズレてしまいます。朝起きたら日の光を浴び、体内時計をリセットさせる(整える)ことが大切です

――朝日で体内時計のリズムが元に戻るというわけですね。

森さん:朝起きた時に身体をリセットすることがポイント。夜に気持ちよく寝るために、朝から準備をはじめてほしいですね。

――上手に眠るためのコツなどはありますか?

森さん:寝る2~3時間前には食事はとり終えた方がいいです。寝る直前に食べると内臓が食べ物を消化するために動いてしまい、睡眠の質が下がってしまいます。どうしても遅い時間になってしまう時は、ヨーグルトやバナナなど消化のいいものを食べることをオススメします。 

体温が下がると人は眠気を感じる

――眠気はどういう時に起きるのでしょうか?

森さん:体温が下がりはじめると人は眠気を感じるようになっています。指先や足先などから熱を放出することで眠気が高まります。放熱をうながしてあげるために、ぬるめのお湯でゆっくり入浴するのがおすすめです。

身体の深部から温めることが重要ですので、シャワーよりも入浴がいいですね。眠る1時間くらい前に入浴すると少しずつ放熱されて、心地よい眠りにつくことができます。

――体温が下がるのは夜だけですか?

森さん:一日に2回下がるタイミングがあって、それは夜とお昼です。そのため睡眠不足ではない健康的な人でも、お昼に眠くなることは自然なことです

――西川さんには勤務時間内にお昼寝タイムがあると聞きました。

森さん:はい。専用の仮眠スペース「ちょっと寝ルーム」もあります。

※ちょっと寝ルーム:30度の傾斜をつけた仮眠用ベッド8台やイスに座って仮眠をとるスペースを設置。アロマディフューザーも用意。

快眠するためには睡眠環境を整えることが重要

――朝日を浴びる以外に、快眠するためのオススメの方法はありますか?

森さん:いくつかありますが、まずパジャマを着ることですね。「これから自分は寝るんだ」という気持ちのスイッチの切り替えになります。あと、パジャマは汗を吸収してくれる素材(綿やシルク)のもの身体の締め付けがないゆるめのものを選んでいただきたいです。

――部屋着とパジャマは別がいいんですね。室内はどのような環境にするといいですか?

森さん:音であれば、 40デシベル以下を理想としています。図書館ぐらいの静けさですね。また、光は0.3ルクス程度ぼんやりとあたりが見えるくらいの明るさがいいです。明るすぎると目をつぶってもまぶたを通して光が入ってきてしまうためです。

――エアコンはつけたまま寝ても平気ですか?

森さん:つけたままで大丈夫ですが、身体に風が当たると冷えや乾燥の原因になりますので、直接当たらないようにすることが大切です。冬は10度以上、夏は28度以下が快適な温度になります。 

お昼寝で仕事の効率もアップ!

――先ほどお昼寝の話がありましたが、上手なお昼寝の仕方はありますか?

森さん:昼寝は15分〜20分を12時〜15時の間にするのが理想です。また、身体は完全に横にしないようにしてください。完全に横にしてしまうと深い眠りに入ってしまうんです。長く寝すぎてしまったり、深い眠りに入ってしまうと、夜の睡眠に影響をおよぼしてしまいます。

――少し仮眠をとるだけでも、その後の仕事がはかどったりするものですか?

森さん:頭の切り替えをすることで仕事の効率も良くなりますね。仮眠で一回机から離れることが大事です。社内データにはなりますが、実際にお昼寝した人、お昼寝していない人に計算問題を解いてもらうと、お昼寝した人のほうが正答率は高かったという事例があります。

眠りで生活全体をコントロールできるようにする

――睡眠のために西川が目指すことはありますか?

森さん:寝具のIoTを進めています。自分の睡眠の質をスマホで見られて、アドバイスも表示される「快眠環境サポートサービス」を2020年3月18日(世界睡眠デー)に開始します。

パナソニックさんと共同でマットレスにセンサーを内蔵して呼吸や寝返りを感知して、朝起きる時間に合わせて電気をつけたり、暖房の温度を変えたりするなど家電と連動させます。

今後もこのようなことをもっと進めて、眠りで生活全体をコントロールできるようになれたらいいなと思っています。

高齢化が進んでいく中で、お医者さんに自分の睡眠状態を見せることで何かが見つけられるかもしれません。健康を支えられるような寝具を提供していきたいです。

――最後に、快眠したい若手ビジネスパーソンに向けて最初の一歩となるアドバイスをお願いします。

森さん:寝具を変えるのが難しい場合は、まず朝起きて光を浴びるなど、習慣を変えることから始めてみてはいかがでしょうか。パジャマを着ることも比較的すぐにはじめられると思います。睡眠は次の日のパフォーマンスにつながります。どれだけ自分に睡眠が大切なのか、もっともっと知ってもらえたらと思います。

―――

西川の公式サイトをのぞくと「よく眠り、よく生きる。」とメッセージが掲げられています。私たちが生きる上で欠かせない睡眠。まずはすぐにできることから始めて質の高い眠りを確保していきましょう。

寝具の見直しや生活環境の改善に悩んだら、近くのスリープマスターのいるお店を訪ねてみるといいでしょう。きっと快眠へのヒントがもらえますよ。

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